広島県北広島町の特別養護老人ホーム「正寿園」で、インドネシア人のアナ・グストリアニさんが合格を知り、職員と喜びを分かち合った=3月28日 経済連携協定(EPA)に基づく初の介護福祉士国家試験の合格者が3月28日に発表され、受験者95人中インドネシア人とフィリピン人計36人が合格した。だが、介護福祉士を目指して来日する人は急激に減っており、制度の先細りが懸念されている。外交・通商関係強化のため経済産業、外務両省主導で導入を迫られた厚生労働省は今なお消極姿勢を崩さず、思い切った対策を打てずにいるからだ。政府内の思惑のズレによって政策目的はあいまいとなり、慢性的な人材不足にあえぐ介護業界の当初の期待は失望に変わりつつある。 「『あいうえお』から始めて3年間で合格するのは大変だった」。合格を手にした外国人でさえ、言葉や文化・制度の違いに苦労した、と口々に語る。 EPA協定は特定の国や地域の間で税関