1880年代の終わり頃、パリを流れるセーヌ川の辺りで一人の少女の遺体が引き上げられました。 身元不明で、名前も年齢も出自もまったくの謎。 どのようにパリで暮らし、なぜセーヌ川で溺死したのか、何にも分かりませんでした。 それゆえ、遺体は「セーヌ川の身元不明少女(l’Inconnue de la Seine)」と呼ばれるようになります。 謎の死を遂げた少女ですが、彼女は後の世で”史上最もキスされた唇(The Most-Kissed Lips in All of History)”として、数えきれない程の人命を救うことになるのです。 誰もが一度は目にしたことのある心肺蘇生法の訓練用マネキン。その顔は彼女のデスマスクを参考に作られています。 なぜ彼女は、死後そんな数奇な運命を辿ることになったのでしょう?