9年前に中東で吹き荒れた「アラブの春」。その火をつけた北アフリカの小国チュニジアの地からSNSで世界に発信し、ノーベル平和賞候補にもなったブロガーのリーナ・ベンムヘンニが1月末、首都チュニスで亡くなった。36歳の若さだった。 「アラブの春唯一の成功例」とも言われたチュニジアはその後、政治の混乱や高い失業率にあえぎ、当時声を上げた人たちが夢見た「理想の姿」からはかけ離れている。持病の免疫疾患と闘いながら、死の前日まで発信を続けたリーナは何を訴えようとしていたのだろうか。(高橋友佳理) 「ただの意見」。リーナが「アラブの春」の以前から続けてきたブログ「A Tunisian Girl」は、1月26日のこんなタイトルの長文が最後の投稿となった。ブログはフランス語でつづられることもあったが、この投稿はアラビア語でチュニジアのいまの政治や社会を激しい言葉で批判し、「革命が起きたことを否定する」人たちへ
