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マクロ経済学の検索結果1 - 23 件 / 23件

  • 若き統計学者の英国: いかにしてマクロ経済学はオワコンになったか

    マクロ経済学という分野は、残念ながらもう所謂オワコンになってしまった。正しく言うと、実を言うとDSGEはもうだめです。突然こんなこと言ってごめんね。でも本当です。こんな感じだろう。 結論から言うと、データを見るふりをして実は全くデータを見ておらず、はっきりいってモデル化に失敗したからだ。とくに予測能力が兎角ないのが致命的だったと思う。予測能力がない結果、モデル・理論を通して将来の政策談義を結局は出来ないので、政策提言すらまともにできず、役立たずの烙印を押された。政策評価・提案等の役目は統計的手法を上手く用いている、応用ミクロの研究者が主に担うことになった。 そもそもの始まりは、合理的期待形成仮説というバカげた仮定に基づいて、数学音痴がmathinessにまみれたリアルビジネスサイクル(RBC)理論などという、さらにバカげた理論を推し進めた点であろう。それに呼応してニューケインジアンモデルが

    • ノア・スミス「マクロ経済学はいまだに揺籃期にある」(2022年11月8日)

      [Noah Smith, “Macroeconomics is still in its infancy,” Noahpinion, November 8, 2022] アイディアはたくさん,でもたしかな知見はそう多くない 先日,エド・プレスコットが81歳で死去した.彼は,いくつかの点で現代マクロ経済学の父にあたる人物だった.これを機に,科学としてのマクロ経済学の現状について書いてみるのもいいだろうと思う.このブログをはじめたときから何度もこの話題については書いてきたことだし,あらためてここで考えてみると面白いだろう. マクロ経済学の評判はひどいものだ.ぼくが好ましく思ってる人たちや尊敬してる人たちが,経済学の分野についてこんなことを言うのを目にする機会がよくある: Physicists are landing crafts on comets 100 of millions of mil

        ノア・スミス「マクロ経済学はいまだに揺籃期にある」(2022年11月8日)
      • クルーグマン「マクロ経済学はISLM派の勝利で決着がついた(ただし一部のおかしな連中を除く)」 - himaginary’s diary

        バイデンプランを巡る経済学者の論争(cf. ここ)についてノアピニオン氏がブログエントリを書いたところ(邦訳)、クルーグマンがツイッターで以下のように異論を唱えた*1。 So actually I think Noah, unusually, has this mostly wrong. These macro wars are very different from those of 2011; the debates are about numbers, not principles — basically because the big conceptual issues were settled when one side won This time we really are all Keynesians now — or at any rate nobody is listen

          クルーグマン「マクロ経済学はISLM派の勝利で決着がついた(ただし一部のおかしな連中を除く)」 - himaginary’s diary
        • ノア・スミス「新しいマクロ経済学:「みんなにお金あげろ」」(2020年12月6日)

          [Noah Smith, “The new macro: ‘Give people money‘”, Noahpinion, December 6, 2020] 今回の苦境では経済理論は主役をおりている この前 Twitter でジョークをつぶやいた.この10年でマクロ経済学がどう変わったかってネタだ: ・2010年のマクロ経済学: 「確率的均衡を定義する要因は右のとおりである―――消費経路(…),物価(…),賃金(…),政策の各種変数(…).政策変数には次のようなものがある(以下略)」 ・2020年のマクロ経済学: 「みーんなにお金あげろー.みーんなにお金あげろー.みーんなにお金あげろー.みーんなにお」 もちろん,学術的なマクロ経済学をやっている人の誰一人として,ただひたすら文字通り「みーんなにお金あげろー」と叫ぶばかりの理論系論文を公表してなんかいない.でも,政策の水準では,〔2008

            ノア・スミス「新しいマクロ経済学:「みんなにお金あげろ」」(2020年12月6日)
          • タイラー・コーエン 「マクロ経済学における錯覚の変遷」(2023年8月23日)

            ミルトン・フリードマン(Milton Friedman)が登場するまでのアメリカの経済学界を振り返ると、貨幣(マネーサプライ)は(景気の変動に影響を及ぼす要因として)大して重要じゃないというのが第一線で活躍するマクロ経済学者の間でかなりの合意を得ていた見方だった。 フリードマンは、デビッド・メイゼルマン(David Meiselman)だとかアンナ・シュワルツ(Anna Schwartz)だとかとの共同研究を通じて、貨幣(マネーサプライ)はかなり重要だということを示すれっきとした証拠を大量に提示した。そして、大勢(おおぜい)がそのことに同意した。皆が皆、筋金入りのマネタリストに転向したわけではなかったにしても。 早くも1982年になると、マネタリストの勢いに陰りが見え始めた。マネーサプライの管理に重きを置く金融政策が言うほど功を奏していないことが判明し出したのだ。貨幣っててんで重要じゃない

              タイラー・コーエン 「マクロ経済学における錯覚の変遷」(2023年8月23日)
            • エグザビア・ヴァイヴス 「スーパースター企業の登場:マクロ経済学において寡占を真剣に考える」(2021年1月20日)

              (訳者注:コメントでの指摘を受けて、タイポを修正しました。) Xavier Vives 2021年1月20日 Rise of the Superstar firms: Taking oligopoly seriously in macroeconomics ビッグテック、そしてその他の「スーパースター企業」の支配によって、市場支配力が研究の分野においてもだけでなく、政治家達の問題としても戻ってきた。しかし、寡占市場はマクロ経済学や貿易モデルに導入されてはいるものの、それは主に産業分野の大きな「連続体」の中において、一企業が自身の分野においては市場支配力を持つが経済全体には影響を及ぼさないという設定によってである。このコラムは寡占がマクロ経済学のツールボックスに完全に組み込まれて然るべき時が来ていることを主張する。 市場支配力が研究の分野においてだけでなく、政治家達の問題としても戻ってきた。

                エグザビア・ヴァイヴス 「スーパースター企業の登場:マクロ経済学において寡占を真剣に考える」(2021年1月20日)
              • 統計的観点から見た実証マクロ経済学とDSGEモデル作成 - himaginary’s diary

                というプレプリントがarXivに上がっている(H/T beさんツイート;著者の一人のShaliziが「君の好きなDSGEはダメダメ(Your Favorite DSGE Sucks)」と題した自ブログエントリ*1で内容を解説し、ツイートに流している)。原題は「Empirical Macroeconomics and DSGE Modeling in Statistical Perspective」で、著者はDaniel J. McDonald(ブリティッシュコロンビア大学バンクーバー校)、Cosma Rohilla Shalizi(カーネギーメロン大学)。 以下はその結論部(Discussion)の前半。 As we said in the introduction, there are very few who will defend the forecasting record of

                  統計的観点から見た実証マクロ経済学とDSGEモデル作成 - himaginary’s diary
                • 新たなマクロ経済学を構築する5つの方法 - himaginary’s diary

                  ニューヨーク市立大学の経済学助教授のJ.W. Masonが、7/2のこちらのパネル討論のために用意した表題の小論をEvonomicsに上げている(原題は「Five Ways to Build a New Macroeconomics」、H/T Mostly Economics)。 以下はその前半部。 Jón Steinsson wrote up some thoughts for this panel about the current state of macroeconomics. He begins: There is a narrative within our field that macroeconomics has lost its way. While I have some sympathy with this narrative, I think it is a bet

                    新たなマクロ経済学を構築する5つの方法 - himaginary’s diary
                  • Pythonで学ぶマクロ経済学 (中級+レベル) — Pythonで学ぶマクロ経済学 (中級+レベル)

                    import datetime dt = datetime.datetime.now() print('Version:',dt.strftime('%Y年%m月%d日')) 本サイトに関するコメント等はGitHubのDiscussionsもしくはharuyama@econ.kobe-u.ac.jpにご連絡ください。 姉妹サイト:「Pythonで学ぶ入門計量経済学」 🐍 はじめに# 本サイトの目的は2つある。第一に,学部中級+レベル(「+」は中級より少し進んだという意味)のマクロ経済学をとおしてPythonを学び,Pythonをとおしてマクロ経済学を学ぶ(復習する)ことである。大学での経済学教育は主に講義でおこなわれる。モデルの展開と解説,データが紹介されるが,私もそうだったように「そういうものなんだ」と納得はするが,経済学との間になんとなく「距離」を感じる学生が多いのではないだろうか。

                    • サイモン・レン=ルイス「新古典派対抗革命のあとにマクロ経済学の古いアイディアを学び直す」(2021年8月3日)

                      [Simon Wren-Lewis, “Relearning old ideas in macroeconomics after the New Classical Counter Revolution,” Mainly Macro, August 3, 2021] Chris Dillow が書いた記事への補足として,今回の記事を書いている.Dillow はマクロ経済学について,2つの論点を述べている.これを理解するには,主流経済学と異端経済学の区別をおさえておく必要がある.両者の線引きを定義するのは難しい(これを試みて論文や書籍の章が書かれている).だが,いくらかの所見は述べられる.大学の学部に所属する経済学者の大半は主流で,異端系の経済学者たちはそれとはちがった各種学校の多くに属している.もう一点はなにかと言うと,異端系の経済学者たちがやっていることを,主流の経済学者たちがほぼ完全に

                        サイモン・レン=ルイス「新古典派対抗革命のあとにマクロ経済学の古いアイディアを学び直す」(2021年8月3日)
                      • 検査と検疫のマクロ経済学 - himaginary’s diary

                        というNBER論文が上がっている。原題は「The Macroeconomics of Testing and Quarantining」で、著者はMartin S. Eichenbaum(ノースウエスタン大)、Sergio Rebelo(同)、Mathias Trabandt(ベルリン自由大)。 以下はその要旨。 Epidemiology models used in macroeconomics generally assume that people know their current health status. In this paper, we consider a more realistic environment in which people are uncertain about their health status. We use our model to stu

                          検査と検疫のマクロ経済学 - himaginary’s diary
                        • 井上智洋 on Twitter: "マクロ経済学の講義で、学生さんから「銀行が預金で国債を買っていると多くの経済学者が勘違いしていたのは何でですか?」っていう質問がきた なんででしょうね。オレも最近まで勘違いしていたけど"

                          マクロ経済学の講義で、学生さんから「銀行が預金で国債を買っていると多くの経済学者が勘違いしていたのは何でですか?」っていう質問がきた なんででしょうね。オレも最近まで勘違いしていたけど

                            井上智洋 on Twitter: "マクロ経済学の講義で、学生さんから「銀行が預金で国債を買っていると多くの経済学者が勘違いしていたのは何でですか?」っていう質問がきた なんででしょうね。オレも最近まで勘違いしていたけど"
                          • 商品貨幣論および外生的貨幣供給説の誤り -『 マンキュー マクロ経済学』 を例として - People's Economic Policy

                            シェイブテイル&朴勝俊 2020年 3月 18日 大学で用いられているマクロ経済学の教科書は、ほとんどが「 商品貨幣論 」 と 「 外生的貨幣供給説 」 に立っています。 これらの考え方は、貨幣量は有限であり、預金の結果として貸出が可能となる、言い換えれば家計の貯蓄が企業や政府の債務を支える という間違った議論につながります。現在の主なマクロ経済理論が現実をうまく説明できないのは、この 2つの考え方に立脚しているからだと考えられます 。 本稿では、大学等で広く使われている教科書のひとつである『マンキュー マクロ経済学 I 入門編 (第 3版 )』 に記された貨幣論を批判的に検討し、その 誤りを明らかにします 。 ダウンロード How-Mankiw-is-wrong

                            • ギリシャ恐慌のマクロ経済学 - himaginary’s diary

                              というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「The Macroeconomics of the Greek Depression」で、著者はGabriel Chodorow-Reich(ハーバード大)、Loukas Karabarbounis(ミネソタ大)、Rohan Kekre(シカゴ大)。 以下はその要旨。 The Greek economy experienced a boom until 2007, followed by a prolonged depression resulting in a 25 percent shortfall of GDP by 2016. Informed by a detailed analysis of macroeconomic patterns in Greece, we develop and estimate a ric

                                ギリシャ恐慌のマクロ経済学 - himaginary’s diary
                              • 過剰反応とマクロ経済学の診断的予想 - himaginary’s diary

                                というNBER論文をアンドレイ・シュライファーらが上げている(ungated(Journal of Economic Perspectives掲載)版)。原題は「Overreaction and Diagnostic Expectations in Macroeconomics」で、著者はPedro Bordalo(オックスフォード大)、Nicola Gennaioli(ボッコーニ大)、Andrei Shleifer(ハーバード大)*1。 以下はその要旨。 We present the case for the centrality of overreaction in expectations for addressing important challenges in finance and macroeconomics. First, non-rational expectation

                                  過剰反応とマクロ経済学の診断的予想 - himaginary’s diary
                                • 「疫学」と「マクロ経済学」の視点から ―最新論文に見る感染症対策と経済活動維持の最適解とは― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

                                  書評(文献レビュー) マクロ経済・経済政策 「疫学」と「マクロ経済学」の視点から ―最新論文に見る感染症対策と経済活動維持の最適解とは― July 6, 2020 新型コロナウイルス 経済政策 昨今の新型コロナウイルスの流行に伴い、日本でも緊急事態宣言が出され(2020年5月25日全面解除)、感染流行を止めるために飲食店や娯楽業などの営業自粛が求められるなど、経済への影響が大きい政策が取られています。感染症の流行を止めることは急務である一方、経済に対しあまりに大きな影響を及ぼす政策が取られてしまえば人々は生活できなくなってしまうため、感染症と経済の両者の観点から政策を考える必要性があります。 このような問題を受け、経済学者により、感染症と経済との関係についての多くの研究がここ数か月の間に行われてきました。本稿では、マクロ経済学の観点から新型コロナウイルスに関して論じている文献のレビューを行

                                    「疫学」と「マクロ経済学」の視点から ―最新論文に見る感染症対策と経済活動維持の最適解とは― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
                                  • ある統計学者のマクロ経済学のカリブレーション非難について

                                    なぜか一年前の「いかにしてマクロ経済学はオワコンになったか」と言うエントリーが話題になっていて、「カリブレーションという不思議な加持祈祷でパラメータの値を定める習性がある」と非難されている。ミクロ計量分析の結果からパラメータを外挿したり、マクロ経済データからパラメータを推定するのは、不思議な加持祈祷になるのであろうか。 動学経済モデルも複雑になってきて、物理学のモデルがそうであるように、数値演算してシミュレーションしないとモデルの特性が分からなくなっている。数値演算にするには具体的なパラメーターが要るので、定めないといけない。物理学の力学系モデル、例えば多体問題のシミュレーション*1をするときに、惑星の重量や速度と位置の初期値を定めることを指して、「我々が作ったモデルが正しいとは言えないので、現実の動きに合うようにパラメータを恣意的にそれらしい理由を付けて定めましょうね、というものである」

                                      ある統計学者のマクロ経済学のカリブレーション非難について
                                    • マクロ経済学はブロックチェーンにどんな影響を与えるか | スペックの持ち腐れ

                                      こんにちは。 昨日はMonetary Theory of the Price Levelに対してミクロ的基礎づけを強化する更新をしました。 https://ssrn.com/abstract=3429565 MTPLは純粋にマクロ経済学としてもインパクトは大きいです。 例えば、 https://www.newsweekjapan.jp/noguchi/2019/08/mmt6.php 野口旭さんという方がMMTに対して批判的検討をされていますが、既存の主流派経済学と数式化したMMTを融合させたMTPLをベースに考えれば、この野口さんのMMT批判的検討シリーズの内容全てに簡潔に説明がつきます。 大事なポイント MTPLは野口旭さんの記事すべてに説明がつく 個人的な懸念材料としては、主流派経済学にとってはポストケインジアン(MMT)の主張が既存の経済学からすればラディカル(まあ一部は既存のが間

                                        マクロ経済学はブロックチェーンにどんな影響を与えるか | スペックの持ち腐れ
                                      • 日本のインフレ対策には「金利上昇の容認」が必要な理由、マクロ経済学で解説

                                        1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『1940年体制―さらば戦時経済』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』『仮想通貨革命』『ブロックチェーン革命』など。近著に『中国が世界を攪乱する』『経験なき経済危機』『書くことについて』『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』『「超」英語独学法』などがある。野口悠紀雄ホームページ ------------最新経済データがすぐわかる!-------

                                          日本のインフレ対策には「金利上昇の容認」が必要な理由、マクロ経済学で解説
                                        • 本田悦朗 on Twitter: "現内閣の基本方針を真っ向から否定する、矢野財務次官の檄文には驚いた。コロナ対策の各種給付金をバラまき合戦と断じ、国民はそれを望んでいないと勝手に決めつけ、マクロ経済学の基本を無視してひたすら家計のアナロジーで論ずる。財政は、国民の為にあることを無視する、稀に見る暴論である。"

                                          現内閣の基本方針を真っ向から否定する、矢野財務次官の檄文には驚いた。コロナ対策の各種給付金をバラまき合戦と断じ、国民はそれを望んでいないと勝手に決めつけ、マクロ経済学の基本を無視してひたすら家計のアナロジーで論ずる。財政は、国民の為にあることを無視する、稀に見る暴論である。

                                            本田悦朗 on Twitter: "現内閣の基本方針を真っ向から否定する、矢野財務次官の檄文には驚いた。コロナ対策の各種給付金をバラまき合戦と断じ、国民はそれを望んでいないと勝手に決めつけ、マクロ経済学の基本を無視してひたすら家計のアナロジーで論ずる。財政は、国民の為にあることを無視する、稀に見る暴論である。"
                                          • タイラー・コーエン「ポール・サミュエルソンのマクロ経済学はどれくらいよかったんだろう?」(2021年8月13日)

                                            タイラー・コーエン「ポール・サミュエルソンのマクロ経済学はどれくらいよかったんだろう?」(2021年8月13日) [Tyler Cowen “How good was Paul Samuelson’s macroeconomics?” Marginal Revolution, August 13, 2021] ニコラス・ウォプショットの新著とクルーグマンの書評 (NYT) を読んでみて,ちょっとばかり楽観的すぎるように思えた.そこで,マクロ経済学者としてのポール・サミュエルソンをあらためて考えてみた.残念ながら,いいお知らせは報告できない.というか,サミュエルソンはマクロ経済学者としてまるっきりお粗末だった――なんなら酷いと言ってもいい. たとえば,1970年代序盤に,ニクソン大統領の賃金・物価統制をめぐる論争があった.サミュエルソンが実際にとっていた立場については,見解の相違が多少ある.

                                              タイラー・コーエン「ポール・サミュエルソンのマクロ経済学はどれくらいよかったんだろう?」(2021年8月13日)
                                            • Amazon.co.jp: ポスト・ケインズ派経済学―マクロ経済学の革新を求めて―: 鍋島直樹: 本

                                                Amazon.co.jp: ポスト・ケインズ派経済学―マクロ経済学の革新を求めて―: 鍋島直樹: 本
                                              • 物理学徒がマクロ経済学を俯瞰した『経済数学の直観的方法』

                                                『物理数学の直観的方法』*1で名を馳せた物理学徒の長沼伸一郎氏が、経済数学についての解説本『経済数学の直観的方法 マクロ経済学編』を出していた。経済学や経済思想史を体系的に学んだことが無い人が書いているためか、経済学全体をよく俯瞰できていないので誤解や偏見を引き起こしそうな見落としがあるので、これで経済学を語られるとちょっと困るところもあるし、内容が最近のカリキュラムとやや乖離しているのだが、誤解や偏見があることを踏まえて読める人には、物理学と経済学を対比した記述が面白いものとなっている。 1. 経済学に関する記述は… 経済学に関する記述には、用語の選択といった瑣末的なもの以外にも、根本的な誤解を感じさせる。「経済学ではその(需要と供給の)2本の曲線が交わってできる点は「パレート最適点」と呼ばれ、そこが社会にとって最適な均衡点だという思想が、現在でもミクロ経済学の一つの基礎となっている」(

                                                  物理学徒がマクロ経済学を俯瞰した『経済数学の直観的方法』
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