「別の価値を持つ場所を繋ぎ合わせて、豊かな生活をつくる。」、『フルサトをつくる』(伊藤洋志 × pha 著) 当たり前のことであるが、「故郷」(ふるさと)という言葉は「生まれ育った土地」のことを指す。けれども、本書では「フルサト」とカタカナ表示にすることで、その「故郷」の中にある機能を指す言葉として使用しているのだ。 つまり、「フルサト」は必ずしも「生まれ育った土地」である必要はないということなのだ。その機能こそが「フルサト」なのである。それはどのような機能なのか。それは本書を読み進むことで確認することができるだろう。 近年、田舎暮らしと都会暮らしを組み合わせるライフスタイルの流れは徐々に強まっている。それはどのような潮流として位置付けることが可能だろうか。その位置付けをここでは2つの観点から行ってみよう。 1つは、歴史的な観点。 近代化は、田舎から都市に、ヒト・モノ・カネが移動させつつ、