ワクチンの効果は実感しにくい。インフルエンザワクチンを例として考えてみよう。成人の季節性インフルエンザワクチンの有効率は40%~60%程度である(1)。ざっくり50%として、ワクチンなしだと100人中20人が発症する集団に、ワクチンを接種すると、発症を半分、つまり10人に減らすことできる。逆に言えば、ワクチンを接種していても100人中10人はインフルエンザを発症する。 この10人は「せっかくワクチンを接種してもインフルエンザに罹った。ワクチンには効果がない」と誤認しうる。一方、ワクチンのおかげでインフルエンザを発症しなかった10人は効果を実感できない。ワクチンを接種しようがすまいが発症しなかったであろう80人の中に紛れてしまう。 有効率の高いワクチンなら効果を実感できるだろうか。麻疹(はしか)ワクチンの有効率は高く、93%~97%だとされている(2)。集団におけるワクチンの接種割合が高けれ