「汎用人工知能(AGI)の開発が可能だと主張する人は、何か思い違いをしている」。ディープラーニングの3人の父のうちの一人、ニューヨーク大学のYann LuCan教授は、講演の中でこう語っている。半導体やコンピューターの処理能力は毎年、指数関数的に向上しているという事実から考えて、いずれAIが人間の脳のレベルに追いつき追い越すという主張があるが、同教授はこれを真っ向から否定。半導体の処理能力が上がろうと今の技術の延長線上にAGIは実現しないし、そもそもAGIという概念自体が間違っていると指摘している。 私はこれまで日米のトップレベルのAI研究者を20人以上インタビューしてきたが、そのたびに「汎用人工知能は可能か」「AIは人間の脳を超えるのか」という質問をしてきた。さすが皆さん科学者なので、正式な取材に対し不正確なことは言わない。だれもが「今はまだ黎明期なので、可能かどうかを明言できるフェーズ