いくつかの有利な現象をとりあげて、あたかもそれが物事の本質であるかのように主張する議論を見ることがあるので、現象と本質について書くことにしました。一言で表現するのなら「ということがある」のが現象で、「そのためにこそ」が本質です。 ひとつ自衛隊の必要性を例にあげて説明してみましょう。新聞やテレビを見ていると、大きな災害の時に自衛隊が出動し、救助や復興のために活躍するシーンに出くわすことがあります。市民を守り、命を救っているのですから、これは言うまでもなく素晴らしい活動です。 しかしそれをもって「こういった活動をしているのだから自衛隊は必要だ」という議論を展開するとしたらどうでしょうか。ここで次のように考えてみましょう。自衛隊が被災者を救助する「ということがある」のは事実です。しかし、自衛隊がまさに「そのためにこそ」必要であるのなら、なぜ自衛隊は戦車やミサイルを大量に保有しているのでしょうか。