アニメ夏興行特集4『スカイ・クロラ』 押井守のメッセージは届いたか 前作『イノセンス』の興行収入は10億、同年公開された『スチームボーイ』が11.6億であった。これは図らずも劇場クールアニメに興行的限界を示唆しているように思えた。結局、日本の劇場アニメはジブリとテレビアニメの劇場版、例外的にエヴァンゲリオンしかないのであろうか。 『イノセンス』はジブリの鈴木敏夫氏が宣伝プロデューサーの上に東宝が配給ということもあり期待感は高かった。しかし、それでも興行収入10億止まりであったことが今作の興行的スケールダウン感につながっているのだろう。 公開週末2日間で1.1億円の興行収入、興行通信のランキングでは初登場7位であった。翌週9位、翌々週はランク外であった。同日公開の『劇場版NARUTO−ナルト−疾風伝 絆』が30日間で興行収入11億円とあるので、おそらくその半分程度ではないか。 『スカイ・クロ
『宮崎アニメは、なぜ当たる スピルバーグを超えた理由』(斉藤守彦/朝日新書700円税別) 宮崎作品とスピルバーグ作品の比較書 7月出版という時期を考えると一種の「ポニョ本」であろうが、タイトルに引かれて思わず買ってしまった。いわゆる作品を語る宮崎本が多い中でこの本はビジネスについて触れていると思ったからである。 で、実際読んでみたら、トトロ以降の宮崎作品とスピルバーグ作品の興業成績を中心に述べられた、何というか映画業界本であった。確かに日本において宮崎作品と比肩しうる力量を持った個性はスピルバーグくらいしかいない。 ということで、それで宮崎アニメがなぜ当たり、なぜスピルバーグを超えたのかその理由がわかったかというと、予測したとおりであったがそんなことはなかった(但しデータは役に立ちます)。もちろん、色々な推論が書かれてあるのだが、どれも今ひとつ腑に落ちる説得力を持たない。 まあ、なぜ宮崎ア
『ドラゴンボール』実写化⑧〜脚本のクレジットを巡って アメリカの場合、日本と違って作品を生み出す原動力となっているのは脚本である。もちろん、小説やコミツクを原作としたものも多いが、基本となるのがオリジナル脚本である。 アメリカ人は日本人がマンガを書くような感覚で脚本を書く。そのせいか脚本家志望の人間が実に多く層が厚い。コンテストをやらないとなかなか脚本が集まらない日本と違って、スタジオやエージェントには毎週山のようなシナリオが送られてくる。だからシナリオを事前に読んで、格付してからプロデューサーに渡すストーリー・アナリストといったビジネスが成り立つのである。 アメリカでは脚本が日本におけるマンガの役割を果たしている。つまり、ストーリーの源泉が脚本にあるということである。ハリウッド映画と日本のアニメの圧倒的質量はストーリーの源泉がガッチリ確保されているからに他ならない。 脚本のクレジットは一
2007年を振り返る⑧〜アニメ発表形態の多様化その1 〈2ndシーズン制〉が増える 「2007年知っておきたいアニメ事情」の六つ目は「アニメ発表形態に多様化の波」である。これには二つの意味があり、ひとつは2ndシーズン制が増えたというリリース形態に関するものであり、もうひとつはネット配信やCS放送、地上波U局などのメディアの多様化という意味である。 2ndシーズン制が増えたのはハリウッドで続編が増えたのと同様の理由であろう。テレビの場合、長めのシリーズは資金、制作面などでの負担が大きい。そこで、リスク回避のためにも、まずはファーストシリーズの反応を見て、よければ次回シリーズにGOをかければいい。逆に2ndシーズンを想定した企画でもコケればあとがない。 もちろん、制作上(スケジュール)の問題も大きな比重を占める。今回『ガンダムOO』を二シーズンに分けたのもそのためであろう。このレベルの作品を
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