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もちつけに関するエントリは18件あります。 歴史Book軍事 などが関連タグです。 人気エントリには 『正直、すごい煽り気味のタイトルではあるが、しかし、それに見合うだけの面白さと説得力がある -春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)』などがあります。
  • 正直、すごい煽り気味のタイトルではあるが、しかし、それに見合うだけの面白さと説得力がある -春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

    春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』を再読。 なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書) 作者:春日太一 発売日: 2014/09/16 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 かつて映画やテレビドラマで多くの人々を魅了した時代劇も、2011年には『水戸黄門』が終了し、民放のレギュラー枠が消滅。もはや瀕死の状態にある。その理由はひとこと。「つまらなくなったから」に他ならない。/「高齢者向けで古臭い」という固定観念、「自然体」しか演じられない役者、「火野正平(=いい脇役・悪役)」の不在、マンネリ演出を打破できない監督、何もかも説明してしまう饒舌な脚本、朝ドラ化するNHKの大河ドラマ・・・・・・。 (引用者後略) という内容。 正直、すごい煽り気味のタイトルではあるが、しかし、それに見合うだけの面白さと説得力がある。*1 以下、特に面白かったところだけ。 時代劇はマンネリと言われてしまうの背景 その結

    • 「かわいい」を日本の専売特許とばかりみなすのは生産的ではない。その通りだ。 -阿部公彦『幼さという戦略』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

      阿部公彦『幼さという戦略』を読んだ。 幼さという戦略 「かわいい」と成熟の物語作法 (朝日選書) 作者:阿部公彦 発売日: 2015/10/09 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 老人も子どもも持っている「幼さ」の底力!権力の語りに抗う「弱さの声」の可能性。太宰治、村上春樹から江藤淳、古井由吉まで、新しい視座と繊細な手触りのある文芸評論エッセイ。 という内容。*1 特に、個人的には武田百合子『富士日記』論と「かわいい」論がたいへん興味深く読めた。*2 以下、特に面白かったところだけ。*3 近代以前の「うさぎ」イメージ 「日本独自に歴史的に継承されてきた兎のかたち」は、これらの「キャラクター化された兎によって浸食されてしまった」 (92頁) 現在の日本のうさぎブームは、明治期に西洋のうさぎのイメージが輸入されてからのものだという。 日本にも伝統的なうさぎ文化はあった。 しかし、そうし

        「かわいい」を日本の専売特許とばかりみなすのは生産的ではない。その通りだ。 -阿部公彦『幼さという戦略』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
      • 「あたしたちと違って志願じゃないらしく、チョゴリを着て、『アイゴー、アイゴー』と泣く姿がなんとも悲しかった。」 ―広田和子『証言記録 従軍慰安婦・看護婦』を読む― - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

        広田和子『証言記録 従軍慰安婦・看護婦』を読んだ(再読)。((読んだのは、ハードカバー版の1975年のもの。)) 証言記録従軍慰安婦・看護婦―戦場に生きた女の慟哭 作者:広田 和子 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 1970年代初頭、生存していた従軍慰安婦や看護婦たちに長時間インタビューを試み正確に活字化。体験者が語った貴重な戦場の実態。 というもの。*1 *2 以下、特に面白かったところだけ。 芸者の延長だろうと思っていた あの当時で四千円近い借金があったの(ハガキが二銭のころ)。芸者というのはお金がかかるのよ。着物一枚買うのにも借金だし、踊りや三味線も習わなきゃならないでしょ。 (引用者中略) 結うたびに一円近くかかってしまう。だから借金は増えるばっかりだったわ (19頁) 芸者をやるにはカネがかかった。*3 南洋の島で頑張れば、そんな生活から抜け出せる。 そのように思って日

          「あたしたちと違って志願じゃないらしく、チョゴリを着て、『アイゴー、アイゴー』と泣く姿がなんとも悲しかった。」 ―広田和子『証言記録 従軍慰安婦・看護婦』を読む― - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
        • ちゃんと日本政府に対して、憲法の「再検討」をしてよいと指示していたのに -古関彰一 『平和憲法の深層』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

          古関彰一 『平和憲法の深層』を読んだ。(再読) 平和憲法の深層 (ちくま新書) 作者:古関 彰一 発売日: 2015/04/06 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 改憲・護憲の谷間で、憲法第九条の基本的な文献である議事録は、驚くべきことにこの七〇年間ほとんど紹介されてこなかった。「戦争の放棄」と「平和憲法」は、直接には関係がないし、それをつくったのは、マッカーサーでも幣原首相でもなかった。その単純でない経過を初めて解き明かす。また「憲法はGHQの押し付け」と言われるが実際はどうだったか。「日本は平和国家」といつから言われてきたのか。「敗戦」を「終戦」に、「占領軍」を「進駐軍」と言い換えたのは誰が何のためだったか…などについて、日本国憲法誕生の経過を再現し、今日に至る根本的重大問題を再検討する。 という内容。 現在の憲法を語るうえでは、やはり古関彰一を読まざるを得ない。*1 以下、特

          • 政治に失望する前に、立法府を活性化させるためにできること -大山礼子『日本の国会』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

            大山礼子『日本の国会』を再読。 日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書) 作者: 大山礼子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/01/21 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (27件) を見る 「政党間の駆け引きに終始し、実質的な審議が行われない国会。審議空洞化の原因はどこにあり、どうすれば活性化できるのか。戦後初期からの歴史的経緯を検討した上で、イギリスやフランスとの国際比較を行い、課題を浮き彫りにする」という内容。 本書は2011年と古い本となってしまったが、しかし、相も変わらず読まれるべき書物である。 そのくらい、立法府の課題は放置されたままである。 政治に失望する前に、立法府を活性化させるためにできることはあるのだ。(もちろん問題は、立法府だけにあるのではないのだが。) それにしても、「『ねじれ国会』が常態化した今、二院制の

            • そういう行政をもったら「この世は終わりだ」くらい考えたほうがいい -木庭顕『笑うケースメソッドII』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

              木庭顕『笑うケースメソッドII 現代日本公法の基礎を問う』を読んだ。 [笑うケースメソッドII]現代日本公法の基礎を問う 作者: 木庭顕 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2017/02/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 内容は、紹介文にある通り、「公法の根底にある、近代ヨーロッパ概念である政治システムとデモクラシー。そしてそれらが全面的にギリシャ・ローマの観念体系に負うことを踏まえ、人権概念へと迫る」という内容である。 AMAZONのレビューでは、「本書の脚注に挙げられている数多の文献のうち、ほとんどを読んでいないことに絶望感を覚える読者が大半なのではないだろうか」と書かれているが、その絶望感をやり過ごして、以下に、特に興味深かったところだけ、書いていきたい*1。 占有呼ばわり 私もロースクール棟の廊下で見ず知らずの学生にいきなり「あ、占有!」と指差

                そういう行政をもったら「この世は終わりだ」くらい考えたほうがいい -木庭顕『笑うケースメソッドII』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
              • 「コルセットをしなくてもいいとどんなにいいだろう」と、与謝野晶子は述懐した -乳房文化研究会 (編)『乳房の文化論』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                乳房文化研究会 (編)『乳房の文化論』を読んだ。 乳房の文化論 発売日: 2014/11/19 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 おっぱい、お乳、バスト、胸、時と場合によってまことに変幻自在、さまざまの呼び名で親しまれている乳房はまったくもって「不思議のかたまり」。そして、その不思議の分だけ乳房の研究、乳房の学問は奥が深い。20年以上にも及ぶ広範な研究のなかから精選された乳房論の数々。 という内容。 研究会だけあって、内容は実に真面目である。 この対象に関して興味のある方はどうぞ。 以下、特に面白かったところだけ。 (なお、以下に取り上げるのは、すべて、深井晃子「揺れ動くおっぱい―ファッションと女性性への視線」からのものである。) パッドとコルセットの歴史 現在の偽おっぱい、パッドの祖とでも言うべき小物を使って取り繕おうとする年配女性たちの、むなしくも切ない努力 (258頁) 1

                  「コルセットをしなくてもいいとどんなにいいだろう」と、与謝野晶子は述懐した -乳房文化研究会 (編)『乳房の文化論』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
                • 二大カリスマを通して読む黒人社会。そして、キング牧師はどのような盗作を行ったかについて -上坂昇『キング牧師とマルコムX』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                  上坂昇『キング牧師とマルコムX』を読んだ。 キング牧師とマルコムX (講談社現代新書) 作者:上坂 昇 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1994/12/16 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 対照的な二大カリスマを通して読む黒人社会。マルコムXブームの意味とは何か? 台頭するブラックナショナリズムとは? 一見相反する二人の代表的指導者の思想と足跡から「黒人運動とアメリカ」を問う。 というもの。 1990年代の本ではあるが、しかし、今も読まれる価値があるように思う。 以下、特に面白かったところだけ。 すでに戦いは始まっていた その運動は実際には二〇世紀の前半からはじまっていた。 (10頁) 公民権運動について。 全国黒人地位向上協会はすでに、1909、10年に設立されている。 1954年には、公立学校での人種分離を禁止したブラウン判決を獲得しているのである。*1 キング牧師の論

                  • 物乞いまで余儀なくされている「半分」が、なぜ富める「半分」に反抗して決起しないのか -コンパニョン『寝るまえ5分のモンテーニュ』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                    アントワーヌ・コンパニョン『寝るまえ5分のモンテーニュ』を読んだ。 寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門 作者: アントワーヌ・コンパニョン,山上浩嗣,宮下志朗 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2014/11/18 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 内容は、紹介文にある通り、「知識人の教養書として不動の地位を占める世界的名著『エセー』。味わい深いモンテーニュの言葉を豊富に引きながら、その大著のエッセンスを見事に凝縮した40章。本格派の入門書」という内容。 もとはラジオ番組*1がもとになっているという。 特に面白かったところだけ。 不公平と文明 インディオにとっての第二の衝撃は貧富の差である。 (24頁) インディオが欧州に来たときのこと。 いくつものことでかれらは驚いたという。 その中でも、欧州が貧富の差が激しく、そうして貧困にあえぐ人々が、こうし

                      物乞いまで余儀なくされている「半分」が、なぜ富める「半分」に反抗して決起しないのか -コンパニョン『寝るまえ5分のモンテーニュ』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
                    • やはり、「戦争は飯をまずくする(物理)」というような話。 -斎藤美奈子『戦下のレシピ』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                      斎藤美奈子『戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る』(のオリジナル版)を読んだ。 (サムネイルは、現代文庫版だが。) *1 戦下のレシピ――太平洋戦争下の食を知る (岩波現代文庫) 作者: 斎藤美奈子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/07/16 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る 内容は、解説文にある通り、 十五年戦争下の婦人雑誌の料理記事は、銃後の暮らしをリアルに伝える。配給食材の工夫レシピから、節米料理の数々、さまざまな代用食や防空壕での携帯食まで、人々が極限状況でも手放さなかった食生活の知恵から見えてくるものとは というもの。 「戦時下」というのがどういうものか、食の視点から実によくわかる一冊である。 以下、特に面白かったところだけ。 戦前における、料理に手間暇をかける余裕 このイデオロギーは婦人雑誌などのメディアによって「つくられた」部分が大き

                        やはり、「戦争は飯をまずくする(物理)」というような話。 -斎藤美奈子『戦下のレシピ』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
                      • 確かにこんな哲人王はヒトラーには無理。あと「高貴な嘘」について -斎藤忍随、後藤明生『「対話」はいつ、どこででも』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                        斎藤忍随、後藤明生『「対話」はいつ、どこででも』を読んだ。 「対話」はいつ、どこででも―プラトン講義 (1984年) (Lecture books) 作者: 斎藤忍随,後藤明生 出版社/メーカー: 朝日出版社 発売日: 1984/12 メディア: ? この商品を含むブログを見る 内容は、哲学者(哲学研究者)と小説家の対話、なかでもサブタイトルにもあるように、プラトンに関する話が一番の読みどころ。*1 以下、特に面白かったところだけ。*2 高貴な嘘 哲学者のくせに嘘を語るとは何事かと。 (125頁) プラトンは英訳すると、tell a noble lieをやっている。 これが後代批判されることになったが、ギリシャ語のウソにあたる「プセウドス」は、フィクションという意味もある。 そこら辺を押さえておかないと、プラトンについて、とんだ誤解をしてしまうのである。 ただ、詳細は、話すと長い。*3 *

                          確かにこんな哲人王はヒトラーには無理。あと「高貴な嘘」について -斎藤忍随、後藤明生『「対話」はいつ、どこででも』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
                        • 現実空間で仲間とつるむ場がないからネットに向かっている、という「若者」の現実。 -ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                          ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる』を読んだ(再読)。 つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの 作者:ダナ・ボイド 発売日: 2014/10/09 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 本書は、若者メディア研究の第一人者ダナ・ボイドが、若者、親、教育関係者を含む、166人のインタビューからソーシャルメディア利用の実態を読み解くもの。若者たちを観察してみると、ネットにはまっているわけでも、ヘンなことばかりしてるわけでもなく、親や教師が顔をしかめる“ネットの問題”は、大人の窮屈な監視をかわすための処世術だったり、現実空間で仲間とつるむ場がないからネットに向かっていたり……、ネットでつながる事情はなかなか複雑です。そんな、つながりっぱなしの若者たちの実情に深く迫ることで、じつは、わたしたちのネットとの付き合い方も透けて見えてきます。 という内容。

                            現実空間で仲間とつるむ場がないからネットに向かっている、という「若者」の現実。 -ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
                          • 「アメリカは、古都ゆえに空襲もしなかったのか? そんなことはない」 -中西宏次『戦争のなかの京都』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                            中西宏次『戦争のなかの京都』を読んだ。 戦争のなかの京都 (岩波ジュニア新書) 作者: 中西宏次 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2009/12/18 メディア: 新書 購入: 5人 クリック: 45回 この商品を含むブログ (4件) を見る 内容は、紹介文の通り、「アメリカは、古都ゆえに空襲もしなかったのか? そんなことはない。数回にわたる米軍の空襲で、約100人の死者を出していた。西陣織などの地場産業は壊滅状態になったし、寺社も金属供出、宝物保護なでど大わらわだった。これまでほとんど語られてこなかった、戦争中の京都の姿を描く」というもの。 京都は空襲を受けていない、と思っている人も少なくないだろうと思うので、その点本書は読む価値ありである。*1 京都の寺社の金属供出 信仰の対象たる仏像もふくめ、梟の水(手水所)の竜の口(吐水口)、「音羽の滝」の滝口にいたる階段の金属製手すりにい

                            • 切り札としての「占有」。あるいは、君が見た光、僕が見た希望 -木庭顕『笑うケースメソッド』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                              木庭顕『笑うケースメソッド 現代日本民法の基礎を問う』を再読した。 [笑うケースメソッド]現代日本民法の基礎を問う 作者: 木庭顕 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2015/01/14 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 内容は、紹介文にある通り、「基本書を開けばどれも当たり前に出てくる民法の用語たち。だが現代日本の民事事件とがっぷり四つに組んだ本書を読んだら最後、そこにはこれまでとは違った世界が広がり、根本的な問題が浮かび上がっているはずだ。有名判例を一つ一つ、事案の細部にわたって笑いとともに解きほぐす」といった内容。 読んで笑えるかどうかはともかく、説かれる内容は実に知的で面白い。 「占有」をキーワードに、有名な判例を読み進めることで、民法、特に現代日本民法の問題点が浮き彫りになる。 以下、特に面白かったところだけ。*1 「占有」とは何か。 占有という、

                                切り札としての「占有」。あるいは、君が見た光、僕が見た希望 -木庭顕『笑うケースメソッド』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
                              • 「俗情との結託」と『神聖喜劇』、から、花田清輝と異邦人論争の話まで -『大西巨人 抒情と革命』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                                『大西巨人 抒情と革命』(河出書房新社、2014年)を読んだ。 大西巨人: 抒情と革命 作者: 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/06/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は、「先日、物故した戦後文学、最後にして最大の巨匠が遺した問いとは何か。対談、文選、論考など。」という紹介文の通り、大西が亡くなった頃に出たムック本である。 以下、特に面白かったところだけ。 「改札スト」について 「改札スト」は、戦後、京浜地区で実際に行われたことがあるんですよ。 (59頁) 過去の大西との対談での、武井昭夫による発言である。*1 大西は、スト中はただで乗客を乗せるというやり方なら支持するだろうと述べていた。 それに対して武井は、もうやっている、と返答した。 京浜地区で行われ、改札を無人にして乗客を無料でのせた。 大西は、そうした「柔軟な発想」を支持した。*2 武力革命路線と

                                  「俗情との結託」と『神聖喜劇』、から、花田清輝と異邦人論争の話まで -『大西巨人 抒情と革命』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
                                • 陸奥の日清戦争に関する外交政策は、「陸奥神話」が形成される以前は芳しいものではなかった ―大谷正『日清戦争』を読む― - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                                  大谷正『日清戦争』を読んだ(再読)。 日清戦争 (中公新書) 作者:大谷 正 発売日: 2014/06/24 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 朝鮮の支配権をめぐり開戦に至った日清戦争。平壌の戦いをはじめ各戦闘を詳述しながら、前近代戦の様相を見せたこの戦いの全貌を描く というもの。 日清戦争というのは、あとの日露戦争やアジア太平洋戦争と比べて、その実相があまり知られていないかもしれないが、知るべきことは多い。 以下、特に面白かったところだけ。 井上馨と甲申政変 井上は竹添公使が暴走して朝鮮の内政に干渉したことを隠蔽して、日本側が政変の被害者であったことを朝鮮に認めさせ、謝罪と賠償を要求した。 (13、14頁) 甲申政変において、井上馨はこうした振る舞いを行ったのである。*1 長崎とロシアの蜜月の時期 ロシアとの関係が深まるとともにロシア系住民の数が増え、一九〇〇年頃の調査では長崎在住

                                    陸奥の日清戦争に関する外交政策は、「陸奥神話」が形成される以前は芳しいものではなかった ―大谷正『日清戦争』を読む― - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
                                  • 悪臭都市だった平安京から、汲みとり式便所と京野菜の話まで(あと、その他諸々の話題) -高橋昌明『京都〈千年の都〉の歴史』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                                    高橋昌明『京都〈千年の都〉の歴史』を読んだ。 京都〈千年の都〉の歴史 (岩波新書) 作者:高橋 昌明 発売日: 2014/09/20 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 平安の都、日本の〈千年の都〉として、今も愛される京都。しかし今の京都には、実は平安当時の建物は一つも残っていない。この都はいかにして生まれ、どのような変遷をたどり、そして「古都」として定着するに至ったのか? 平安京誕生から江戸期の終わりまでその歴史をたどり、「花の都」の実像を明らかにする。 というもの。 結果的に、「臭い」話ばかり取り上げるが、もちろん、それ以外の話題も、読みどころありである。 以下、特に面白かったところだけ。 悪臭都市・平安京 平安京も相当な悪臭都市だった (54頁) 平安京の溝渠には、人間の排泄物も流されていた。 ただでさえドブ化しやすいのに、そのうえ、溝沿いの家からは、汚水が垂れ流しとなっていた

                                    • 「靖国化」していた摩文仁の丘と、それから、沖縄料理が不味いと言われた時代について -多田治『沖縄イメージを旅する』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)

                                      多田治『沖縄イメージを旅する』を読んだ。 沖縄イメージを旅する―柳田國男から移住ブームまで (中公新書ラクレ) 作者:多田 治 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2008/08 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 青い海、白い砂浜、穏やかな三線の音。「基地の現実」を一手に引き受けてきた島で、こうした南の楽園像は誰によって、いかにしてつくられたのか。数々の風景を通じて、沖縄のいまを探る というもの。 沖縄の現在抱かれるイメージと、過去の実像との間にある断層を、いくつも見つけることができる。 以下、特に面白かったところだけ。 「靖国化」と沖縄戦の語り 五〇年代後半から六〇年代前半にかけて、沖縄戦の語りは軍隊中心の戦史が主流になった。 (97頁) 実際この時期に、軍を顕彰する慰霊塔が林立するようになる。*1 五〇年代後半の沖縄の「靖国化」には、遺族年金給付開始が、影響している。

                                        「靖国化」していた摩文仁の丘と、それから、沖縄料理が不味いと言われた時代について -多田治『沖縄イメージを旅する』を読む- - もちつけblog・はてなブログ版(仮)
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