タグ

ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (7)

  • 森博嗣の傑作を見事にコミカライズした一冊──『赤目姫の潮解』 - 基本読書

    赤目姫の潮解 (バーズコミックス スペシャル) 作者: 森博嗣,スズキユカ出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2018/03/24メディア: コミックこの商品を含むブログ (1件) を見る数ある森博嗣作品の中でも『赤目姫の潮解』は、イメージの奔流のような描写の数々、抽象から抽象へと流れるように話が/視点が繋がっていくスタイル、その詩的な表現の横溢によって多くの読者から難解であるとか、最高傑作であるとか言われている一冊なわけだけれども(でも一番多い言及は「百年三部作の最終作なのにミチルもロイディも出てこないじゃん! かも」)書はそのコミカライズ版である。 ちなみに、僕は迷わず「最高傑作」派だ。これほどまでに読んでいて心地の良い作品は他に存在しないし、こんな語り、描写のスタイルがあるんだ、やってもいいんだ、と気づかせてくれる、”小説の可能性”を広げる自由な一冊なのである。単行でも

    森博嗣の傑作を見事にコミカライズした一冊──『赤目姫の潮解』 - 基本読書
  • SFの醍醐味がつまったSFコミック短篇集──『無限大の日々』 - 基本読書

    無限大の日々 作者: 八木ナガハル出版社/メーカー: 駒草出版発売日: 2018/02/28メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る著者八木ナガハルがコミケやコミティアで発表したオリジナルSF漫画を集めたこの一冊。SF物で一巻完結という時点で珍しいが、その中身は漫画という表現形式ならではの壮大なSFアイディア/光景をみせてくれる、SFとしての醍醐味がたんまり詰まった短編集だ。軌道衛星、何種類もの軌道エレベータ、昆虫型の異生物、機械知性に自由意志問題──といったいくつものネタを、守備範囲が海外SF小説メインのハードSF者と自己紹介する著者が調理していくので、それはまあおもしろいわな。 各作品をざっと紹介する 当は絵、ヴィジョン、見せ方をそのまま貼っつけてお見せしたいところだがそれは無理なので全八篇の収録作を順番に紹介していこう。まず最初に収録されているのは、別々の惑星で同じ

    SFの醍醐味がつまったSFコミック短篇集──『無限大の日々』 - 基本読書
    prince9
    prince9 2018/03/12
  • 魔法と芸術そのものである、書物についてのファンタジィ──『図書館島』 - 基本読書

    図書館島 (海外文学セレクション) 作者: ソフィア・サマター,影山徹,市田泉出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/11/30メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る書『図書館島』はソフィア・サマターの第一長篇にして書物についてのファンタジィ/幻想文学なのだけど、これがもう異様という他なく魅惑的な描写が連続し、ただひたすらこの世界に、この言葉に浸っていたいと思わせる傑作だ。こんなものを第一長篇で書いちゃってどうすんのこの先というぐらいだけど、きっとまだまだ、別方向の物語で驚かせてくれるのだろうと、それだけの懐深さを感じさせる作家である。 物語の主な舞台となるのは複数の国々からなるオロンドリア帝国と、「紅茶諸島」と呼称される島々。語り手であるジェヴィックは紅茶諸島の中でも裕福な農園の跡継ぎ息子だ。紅茶諸島に住まう民が使う言語であるキデティ語は文字を持たないが、ジ

    魔法と芸術そのものである、書物についてのファンタジィ──『図書館島』 - 基本読書
  • 早川書房の電子書籍版「海外SFセール」がきたので個人的オススメを紹介する - 基本読書

    早川書房が突然電子書籍版の海外SFセールをはじめたので、SFマガジンで海外SFブックガイドの連載を担当していてかつブログも書いている身なので、これはまあ、さすがになんかオススメとか書いておいたほうがいいかという気持ちになってきたので今この記事を書いている。いろいろな角度からオススメしたいばかりなので全部取り上げられるわけではないが、まあ軽い目安としてご活用ください。 まずはこれを読むと良いのでは?? ハヤカワ文庫SF総解説2000 (早川書房) 出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/07/08メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るハヤカワ文庫SF総解説2000。2015年に出た『ソラリス』文庫版によって2000番に到達したハヤカワ文庫SFを記念して、2000冊分のSFを総解説した一冊。ほとんどの作品は340文字で的確に、シリーズ物などは1ページまるっと使って解説し

    早川書房の電子書籍版「海外SFセール」がきたので個人的オススメを紹介する - 基本読書
    prince9
    prince9 2017/11/12
  • 人工知能本読みすぎて飽きたけどその中でも記憶に残っている本を紹介する - 基本読書

    この数年人工知能バブルかってぐらい人工知能関連が出まくっていて、最初の頃は律儀に一冊一冊読んでいたもんだが、だんだん飽きてきた(そりゃ読みまくってるんだからそうだ)。やれ人工知能仕事が奪われるだとか奪われない仕事はなんだとかの話は定番だが、定番すぎてそうそう新しい解釈が出てくるわけではない。消える仕事は消えるし、残る仕事の分野もだいたい明らかになってきている。 とはいえそれでも読んでいると「おお、これは視点が良いな」と思えるものもあり、そういうのは読んでいて楽しい。その書き手はやっぱり基的には専門的な知識を持っている人たちだ。認知ロボット工学者であったり、AI研究所に勤めていたり、機械学習の専門家だったりする。最後のはまた特殊事例といえるが、稿ではそうした人工知能飽きた僕の中で記憶に残っているをいくつか紹介してみようと思う。 まずは基的なところを教えてくれる一冊 シンギュラリ

    人工知能本読みすぎて飽きたけどその中でも記憶に残っている本を紹介する - 基本読書
  • 数学的原理に裏打ちされたファンタジー小説──『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』 - 基本読書

    精霊の箱 上: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2016/10/26メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る精霊の箱 下: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2016/10/26メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る書は副題にチューリングマシンをめぐる冒険とあるように、「チューリングマシン」について、その諸原理や応用問題を取り扱った一冊である。チューリングマシンとは計算を数学的にモデル化するために生み出されたもので──と説明を始めたらキリがないので一旦終わるが、それと同時に、書は「格ファンタジー」でもある。 ベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を筆頭として、ストーリー仕立てで現実の経営論や

    数学的原理に裏打ちされたファンタジー小説──『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』 - 基本読書
    prince9
    prince9 2016/10/31
  • SFマガジン2014年6月号のジュブナイルSF特集について - 基本読書

    面白い特集だった。普段は買わない雑誌でも特集が気になるとつい買ってしまうね。メインの一つとして取り上げられている魔法科高校の劣等生をWeb版から読んでいたこともある。いくつか面白かったところをピックアップして、雑記みたいな感じで思ったことでも書いていこう。 まずジュブナイルSFについてだけれども、これからはジュブナイルSFの時代がくるのかもしれないと思っている。その根にはSFは身近な物になるというか、もうなっているという現状がある。十年後どうなるかろくに想像も変化が早すぎて十年後ろくにどうなるか想像もつかないような現代においては、あっという間に古びていく現代をそのまま書くよりも未来を書いたほうがその心情にはよくあっているからだ。 つまりはSFが現代小説そのものとして普通に需要されるのではないかなあとこれを読みながら、というよりかはもうずいぶんまえから考えていることなので思い返していた。そ

    SFマガジン2014年6月号のジュブナイルSF特集について - 基本読書
    prince9
    prince9 2014/04/26
  • 1