認めたくないことだが、核兵器の使用も辞さないとするプーチン・ロシア大統領の恫喝を前に、ウクライナ情勢へのNATO(北大西洋条約機構)側の姿勢も慎重さを強いられている。それに加えて、金与正・朝鮮労働党副部長の「韓国の先制攻撃に対しては核兵器で反撃する」との発言は、核抑止力に関する日本の議論を加速させるきっかけとなる気配だ。 といっても、これまで叫ばれてきた日本の核武装論は、戦略的視点、軍事的合理性、実現可能性を無視した机上の空論に終始してきた。 特に大前提となる戦略的視点について、日本の安全保障上の選択肢が、①日米同盟の徹底活用、②武装中立、のいずれかしかないこと、そして、日本の軍事力(自衛隊)が同じ敗戦国のドイツとともに自立できない構造に規制されている現状、を視野に入れていない。 そのような日本が本格的に核武装するには、日本の軍事的自立を否定している米国との同盟関係を解消し、武装中立の道を