生誕90周年上映 フランソワ・トリュフォーの冒険 6月24日(金)〜7月14日(木)東京・角川シネマ有楽町、名古屋・伏見ミリオン座 7月1日(金)〜大阪テアトル梅田にて開催他、全国順次公開予定
私が対象aと呼ぶもの、それはフェティシュとマルクスが奇しくも精神分析に先取りして同じ言葉で呼んでいたものである。celui que j'appelle l'objet petit a [...] ce que Marx appelait en une homonymie singulièrement anticipée de la psychanalyse, le fétiche (Lacan, AE207, 1966年) 装置が作動するための剰余享楽の必要性がある。つまり享楽は、抹消として、穴埋めされるべき穴として、示される。〔・・・〕実に私が剰余享楽と呼ぶものは、剰余価値であり、マルクスの悦、マルクスの剰余享楽である。 la nécessité du plus-de-jouir pour que la machine tourne, la jouissance ne s'indiqua
黒沢清監督「まさか、自分が出演するとは思わなかった」 10名の監督を選んだ理由とは? 今日の映画界で活躍するフィルムメイカーたちの新鮮な視点でヒッチコックの“映画術”をひも解くドキュ メンタリー、『ヒッチコック/トリュフォー』が 12 月 10 日(土)より、新宿シネマカリテほかにて全国公 開いたします。 このたび、第 29 回東京国際映画祭特別上映作品として上映され、上映後にはケント・ジョーンズ監督と、 本作にも出演されている黒沢清監督のトークショーが行われました。 ■日程 10/29(土)14:40~15:25 ■場所 TOHO シネマズ 六本木スクリーン3 ■登壇者 ケント・ジョーンズ監督『ヒッチコック/トリュフォー』 黒沢清監督『ダゲレオタイプの女』29 日に東京国際映画祭にて特別上映された本作、満員の客席から拍手で迎えられ、『ヒッチコック /トリュフォー』のケント・ジョーンズ監督
フランソワ・トリュフォーのキャリアは映画と文学の横断について思考するところから始まった。批評家として論考「フランス映画のある種の傾向」を発表し、当時のアダプテーション作品を批判したトリュフォーは、その3年後に初監督作『あこがれ』でモーリス・ポンスによる『悪童たち』の翻案に挑戦する。そしてその1年後、論考「映画における文学の翻案」でレーモン・ラディゲの同名小説を原作としたクロード・オータン=ララ『肉体の悪魔』を取り上げ、改めてアダプテーションの問題にアプローチしている。これら二つの翻案論と『あこがれ』からわかるのは、トリュフォーが一人称回想小説の翻案に関心を持っていたということである。 本稿では、『あこがれ』における奇妙な語り手——「一人称の特定できない語り手」——について、一人称回想形式の翻案という観点から考察する。まずは二つの翻案論を参照しながらトリュフォーの主張した「正当なアダプテーシ
書評:アルフレッド・ヒッチコック、フランソワ・トリュフォー『映画術』(晶文社) 映画評論家で、本書の訳者である、山田宏一によると、本書は、 『「ヒッチコック/トリュフォー」の通り名で世界的に知られるこの熱い対談の書は、ヒッチコック研究者たちの〈聖典〉とみなされているばかりではなく、〈映画の法典〉とまで呼ばれている名著である。』(P358) ということになり、かなり評価が辛い方である私が読んでも、やはり「名著」の名に値すると評価できた。 しかしながら、本書が「名著」と呼ばれる理由は、二つある。 (1)その「人となり」を解き明かす中で、ヒッチコックの映画術が、明快に解明されている。 (2)そうした評価を耳にしたファンが、「読みやすい」本書に感激して「そうだ、そうだ」と追従的な声を上げることで、名著という評価が定まった。 ということである。 いささか皮肉な書き方になってしまったが、ヒッチコックフ
イントロダクション ゴダールが畏敬した 最初で最後のヌーヴェル・ヴァーグ―― パリの街並み、地中海の陽光、きらめく砂浜、ロマンスに夢中の少女とうつろいゆく青春を謳歌しようとする男たち……。輝く季節を軽やかに大胆に切り取るジャック・ロジエの才能に、ヌーヴェル・ヴァーグの象徴であるゴダールは絶賛し、トリュフォーは嫉妬したという逸話をもつ。 今回の特集上映では、ジャック・ロジエ監督の長篇劇映画全5作品のうちデジタル・レストアされた4作品と短篇2作品を上映。長篇『トルテュ島の遭難者たち』と『フィフィ・マルタンガル』は劇場初公開となる。 1926年11月10日パリ―2023年6月2日テウル=シュル=メール。享年96歳。 高等映画学院(IDHEC)卒業。ジャン・ルノワール『フレンチ・カンカン』の撮影に実習生として参加。その後テレビ局で働きながら、初監督作となる短篇『新学期』(1955)を製作。1958
愛する才能に満ちた映画作家。その愛はどこまでも広かった フランソワ・トリュフォーは、しばしば「愛の映画作家」と呼ばれる。映画批評家だったトリュフォーは、1950年代末に、『大人は判ってくれない』で長編映画デビューし、ジャン=リュック・ゴダールらとともにヌーベルバーグを牽引する映画監督となったが、1984年に享年52歳で短い生涯を終える。 その葬儀の際、c トリュフォーの代表作の一つに、『突然炎のごとく』がある。ジャンヌ・モロー演じるカトリーヌと、ジュールとジムという2人の男性たちをめぐる三角関係を描いた映画である。同じくアンリ=ピエール・ロシェの小説を原作に仰いだ『恋のエチュード』は、三角関係ものでも、『アデルの恋の物語』同様、もっと狂おしい情念的な愛だ。そして、その愛は死者にも向けられる。『緑色の部屋』は、亡くなった妻への妄執とも言うべき愛を描いたものだ。 また、トリュフォーは、『柔らか
日時:2021年7月4日(日)13:00-15:00 ・ジョン・カサヴェテス『愛の奇跡』における俳優のパフォーマンス/堅田諒(北海道大学) ・ロベール・ブレッソンの演技論──モデルの「痙攣」する身体/三浦光彦(北海道大学) ・『恋のエチュード』における声と語り/原田麻衣(京都大学) 【コメンテーター】角井誠(東京都立大学) 【司会】木下千花(京都大学) このパネルでは、映画における身体の在りようと、作品の生成過程をめぐる研究発表がおこなわれた。ジョン・カサヴェテス、ロベール・ブレッソン、フランソワ・トリュフォーという個性的な映画作家の作品を対象におこなわれた3つの発表はいずれも面白く刺激的で、映画における身体や生成の問題をとらえるうえでの興味深い手がかりを提示するものだった。司会の木下千花氏による円滑な進行のもと、3名の発表が終了した後にはコメンテーターの角井誠氏による鋭い質問や的確な助言
『私のように美しい娘』あらすじ 社会学者のスタニスラス・プレヴィンは女囚刑務所に訪問した。女性犯罪者の動機と心理についての論文を書くため、受刑者にインタビューをするのが目的である。プレヴィンは恋人を塔から突き落とした罪で服役中しているカミーユ・ブリスにインタビューを行った。しかし定期的に訪れ、彼女の数奇な半生を聞いていくうちに、プレヴィン自らも彼女に魅了されてしまう。彼女の無実を信じて、事件の真相を掴むために現地へ飛ぶが…。 Index 永遠に新しい娘 あこがれのベルナデット 自由と婚約した娘 永遠に新しい娘 「単に女性に奉仕するとか、あるいはウーマンリブ的な意味においてではなく、ひとりの女性の生きかたを「裁くのではなく、愛する」という意味においてフェミニストの映画なのです」(フランソワ・トリュフォー)* ベルナデット・ラフォンは何度だって生まれ変わる。『私のように美しい娘』(72)のカミ
「緑色の部屋」(原題:La Chambre verte、1978、仏)は、レアな作品のひとつで、フランソワ・トリュフォー監督の「恋のエチュード」「アデルの恋の物語」と合わせた「ロウソクの三部作」と呼ばれた作品のひとつ。 この映画のカメラマンのネストール・アルメンドロスは「野性の少年」でもロウソクを使った撮影に挑戦している。 結婚後わずかの間に事故で死んでしまった若妻の肖像や遺品で飾られた“緑色の部屋”で生活する男の死者への愛情を描く。 監督のトリフォー自身が繊細すぎる孤独な男を自作自演する、悲痛な追想の愛の映画。共演は「アメリカの夜」のナタリー・バイ(のちの「ポルノグラフィックな関係」が秀逸。笑)ほか。 <ストーリー> 第1次世界大戦から10年後の1928年、フランス東部の小さな町。田舎町の新聞「グローブ」で死亡欄を担当するジュリアン・ダヴェンヌ(フランソワ・トリュフォー)は、若くして亡く
Online ISSN : 2424-1164 Print ISSN : 0520-0962 ISSN-L : 0520-0962
ピアニストを撃て(字幕版) シャルル・アズナヴール Amazon ★★ パリ。場末のカフェでピアノを弾くシャルリ(シャルル・アズナヴール)の正体はアルメニアの天才ピアニストだった。今は名前を変えて生活している。ある日、彼の元に兄のシコ(アルベール・レミー)がやってくる。シコは2人組のギャングに追われていた。シャルリはカフェの裏口からシコを逃す。一方、シャルリは女給のレナ(マリー・デュボワ)といい仲になり……。 原作はデイビッド・グーディス『ピアニストを撃て』【Amazon】。 フィルム・ノワールへのオマージュらしい。全体的にぎこちなくて見ていて困惑した。特にダイアローグの面白さに比べるとモノローグはつまらなく、両者のギャップは何なのだろうと首を傾げてしまう。モノローグは小説の地の文を思わせるところがあり、映画という外面的なメディアと食い合わせが悪い。たびたび入るモノローグによってそれまでの
『未知との遭遇』あらすじ インディアナポリスで続発する謎の停電事故。調査のため派遣されたロイは、そこで信じられないような出来事を目撃する。だが、彼の驚くべき体験を誰も信じようとはせず、調査は政治的圧力によって妨害されてしまう。しかしロイは何かに導かれるように、真実の探求を始めた。そして彼が辿り着いた場所とは…。 Index 誰も予想しなかった仰天のキャスティング トリュフォーがこの映画にもたらしたものとは? 俳優以上にスクリーン映えのする名匠たち 誰も予想しなかった仰天のキャスティング 『未知との遭遇』は、スピルバーグがちょうど30歳の節目を迎える頃合いに手がけた傑作SFである。これまで陸での攻防(『激突!』)、海での闘い(『ジョーズ』)と視点をよりダイナミックに移行させてきた彼が、ついに空を突き抜け、その向こう側へと想像の翼を羽ばたかせようとするのだから、これは究極の挑戦といっても過言で
フランソワ・トリュフォー生誕90周年「大人は判ってくれない」などを4Kリマスター版上映 2022年2月6日 10:00 フランソワ・トリュフォー監督(C)DR フランスを代表する映画監督フランソワ・トリュフォーの生誕90周年を記念し、6月24日から角川シネマ有楽町で、「大人は判ってくれない」を含む“アントーヌ・ドワネルの冒険”シリーズ初の4Kデジタルリマスター版を中心とした作品を紹介する、特集上映「生誕90周年上映 フランソワ・トリュフォーの冒険」が開催される。 「大人は判ってくれない 4Kデジタルリマスター版」(C)MK2 ヌーベルバーグ黎明期から 1980年代まで、フランス映画の代表格として活躍したトリュフォー監督。1932年にパリで生誕。両親の離婚から行き場を失い、何度も感化院に送られるなど孤独な少年時代を過ごした彼は映画に救われ、映画館に入り浸りに。若くして映画批評家となり先鋭的な
日曜日が待ち遠しい!(字幕版) ファニー・アルダン Amazon ★★ 南仏の不動産屋で秘書をしているバルバラ・ベッケル(ファニー・アルダン)が、社長のジュリアン・ヴェルセル(ジャン・ルイ・トランティニャン)にクビを言い渡される。その直後、ジュリアンが殺人容疑で逮捕された。クレマン弁護士(フィリップ・ローデンバック)の働きで何とか釈放されるが、今度はジュリアンの妻・マリー=クリスティーヌ(カロリーヌ・シホール)が何者かに殺される。ジュリアンを助けるべくバルバラが事件を調査することに。 原作はチャールズ・ウィリアムズ『土曜を逃げろ』【Amazon】。 オールドスタイルのミステリ映画だが、これを見るとヒッチコックがどれだけ上手かったか分かって複雑な気持ちになる。トリュフォーはヒッチコックのファンだけあって所々にパロディが見られるが、ヒッチコックのような技術とアイデアは継承しなかったようだ。『定
映画『ヒッチコック/トリュフォー』の概要 フランソワ・トリュフォーによるアルフレッド・ヒッチコックへのインタビューを収録し、「映画の教科書」として長年にわたって読み継がれている「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」を題材にしたドキュメンタリー。 原作でトリュフォーは1962年8月13日(ヒッチコックの誕生日)にユニバーサル・スタジオのオフィスでヒッチコックに8日以上にもわたるインタビューを行っています。この記録は50時間にも及ぶテープに録音されたそうです。なお、インタビューに至る切っ掛けはトリフォーからヒッチコックに手紙によるインタビューの要請をヒッチコックが涙を流して喜び、快諾したことによります。 本作はインタビューが行われた当時のヒッチコックとトリュフォーの貴重な音声テープをはじめ、マーティン・スコセッシ、デビッド・フィンチャー、黒沢清、ウェス・アンダーソン、リチャード・リンクレ
フランソワ・トリュフォーの映画で描かれる人物の死は、写真や肖像画のような不動化されたイメージとしばしば関連づけられ論じられてきた。しかし、トリュフォー作品に見られる死のイメージは静的なイメージだけではなく、ある種の運動状態にあるイメージとも結びつく。本稿は、機械的な動きに代表される動的なイメージが人物をさらに死へと駆り立てる場合があることに注目して、トリュフォー映画における死のイメージを再考するものである。 まず、先行研究を追いながら、写真撮影が人物の死を導く場合に写真の不動性が死の不動性と結びつく例と、そうした写真に宿る死の不吉さをふり払うものとしての蝋燭の炎の例をそれぞれ確認する。また、さらなる不吉さを写真に与える行為としての、写真の切断によるフレーミングの多重化について考察する。 つづいて、不動性と死という従来のトリュフォー映画の死のイメージの図式を拡張するために、写真以外のモチーフ
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