9月29日、NTTは同社が支配株主となっている携帯子会社のNTTドコモを、TOB(株式公開買い付け) によって完全子会社化すると発表した。本件の発表前後でNTTドコモの株価は40%程度値上がりし、時価総額はわずか数日で3.5兆円も増加した。 これに伴い、NTTドコモの時価総額は業界2位のKDDIを時価総額で2倍以上引き離す12.53兆円に達し、本件のTOBが成立した場合、その規模は4兆円にも達する見通しだ。国内企業におけるこれまでのTOB最高額は、2020年4月に実施された昭和電工に対する日立化成の8445億円。ここから考えると、NTTによるNTTドコモの完全子会社化はまさに“ケタ違い”のディールである。 旧電電公社(現NTT)下では、NTTドコモの前身はポケベルなどの移動通信事業を司る1部署にすぎなかった。1985年の旧電電公社民営化と、92年のNTTドコモ分離を経て、およそ28年で元の