タイ全土で4月1日から最低賃金が約40%引き上げられた。この政策は、昨年の総選挙で勝利したタイ貢献党インラック政権の公約の目玉だ。しかし、物価上昇や外国資本の近隣諸国への流出が懸念され、企業による人員削減で労働者の所得向上に必ずしもつながらないなど、裏目に出る恐れがある。 タイ貢献党は、選挙公約で今年1月から最低賃金を全国一律で1日300バーツ(約790円)に引き上げるとしていた。産業界が強硬に反発し、タイ銀行(中央銀行)も難色を示すなか、昨年10月に大規模な洪水に見舞われ、4月に延期するとともに、引き上げも2段階で行うことにした。 タイは行政地域区分の都や県ごとに最低賃金が異なり、今月1日の引き上げで最低賃金が1日300バーツに達したのは、首都バンコクをはじめ、中部のパトゥムタニ県、ノンタブリ県、南部のプーケット県など1都6県。 他の地方では、来年1月、最低賃金の再引き上げが行われ