2013年9月、最高裁において、婚外子の相続分を婚内子の半分とする民法の条文に対して違憲判決が下された。これを受けて安倍内閣では11月、相続分差別を削除した民法改正案を閣議決定し、同案は12月5日に国会で可決され、成立した。他方で出生届の婚外子記載を義務付けた戸籍法については、自民党内の反対もあり提出が見送られるとみられている。 この一連の流れに伴い、メディア(掲示板やSNS等を含む)でもさまざまな意見が飛び交っている。そのなかには、根拠がよくわからない主張もしばしば聞かれる。婚外子言説の混乱の背景には、人々が意見を述べる際にどういった婚外子が念頭に置かれているのかが異なっている、という事実がある。 この論考では、現在世界的に見られる婚外子の増加や歴史的な経緯を視野に入れつつ、どういった場合に婚外子についての「コンフリクト」が生じうるのかについて整理していきたい。 現在の日本では多くの子ど
![筒井淳也(2013.12.11)「婚外子差別問題をより広い視点でみてみよう」 | SYNODOS -シノドス-](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/52099b997781d7cea2d109c9f152505a876e57ca/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fsynodos.jp%2Fwp2%2Fwp-content%2Fuploads%2F2021%2F06%2F4929687589_6dd6b4ac53_z-1.jpg)