「100分de名著」(NHK Eテレ)で取り上げる作品を九年にわたり選び続けてきたプロデューサー、秋満吉彦さんが最も戦慄を覚えたのは、現代社会のありようを言い当てる「名著の予知能力」でした。秋満さんによる新書『名著の予知能力』から番組の制作舞台裏をお届けします。 通説を揺るがし、常識的な読みを解体するミッチェル「風と共に去りぬ」(2019年1月放送) 「風と共に去りぬ」の講師を担当してくれた鴻巣友季子さんとの出会いは、「翻訳対談」というタイトルで行われた、翻訳家の古屋美登里さんとのトークショーの会場だった。メモによれば2017年9月11日とあるから、もう五年以上も前のことだ。 それまで研究者や作家を講師として招いたことはあるのだが、専門の翻訳家を呼んだことはついぞなかった。ただ翻訳文学好きだった私は、原文と取っ組み合い、その一つひとつの言葉の深い意味を探りながら格闘し続けている翻訳家の人た