安全保障学の文献、論文、概念、理論、学説などを紹介するブログです。 安全保障への理解と関心を高めて頂くために利用して頂ければ幸いです。 秘密戦争(secret war)は戦争の歴史において目新しい事象ではありません。歴史上、多くの国々は事実上の戦争を遂行しながらも、武力行使を匿名化する戦略を実践してきました。このような戦争は20世紀以降に急速に普及しましたが、その理由は十分に解明されていません。 近年、秘密戦争の研究が進んでおり、それが単なる事実の隠蔽だけではなく、エスカレーションを管理したいという政治的な意図をもって行われていることが明らかにされつつあります。 今回の記事では、プリンストン大学出版局からカーソン(Austin Carson)が2018年に出版した著作『秘密戦争(Secret Wars: Covert Conflict in International Politics)』