小さい頃、妹が、何かをねだったり主張したりするときに、「だって、みんな、持っとるもん」「学校のみんなが、そう言いようるもん」という言い方での理由付けをよくしていた。 そのたびに、私が、「みんなって、誰と誰と誰?」と問い返す。それに対して妹が、「だれちゃんと、だれくんと、だれさんの、みんなが、そういうて、言いようた」と言う。すると今度は、弟が、「それは、みんな、じゃないじゃろう。みんな、いうんは、クラスの人全員なのが確認できてからじゃ。そうじゃないんなら、みんな、じゃない」と言う。 妹は、「ひーん。でも、みんなじゃもん。ひとりひとり全員に聞いてなくても、みんなそう思いようると思うもん」と半泣きになる。「やぎ(妹)が勝手に、みんながそう思うとる、いうて思うとっても、実際にみんながそう思いようるかどうかは、それぞれの人に聞いて、たしかめてみんとわからんじゃろ。クラス二十五人中三人しか確認できてな