毒のない麻薬や、アルコールのない酒。害だけを排除した商品が、冗談でなく受け入れられる昨今、自己責任や成果主義といった白黒をつけたがる傾向は強い。しかし世の中の現象は、はっきり二分出来るのものばかりではない。人間の数だけ主張は異なるし、世界は数多くの人間で構成されている。 工藤冬里率いるの新作『セ・ラ・デルニエール・シャンソン』には、177曲の楽曲(bonus discを合わせると237曲)が収められている。最短11秒、最長3分の各曲から感じることができるのは、二分できない部分であり、人間が楽器を奏でることで生じる微妙なズレである。70年代より活動し、陶芸家としての顔も持つ彼の言葉は深淵で難解であるが、「言葉は楽曲よりも遥かに重要」という発言の通り、行間に漂う重みは我々を思慮の海へと導く。敢えてミステイクを間違えとして排除しない理由は、以下のインタビューを読んで欲しいが、<正しい間違い>とい
![maher shalal hash baz『C'est La Derni_re Chanson』](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/cbf000893cba77e7fa919e3722a7e70ae8154774/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimgs.ototoy.jp%2Ffeature%2Fimage.php%2F20090724%2Fbanner.jpg)