ビルの窓や壁に設置して発電できる次世代型の太陽光電池の研究開発が進んでいる。透明で熱を吸収するタイプもあり、普及が進めば電力不足の解消だけでなく、温暖化対策にも期待がかかる。技術的にはまだ確立されていない部分もあるが、都市に林立するビルそのものが「発電所」となる未来が見えつつある。 10センチ四方と手のひらほどしかない薄いガラス板。「高層ビルの窓に設置すれば、建物そのものが発電所となり、災害に強い街づくりにもつながる」。赤外線(赤外光)を使って発電する次世代型の太陽光電池を開発した大阪大産業科学研究所の坂本雅典教授(光化学)はこう説明する。 太陽光は波長の長さによって可視光、紫外線(紫外光)、赤外線に大別されるが、従来型の太陽光発電には可視光が使われてきた。太陽光の4割超を占める赤外線はエネルギー量も低く未使用だった上、熱を内包して二酸化炭素に吸収されやすく、地球温暖化の原因となっている。