私が小学生くらいの頃は、「りぼん」派と「なかよし」派に分かれるクラスメイトたちと、それぞれお気に入りの漫画について話したものだ。少ないお小遣いでは買える漫画に限りがあるので、互いに貸し借りもしたし、その後、「りぼん」や「なかよし」を卒業しても、学生時代、私のそばには少女漫画があった。 きっとこれは私だけの特別な経験ではないはずである。大人になって、たとえ漫画と距離ができたとしても、きっと多くの人の心に忘れられない、印象的な漫画があるだろう。 少女漫画の現状に一石を投じる人がいる。今年で漫画家デビュー35周年を迎え、『マーガレット』(集英社)などで数々の革新的な少女漫画を発表してきた楠本まきさんだ。現在、漫画月刊誌『ココハナ』(集英社)で連載中の「赤白つるばみ・裏」で、登場人物に「ジェンダーバイアス※のかかった漫画は滅びればいい」と語らせるなど、性別の呪縛や「女の子らしさ」に疑問を呈する表現