メロン減税の経験 支出削減さえクリアできれば、大型減税を柱とするトランプ政権の税制改革は、米国経済を活性化する可能性が大きい。 過去に参考になる事例があるので紹介しよう。「黄金の20年代」と呼ばれる繁栄を誇った、1920年代の米国で実行された大型減税だ。この大型減税を推進したのは、当時のアンドリュー・メロン財務長官である。21年から32年まで10年以上、ハーディング、クーリッジ、フーバーと3代の政権にわたり財務長官を務める。モルガン財閥、ロックフェラー財閥に次ぐといわれたメロン財閥の出身で、米国有数の大富豪。大金持ちである点は、不動産王のトランプ大統領と似ている。 メロンの仕事のひとつは、第一次世界大戦(14〜18年)中に積み上がった巨額の政府負債(19年に255億ドル)を一掃することだった。しかし、そのために選んだ政策は増税ではなく、正反対の減税だった。 メロンは、政府の借金を返済するカ