ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (17)

  • この本がスゴい!2023

    「あとで読む」と思ったが、後で読まれた試しがない。 今度の週末・連休にと、積まれたは崩されない。次の盆休み・年末年始に繰り越され、山脈を成し床が消える。 読書事になぞらえて、「血肉化」と表現するならば、私がやっていることは、メニューを眺めて片っ端から注文しているくせに、いんすた映えを気にしながら撮るくせに、まともに咀嚼して嚥下して消化してない状態だ。 そのくせ、「積読も読書のうち」と開き直ったり、溜まったこそ私の証などと屁理屈こね回す。読まないに「負債」のような後ろめたさを感じつつ、新刊を探しだす。新しいはそれだけで価値があると盲信し、かくして積読リストは延びてゆく。 もう一つ、恐ろしい予感がある。感受性の劣化だ。 あれほど楽しみに「取っておいた」が、まるで面白くなくなっている。いや、そのの「面白さ」が何であるかは理解できる。だが、それを面白いと感じなくなっているのだ。

    この本がスゴい!2023
    pgary
    pgary 2023/12/01
  • この本がスゴい!2022: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    「いつか読もう」はいつまでも読まない。 「あとで読む」は後で読まない。 積読をこじらせ、「積読も読書のうち」と開き直るのも虚しい。人生は有限であり、が読める時間は、残りの人生よりもっと少ない。「いつか」「そのうち」と言ってるうちに人生が暮れる。 だから「いま」読む。 10分でいい、1ページだっていい。できないなら、「そういう出会いだった」というだけだ。「いま」読まないなら、「いつか」「そのうち」もない。 に限らず情報が多すぎるとか、まとまった時間が取れないとか、疲れて集中できないとごまかすのは止めろ。新刊を「新しい」というだけの理由で読むな。積読は悪ではないが、自分への嘘であることを自覚せよ。「いま」読むためにどうしたらいいか考えろ。「」にこだわらず読まずに済む方法(レジュメ、論文、Audible)を探せ。難解&長大なら分割してルーティン化しろ。こちとら遊びで読書してるんだから、仕事

    この本がスゴい!2022: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
    pgary
    pgary 2022/12/01
  • 『戦争の世界史 大図鑑』はスゴ本

    さらに、年代も場所も広範囲にわたって概説しているため、どんどんページをめくっていくことで、「いつ」「どこで」を取っ払って、「どのように」人は争ったのかに着目することができる。そして、時代を超えた視点から、全く別の時代の戦闘どうしの類似点やアイデアが浮き彫りになり、見るたびに発見がある。 たとえば、優れた将軍は、時代を超えた特質を備えていると指摘されている。チンギス・ハン率いるモンゴル騎馬軍と、1940年春にフランスに侵攻した装甲師団との間に類似性を見出し、機動力が戦闘と決する事例として紹介されている。 あるいは、敵軍包囲という古来の戦法は、古代ローマの世界でも第2次世界大戦でも等しく奏功しているが、5千年分の戦略図を眺めていると、戦いとは畢竟「どのように敵を包むか」のせめぎあいであり騙し合いであることが見えてくる。 テクノロジー戦争を変える テクノロジーが変えた戦争も興味深い(ここが一番

    『戦争の世界史 大図鑑』はスゴ本
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    pgary 2019/03/14
  • これが教養だ! 『これは水です』

    書店に行くと「教養」を謳う雑誌やの多いこと。 ひと昔前のマジックワード「品格」「大人の~」と一緒やね。来ソレが足りなかったり欠けていることを指摘して、その雑誌なりを「買う」ことで補完できるというレトリック。あるいはソレに価値を見いだしている自尊心をくすぐるテクニック。騙されるほうが馬鹿なんだが、わたしもよく騙される(レジまで騙されたら負け)。 つまり「教養」を人質に、コンプレックスを煽るビジネスなのだ。 エセ教養人の手口 「ビジネスリーダーに求められる教養」とか「人生を豊かにする教養」という惹句で、人間関係を円滑にしたり信頼関係を築くためのツールとしての「教養」が重要だという。で、よくよく聞いてみると、ただの雑学や豆知識だったりする。要するに、アイスブレイクや知的マウンティングに使える小話のことを、「教養」と呼んでいるにすぎぬ。 そうやって「教養人」を名乗り、まとめサイトやWikip

    これが教養だ! 『これは水です』
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    pgary 2018/09/03
  • もっとも未熟な科学『不確かな医学』

    『病の皇帝「がん」に挑む』のシッダールタ・ムカジーが、現代医療に潜むバイアスを明らかにし、これからのモデルを提案する。 コアとなっているのはTEDのこの講演だ。ピル(薬)ではなくセル(細胞)による治療を謳っている。抗生物質に代表される、体の外で作成された「薬」で病(の原因)を殺すモデルが、現代の医学で支配的となり、一種の歪みをもたらしていることを示す。その一方で、体内で生成された「細胞」を育てることで免疫系を快復するパーソナル医療モデルを提案する。 書ではムカジー自身の医師としての遍歴を振り返つつ、現代の医療にとって重要な「医学の法則」を明らかにする。臨床医学がどこまで科学なのかという疑問に対する、一つの答えとなっている。 著者は言う、科学技術の革新による恩恵を、医学は最も受けてきた。医療処置そのものが病態生理学という原理に基づく科学だともいえるだろう。しかし、同時に先進医療が生み出すお

    もっとも未熟な科学『不確かな医学』
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    pgary 2018/02/12
  • 東大の科学がスゴい『科学の技法』

    東大の理系は、一年生から「科学の技法」を叩き込まれる。 『知的複眼思考法』を読んだとき、批判的に読み・考えるトレーニングを徹底させる東大の文系が羨ましいと思った。『科学の技法』を読んだいま、科学の技法をゼミナール形式で学べる東大の理系が羨ましい。 東大で始まった新しい試み「初年次ゼミナール理科」が凄い。 理系の一年生は全員必修で、1クラス20名の少人数を、教師+TA(ティーチングアシスタント)できめ細やかに指導する。学術的な体験(アカデミック体験)を通じて、サイエンティフィック・スキル(科学の技法)を修得することを目的としている。 この科学の技法が羨ましい。前半が「基礎編」で、あらゆる研究をする上で基礎的となるだけでなく、仕事にも必須なスキルが紹介されている。後半が「実践編・発展編」で、研究チームを意識できるようなゼミを「ラボ」として開講し、そこで基礎的な演習を行う(垂涎だらけなり)。 ◆

    東大の科学がスゴい『科学の技法』
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    pgary 2017/07/04
  • この本がスゴい!2016

    人生は短く、積読山は高い。 せめては「死ぬまでに読みたいリスト」を消化しようとするのだが、無駄なあがき。割り込み割り込みで順番がおかしくなる。読了した一冊に引きずられ、リストは何度も書き直される。 重要なのは、「あとで読む」は読まないこと。「あとで読む」つもりでリツイート・ブックマークしても読まないように、あとで読もうと思って読んだ試しはない。だから、チャンスは読もうと思ったそのときしかない。実際に手にとって、一頁でも目次でもいいから喰らいつく。勢いに任せて読みきることもあれば、質量と体力により泣く泣く中断するもある。かくして積読山は標高を増す。 ここでは、2016年に読んだうち、「これは!」というものを選んだ。ネットを通じて知り合った読書仲間がお薦めするが多く、それに応じてわたしのアンテナが変化するのが楽しい。わたし一人では、数学経済学歴史学、進化医学や認知科学の良を探し出せな

    この本がスゴい!2016
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    pgary 2016/12/01
  • 『科学と宗教』はスゴ本

    オックスフォード大学の教科書(Very Short Introductions)で、専攻問わず大学新入生の必読書。 片方の肩を持つのではなく、「そもそも何が問題となっているか」を整理する。科学と宗教は、とかく対立するものとして見られるが、そうではないことが分かる。むしろもっと根が深い。「正しいか、正しくないか」ではなく、争点が政治にあることが問題なのだ。 定番のテーマであるガリレオ裁判、進化論に対する理解の変遷、そしてID(インテリジェント・デザイン)説をめぐる論争や、ドーキンスの利他性の問題を採り上げ、科学哲学と宗教的含意の議論をまとめている。 歴史の俎上に乗せてしまうと、科学と宗教は驚くほど似通っていて、対立というよりも、補完・強化する関係になっていることが分かる。先進的な科学者v.s.保守的な教会という構図はドラマティックだが、現実は違う。どちらも頑迷さと寛容性があり、どちらにも知的

    『科学と宗教』はスゴ本
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    pgary 2013/12/05
  • わが子がイジメられてるらしいと思った親が最初にしたこと

    それは記録。 背中が痛いと訴えてくる息子を裸にしたところ、広範囲に内出血跡を見つける。詳細は省くが、殴られたらしい。「すわイジメ」と気負いたつのではなく、ゆっくりと子どもの話を聞く。度を越した悪ふざけなのか、陰湿なやつなのか見きわめがつかないし、子どもの話なので一貫性が見出しにくい。 まず、子どもの話を遮ることなく最後まで聞く。たずねるニュアンスの「訊く」のではなく受け入れるように「聞く」。そいつを逐一記録する。客観的に述べるのは難しいだろう(大人だってそうだ)、だから矛盾点には目をつぶり、ありのまま記録してゆく。ついでに写真も撮っておく。トラブルが大きくなり、収拾がつかなくなってからではなく、(たとえ一面からでもそれを自覚しつつ)子どもからヒアリングを続ける。 次に、「親は味方だ」というメッセージを伝える。独りで抱え込むなという。どうしても言いたくないのであれば、無理に聞くことはない。親

    わが子がイジメられてるらしいと思った親が最初にしたこと
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    pgary 2013/05/20
  • 本好きが選んだハヤカワの170冊

    オススメを持ち寄って、まったりアツく紹介しあう「スゴオフ」、今回のテーマは「ハヤカワ」!これまた楽しく美味しいだけでなく、積読山脈を成長させるスゴい回だった。 午後一時から夜八時、延々7時間のマラソン・オフ会、見てくれこの獲物。 ばかりですまぬ。場の"ふいんき"はやすゆきさんの「早川書房さんシバリスゴオフは直球、変化球アリで「さとし」が大人気の楽しいパーティだった」でどうぞ。 まずはSF、「ハヤカワといえばSF」の通念をあえて外したのか、SFはあるにはあるが、期待したより少なめ。おすすめプレゼンでは、イーガンもホーガンも、ギブスンもレムもないのがちょっと驚き。代わりにブラッドベリやハインライン、クラークが熱く語られる。暫定的結論によると、「幼年期の終わり」はSFオールタイムベスト、「ハイペリオン」はSFのラスボス」になった。「幼年期の終わり」と「ブラッド・ミュージック」はペアで読むと

    本好きが選んだハヤカワの170冊
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    pgary 2012/05/15
  • ものつくりの科学の歴史「工学の歴史」

    科学史や技術史とは一線を画する「工学史」という新しい領域を読む。 かなりの大著と思いきや、ポイントを絞ってコンパクトにまとめている。機械工学を中心に据え、細部は参考文献に任せ、キモのところを大づかみに伝えてくれる。おかげで、歴史・地理の両方から俯瞰的に眺めることができる。知のインデックスとして最適な一冊。 テクノロジー&サイエンスといえば、西洋の専売特許だが、長い目で見ると違う。ニーダム線図、ニーダム・グラフと呼ばれるグラフが顕著だ。歴史的には、長いあいだ中国こそが科学技術の先進国だったことは知っていたが、ここまであからさまだとは。 中国は古代から中世まで科学技術で世界をリードしていた。だが西洋は後期中世から急激に成長し、ルネサンスを境に両者の関係は逆転している。新参者にすぎない西欧が、なぜ中国を追い抜いたのか? もちろん科学と軌を一つにしてきた軍事面から説明できる。「戦争の世界史」を読む

    ものつくりの科学の歴史「工学の歴史」
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    pgary 2012/05/01
  • スゴ本オフ@2011ベスト

    好きなを持ちよって、飲みつつべつつ熱く語るスゴオフ。 今回は(というか毎回)スゴいが集まった。あと甘(うま)い酒と美味しい料理を堪能した。質量ともに凄いレポートは、ずばぴたさんのまとめ「スゴオフ2011年ベスト」を参照いただくとして、ここでは思い出すままつらつら書く(妄想込み)。 まず、参加いただいた方、協力いただいた方、ありがとうございます。毎回毎回語っているんだけど、「今回が最高」でした。やるたびに発見と読みたいリストがガンガン増えていくので、嬉しい悲鳴が止まらない。 そして、見てみて、狩りの成果。 全ラインナップは、以下の通り。 【やすゆき】「アイの物語」山弘 【やすゆき】「What'sGoingOn」MarvinGaye(CD) 【やすゆき】「Unforgettable」NatalieCole(CD) 【ともこ】「サザエさん」長谷川町子 【Dain】「千夜一夜物語」リチ

    スゴ本オフ@2011ベスト
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    pgary 2011/12/06
  • この本がスゴい!2011

    今年もお世話になりました、すべて「あなた」のおかげ。 このブログのタイトルは、「わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる」。そして、このブログの目的は、「あなた」を探すこと。ともすると似たばかり淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」とオススメしたり、twitterやfacebookやtumblrで呟いたり、「これを読まずして語るな!」と叩いたり―――そんな「あなた」を探すのが、このブログの究極の目的だ。 昨年までの探索結果は、以下の通り。 このがスゴい!2010 このがスゴい!2009 このがスゴい!2008 このがスゴい!2007 このがスゴい!2006 このがスゴい!2005 このがスゴい!2004 昨年から始めたオフ会で、たくさんの気づきとオススメと出会いを、「あなた」からもらっている。目の前でチカラ強くプッシュしてもらったり、物語談義を丁々と続けたり

    この本がスゴい!2011
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    pgary 2011/12/01
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊

    毎年この時期になると、「東大教師が新入生にオススメするベスト100」という企画で紹介してきたが、飽きた。 ほとんど変わり映えしないリストにも飽きたし、毎年「ベスト1はカラマーゾフ!」とハヤすのも飽きた。カラ兄が最高であることはさんざん宣伝してきたから、皆さんご承知だろう(異論・反論大歓迎、これを超えるものがあるならね)。 だから、今回はスコープを広げてみる。 ■ この企画の趣旨 東京大学に限らず、新入生を迎えるにあたって、センセイたちは思うところがある(はずだ)。ゼミにくる前に、せめてこれぐらいは読んでおいてもらいたいと望んだり、若かりしころハマったで自分語りをしてみたり。そうした願望を吸い上げているところもいくつか見つけた。以下のとおり。 リスト1 「北海道大学教員による新入生への推薦図書」 リスト2 「京都大学新入生に勧める50冊の」 リスト3 「広島大学新入生に薦める101冊」

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊
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    pgary 2008/04/09
  • 涼宮ハルヒの絶望

    「絶望系 閉じられた世界」を読む。うわーなにコレ、すごくいいじゃないか。「ハルヒ」書いた人とは思えん。小説としての「ハルヒ」の出来はアレだけれど、これは良作、なんってたって、「この超展開、どうなるんじゃぁっ」と(ラストを予感しながらも)ページを繰る手が止まらなくなったから。 ラノベとハーレクインの読者はまさに「物語の消費者」といえる。期待するキャラやストーリーを効率よく吸収するためにページをめくる。けど、これ、ラノベか? 表紙や序盤の「不思議ちゃん+萌エロ」を期待して読むと、ラノベというフォーマットを突き破って唐突に残虐化する展開に仰天するかも。移入すると心が痛い痛い。 またラノベっぽくないのが話し手。ラノベにおける状況説明は、エロゲ並みのモノローグで語られることが多い(キョンの長台詞が典型)。これは心地よいときもあれば鼻につくこともある。その"弱点"を、書では実にスマートに回避してい

    涼宮ハルヒの絶望
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    pgary 2007/07/02
  • 観鈴スイッチ

    たとえば夏の入道雲を見てると、思わず涙がこぼれてしまうときがある。まぶしいからではない、思い出すからだ。あるいは、飛ばないカラスを見かけたときも。そう、観鈴スイッチだ(にははスイッチともいう)。the 1000th summer からずいぶん時間が経っているにもかかわらず、今でもふとしたはずみでスイッチが入る。 AIRの原作だと思い込んでいる「おもいでエマノン」を読んだときも一緒だった。地球の生命すべての記憶を持つ少女と、彼女に惹かれる少年たちがおりなす、せつない物語。ここでは、旅をするのは往人ではなく、観鈴のほう。記憶を保ったまま転生をくり返しているため、名は意味を成さない。だから自らを「エマノン」と名乗る――「エマノン」="EMANON" を逆読みすると "NONAME" 即ち "No Name"――この独白は今なお刺さる。 一番確かで、誰にも変えようがなく、感動させられるものは、その

    観鈴スイッチ
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    pgary 2007/07/02
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「いい親」が子どもをダメにする

    何をもって「いい親」とするかによるが、センセーショナルなサブタイトルにもかかわらず、著者の言い分はかなり同意できた。 はやりの育児法を鵜呑みにして、子どもとトモダチになろうとする親がいる。そもそも育児書なんか読み漁ってないで、周囲(特に自分の両親)に相談しなさい、と主張する。著者はかなりのご年配であることを念頭に読むといいかも。 最初に強く頷いた箇所はここ↓ 全ての基は夫婦の関係。(理想的には)夫婦が互いに信頼しあい、愛し合っている家庭であることが、子育ての最初の一歩。もちろん事情により片親の場合もあるが、それではダメということではない。「理想的には」を頭につけたのはそのため 「子どもへのまなざし」[参照]で知ったが、子どもを家庭の中心に据えて、両親が子どもに寄りかかっている、いびつな関係がある。 それは、子どものことを一生懸命に考えすぎた母親が陥る罠だそうな。わが身を犠牲にすることが、

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    pgary
    pgary 2006/10/20
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