2012年3月、超党派の国会議員約140人から成る「尊厳死法制化を考える議員連盟」が「終末期の医療における患者の意志の尊重に関する法律案」を公にした。 国会への提出が検討されたものの、見送りになったまま現在に至っているが、これを機に、日本では「尊厳死法制化」をめぐる議論が活発に行われるようになった。 尊厳死法制化をめぐっては関連諸学会の内部だけでなく、学会の公開シンポジウムや市民団体等の主催シンポジウムなどでも広く議論されているものの、法制化を推進しようとする側とそれに反対する側とのあいだで議論がかみ合っているとはほとんど言えない状況が続いている。 その原因として「尊厳死」や「終末期」といった言葉の曖昧さが挙げられることも少なくない。しかし、単に個々の概念や用語が曖昧であるからそれらをしっかり定義してから議論すればよいという問題ではなく、安楽死や尊厳死をめぐる言葉の歴史的・社会的文脈やそう
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