1967年、虫プロ商事から「COM」が創刊されました。私がまだ中学生の頃です。前にも書きましたが、私の住む町には本屋さんがなかったので、「COM」の創刊号との出会いは奇跡に近い出来事です。たまたまバスで出かけた市内の、今はもう取り壊されてしまったデパートから続く小さな商店の並びの一番端、本屋さんと呼ぶよりブック・コーナーと言った方がいいような小さな一角の前に「COM」の創刊号が置かれていました。手塚治虫氏のライフワークである「火の鳥」の表紙が輝いて見えたものです。「火の鳥」や、石森(石ノ森)章太郎さんの「ジュン」、公募から出てきた岡田史子さんの一連の短編……随分と影響を受け、また愛読したものです。 「COM」は連載と単発のマンガに情報ページ、評論、「ぐら・こん」という読者投稿とマンガ家予備軍の集いのコーナー等から構成されていました。当時、『鉄腕アトム』と『ジャングル大帝』ですっかり虫プロの