御伽草子. 第19冊 (一寸法師) - 国立国会図書館デジタルコレクション ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 【原文】 何処《いづく》とも無く、鬼二人 来《きた》りて、一人は打ち出の小槌《こづち》を持ち、今一人が申す様《やう》ハ、 「呑《の》ミて、あの女房《ねうばう》は取り候ハん」 と申す。 口より呑ミ候へバ、目の中《うち》より出にけり。 鬼申す様ハ、 「是《これ》は曲者《くせもの》かな。 口を塞《ふさ》げば、目より出る」 一寸法師ハ鬼ゝに呑まれてハ、目より出でゝ、飛び歩《あり》きけれバ、鬼も怖《お》じ慄《おのゝ》きて、 「是ハ只者《たゞもの》ならず。 只、地獄に乱こそ出來《いでき》たれ。 只逃げよ」 と言ふまゝに、 【現代語訳】 どこからともなく、鬼が二人やって来ました。 一人は打ち出の小槌《こづち》を持っており、もう一人が、 「この小さ