モロッコの海岸都市アガディールに集まるベルディの群れ。ベルディはこの国に暮らす雑種犬の総称で、モロッコで話されているアラビア語の方言、ダリジャ語で「田舎から来た」を意味する。(Photograph by Erika Hobart) ここはアフリカ、モロッコの港町タンジェ。サリマ・カダウィ氏の一日はまだ暗いうちに始まる。街の大半が眠っているこの時間、通りをわが物顔で闊歩しているのはベルディと呼ばれる野良イヌたちだ。 8月のこの朝、カダウィ氏はバンで出発すると、わずか数分で1匹目を見つけた。茶色いイヌで、鼻先が黒く、足先が白い。ベルディとは、モロッコにすむ雑種のイヌたちの総称で、モロッコの方言、ダリジャ語で『田舎から来た』を意味する。 カダウィ氏は車を道端に止め、ドッグフードとスリップリード(紐の端の輪をイヌの首にかけると輪が締まるタイプのリード)を持って外へ出る。イヌは警戒しつつ尻尾を振って
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