12月18日に閣議決定された防衛大綱。メディアの注目を集めたのはいわゆるいずも型護衛艦の「空母化」問題だったが、その議論は防衛戦略の有効性を検証する上では、本質的ではない。防衛大綱とはどのような性格の文書なのか、防衛戦略とはどのように組み立てられるものなのか、評価をしてみたい。(前編はこちら) 30大綱のキャッチフレーズ 「多次元統合防衛力」とは 30大綱のキャッチフレーズである「多次元統合防衛力」とは、陸・海・空の従来領域のみならず、宇宙・サイバー・電磁波といった新領域とが組み合わさった戦闘様相に対応するため、「個別の領域における能力の質及び量を強化しつつ、全ての領域における能力を有機的に融合し、その相乗効果により全体としての能力を増幅させる領域横断(クロス・ドメイン)作戦により、個別の領域における能力が劣勢である場合にもこれを克服し」「平時から有事までのあらゆる段階における柔軟かつ戦略