並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

1 - 40 件 / 99件

新着順 人気順

六辻彰二の検索結果1 - 40 件 / 99件

タグ検索の該当結果が少ないため、タイトル検索結果を表示しています。

六辻彰二に関するエントリは99件あります。 政治国際社会 などが関連タグです。 人気エントリには 『「とっとこハム太郎」はなぜタイで反政府デモのシンボルになったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース』などがあります。
  • 「とっとこハム太郎」はなぜタイで反政府デモのシンボルになったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

    タイでは言論弾圧や生活苦を背景に若者の反政府デモが広がっており、日本のアニメキャラクター「ハム太郎」がそのシンボルになっている反政府デモで日本のアニメが用いられることは、ハム太郎以外の作品でも、香港やアメリカなどでもみられるそこにはSNSなどで緩やかに結びついた現代の抗議デモが、求心力を高めると同時に「エライ大人たち」と自分たちを区別するためにアニメキャラを用いる様がうかがえる 日本アニメは製作者の意図を超え、各国で様々な影響を及ぼしている。タイでは愛嬌あるハムスターのキャラクターが抗議デモの先頭に立っている。 「大好きなのは納税者の血税」 タイでは事実上の軍事政権による言論弾圧やコロナによる生活苦を背景に、若者による抗議デモが広がっている。そのなかで脚光を浴びているのが、日本アニメ「とっとこハム太郎」だ。 デモ参加者はハム太郎のオープニング曲にある「大好きなのはヒマワリのタネ」という歌詞

      「とっとこハム太郎」はなぜタイで反政府デモのシンボルになったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
    • 反マスク、反ロックダウンの思想性――コロナ対策の拒否はなぜ生まれるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

      ロックダウンはもちろん、マスク着用にさえ抵抗する動きは世界中で広がっているが、とりわけ右翼によるものが目立つ右翼にはもともと現在の体制への不信感が強く、それによって私生活が拘束されることに拒絶反応が生まれやすいこれに拍車をかけているのが、右翼に典型的な「自分は他人ができないことをできる」という万能感の強さとみられる コロナ第二波、第三波が押し寄せるなか、マスク着用などをことさら嫌い、周囲とトラブルになる人は多かれ少なかれどの国にもいるが、本人がどこまで意識しているかはともかく、コロナ対策の拒否には右翼の思想性を見出せる。 コロナ対策に反対する人々 日本よりコロナ感染が拡大している各国では、ロックダウンなどより厳しい措置がとられているが、それに比例して抗議活動も活発化している。ロックダウンは生活に大きな影響を及ぼすため、様々な立場から批判は出やすいが、なかでも目立つのが右翼によるものだ。 こ

        反マスク、反ロックダウンの思想性――コロナ対策の拒否はなぜ生まれるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
      • コロナに続くもう一つの危機――アフリカからのバッタ巨大群襲来(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

        東アフリカで大発生したバッタの大群が、海を越えて中東、さらに中国やインドに迫っている国連の食糧農業機関はその大発生の規模を「70年に一度」のものとも表現しているこれによって懸念される食糧不足は人道危機であるばかりか、新型コロナの影響を受ける日本のサプライチェーンをさらに揺さぶりかねない 新型コロナに揺れるアジア諸国にもう一つの危機が迫っている。アフリカから飛来し、各地で農産物を食い荒らしてきたバッタの大群が、中国西部にまで接近しているのだ。 コロナ蔓延に続くバッタ来襲 中国政府は3月1日、地方政府にバッタの来襲に備えるよう通達した。それに先立って、2月末から西隣のパキスタンにも、バッタの大群による農作物などへの蝗害(こうがい)を防ぐための専門家チームを派遣している。 パキスタンは中国の「一帯一路」構想にとって最重要拠点の一つだ。その意味で、この支援は不思議でない。 しかし、いうまでもなく中

          コロナに続くもう一つの危機――アフリカからのバッタ巨大群襲来(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
        • パリを覆う反差別デモと大暴動――フランス版BLMはなぜ生まれたか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

          フランスでは17歳のアラブ系の少年が警官に銃殺されたことをきっかけに、全土で抗議デモと暴動が拡大している。その背景には、警察の発砲による死者の多くがアラブ系や黒人であることへの不信感だけでなく、経済的不満もある。暴動と略奪のエスカレートは、反移民を掲げる極右をこれまで以上に活性化させるきっかけにもなりかねない。反差別デモが暴徒化 フランスでは大規模なデモが暴徒化し、30日までの3日間で600人以上が逮捕される事態に至った。 デモと暴動はパリをはじめ各地に広がり、自動車が放火されたり、商店のショーウィンドウが破壊されたりすることも増えている。そのためフランス警察は4万人を動員し、一部で催涙弾なども用いて鎮圧に当たっている。 エリザベス・ボルヌ首相は「あらゆる手段を用いる」と述べており、緊急事態宣言の発動も示唆した。 この騒乱の発端は6月27日、パリで17歳の少年ナヘル.M(未成年のため姓は発

            パリを覆う反差別デモと大暴動――フランス版BLMはなぜ生まれたか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
          • コスパ最優先の「次世代の戦争」――実験場になったリビア内戦が示すもの(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

            埋蔵量でアフリカ大陸一の産油国であるリビアの内戦は、多くの国が介入する代理戦争の様相を呈している介入する外部の国は「自軍兵士の犠牲を減らしつつ戦果をあげる」という意味でコスパをあげるため、遠隔操作できるドローンと、戦死しても「戦死者」にカウントしなくてよい傭兵の利用を増やしているしかし、その結果、外部のスポンサーにとって介入のハードルが引き下がっていることで、リビア内戦は激化しつつある 国際的に注目されることの少ないリビア内戦は、次世代の戦場の実験場になっている。そこでは「自軍兵士の犠牲」というコストの削減が目立つが、それは結果的に戦闘をドロ沼化させてもいる。 「空爆誕生の地」の現在 現代の戦場で当たり前のように行われる空爆は、イタリア・トルコ戦争の最中の1911年にイタリア軍が北アフリカのリビアで初めて行ない、その後の第一次世界大戦などで急速に普及した。空爆は「自軍兵士の犠牲を減らしなが

              コスパ最優先の「次世代の戦争」――実験場になったリビア内戦が示すもの(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
            • ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由――「自国民の安全」だけか?(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

              ウクライナ政府は世界に向けて、ロシアと戦う「義勇兵」を募っているが、各国政府はこれに慎重な姿勢を崩さない。ウクライナには2014年以降、すでに「義勇兵」が数多く集まっていたが、戦争犯罪や人種差別といった問題が指摘されてきた。各国政府には、「義勇兵」として実戦経験を積んだ者が帰国した場合、自国にとって逆にリスクになるという懸念があるとみられる。 ウクライナ政府が「義勇兵」を呼びかけているのに対して、どの国の政府もうやむやの反応が目立つ。そこには「自国民の安全」という表向きの理由以外にも、「義勇兵」が逆に自国の安全を脅かしかねないことへの懸念がある。 「義勇兵」呼びかけへの警戒 ロシアによる侵攻に対抗して、ウクライナ政府は外国から「義勇兵」をリクルートしている。ゼレンスキー大統領は「これは…民主主義に対する、基本的人権に対する…戦争の始まりである…世界を守るために戦おうという者は、誰でもウクラ

                ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由――「自国民の安全」だけか?(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
              • タブーを破った王室批判――タイを揺るがす「Z世代の反乱」とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                タイの反政府デモはタブーとされてきた王室批判も公然と行っているただし、デモ隊にとって最終的な標的は、国王を担いだ現在の体制の中心にあるプラユット首相にあるとみられるそこには復古主義的な愛国教育や政官財が癒着した古典的な開発独裁に対する若者の反感と閉塞感を見て取れる 東南アジアのタイでは、全てを握る年長者に「押し潰される」という若者の危機感によって反政府デモが広がっている。 「ドイツの天気はいかがですか」 タイでは4月頃から大学生を中心に反政府デモが続き、言論の自由のほか、議会の解散や憲法の改正も要求している。なかでも注目されるのが王室改革が公然と要求されていることだ。 タイでは王室への侮辱や批判を禁じる不敬罪がある。いまでも不敬罪がある国は少なくないが、タイのそれは特に厳しく、2015年には当時のプミポン国王(ラーマ9世)の飼い犬をSNSで揶揄した男性に37年の禁固刑が科されている。 ネッ

                  タブーを破った王室批判――タイを揺るがす「Z世代の反乱」とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                • カカオ価格が1年間で3倍以上に――“カカオショック”が長期化するとみられる理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                  カカオ豆の国際価格は急激に上昇していて、今後チョコレート価格もこれに引っ張られる公算が高い。カカオ豆の主要産地である西アフリカでは、地球温暖化による異常気象をきっかけに生産量が減少している。さらに生産者にとって利益の上がりにくい構造や投資家による過度な資金投入もあり、カカオ価格の高騰は長期化する見込みが大きい。 チョコレートの主原料カカオ豆の歴史的高騰はスイーツ好きにとっての悲報であるだけでなく、世界の変動の一つの象徴でもある。 やってきたカカオショック 世界各地でインフレはなかなか収まらないが、そのなかでもカカオ豆は多くの商品を上回るペースで値上がりしている。例えば米NASDAQ(CJ:MNX)では4月1日、終値が1万ドルの大台を突破して1トンあたり10,120ドルを記録した。 これは約1年前の2023年3月31日(2,933ドル)と比べると3倍以上で、カカオショックとでも呼ぶべき急激な

                    カカオ価格が1年間で3倍以上に――“カカオショック”が長期化するとみられる理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                  • なぜロシアは‘デスノート’や‘異世界アニメ’を禁止するか――強権支配が恐れるもの(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                    ハリウッド版「デスノート」プレミア試写会入り口のカーペット(2017.8.17)(写真:Shutterstock/アフロ) ロシアは日本アニメを最も規制している国の一つで、とりわけ異形の者や異世界を扱う作品が規制されやすい。その最大の理由は、「目に見えない世界」に多くの人が惹きつけられることが、プーチン政権にとって大きな脅威になるからとみられる。これまでの歴史を振り返ると、「目に見えない世界」を認めない強権的な権力者は、やがて行き詰まりやすい。 ウクライナ侵攻で世界の注目を集めたロシアは、この数年、日本アニメを最も規制している国の一つでもある。とりわけ異形の者や異世界を扱う作品ほど禁じられやすいが、これは強権的なプーチン政権にとって大きな脅威となりかねないからとみられる。 「デスノート」規制の背景 日本の漫画やアニメは世界中に普及しており、ロシアもその例外ではない。昨年11月、コロナ下でも

                      なぜロシアは‘デスノート’や‘異世界アニメ’を禁止するか――強権支配が恐れるもの(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                    • スー・チー拘束でも国際社会がミャンマー政変を「クーデタ」と認めたくない理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                      各国にはミャンマーのクーデタを「クーデタ」と認めたくない事情がある制裁がミャンマーを中国側に押しやることになるからだしかし、事実上の軍事政権のもとで少数民族の迫害がエスカレートする公算は高い スー・チーらミャンマー政府要人が相次いで軍に拘束されたが、各国がこれを「クーデタ」と認めることにはハードルが高い。そこには中国の影がある。 民主化の逆流 2月1日早朝、ミャンマーの事実上の最高責任者アウン・サン・スー・チーら政府要人が軍によって拘束された。首都ネピドー周辺では電話、インターネット回線も遮断されていると報じられている。 軍は以前から、クーデタに向かう可能性を示唆していた。その理由は、昨年11月の総選挙でスー・チー率いる国民民主同盟(NLD)が、上院224議席中135議席、下院440議席中255議席を獲得し、この圧倒的な勝利によって単独政権を発足できるようになったことだった。 ミャンマーで

                        スー・チー拘束でも国際社会がミャンマー政変を「クーデタ」と認めたくない理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                      • 「一世帯に30万円給付」は高いか安いか――海外のコロナ補償との比較(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                        政府・自民党はコロナで経済的に苦しくなった世帯に30万円を給付する方針を固めた海外との比較でみると、この金額は直接給付としては決して安くないが、給付対象はかなり絞られているそのうえ、「一世帯30万円」以外の救済措置でみると、日本は諸外国より大きく出遅れている 政府が打ち出した「一世帯に30万円給付」は、海外と比べて決して安くない。ただし、それは「家計への直接的な支援に限れば」であって、コロナで生活が悪化した人へのトータルの支援で日本は大きく出遅れている。 直接給付をしている国は多くない アベノマスクの余韻が冷めやらなかった4月3日、安倍総理は自民党の岸田政調会長と「コロナで悪影響を受けた一世帯あたり30万円を給付すること」に基本的に合意した。 この金額は世界的にみて高いのか、安いのか? これに関して、主な国と比較してみよう。 以下はコロナ蔓延が特に目立つアメリカ、イタリア、スペイン、ドイツ

                          「一世帯に30万円給付」は高いか安いか――海外のコロナ補償との比較(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                        • アボカドは「悪魔の果実」か?――ブームがもたらす環境破壊と難民危機(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                          アボカド栽培には大量の水が必要になるため、消費が世界的に増えるなか生産地では水不足が深刻化し、健康被害も出ている。また、アボカドは熱帯の国で栽培されることが多いため、輸送段階で排出されるCO2が全体的に高く、アボカド・ブームは地球温暖化対策にも逆行する。豊かな国のライフスタイルによる影響は、アボカド生産国における暴力の増加にも及んでいる。 その栄養価の高さから、アボカドは日本でも急速に普及している。しかし、その生産・流通は他の多くの農作物と比べても環境への負荷が大きく、さらに中南米での難民危機にも影響を及ぼしている。 「グリーンゴールド」は持続可能か アボカドは10種類以上のビタミンを含む一方、果肉の約20%が脂肪にあたり、「森のバター」とも呼ばれる。その豊富な栄養価から日本でも消費が伸びており、主にメキシコから年間約2万トンが輸入されている。これは10年前の4倍以上にのぼる。 アボカドが

                            アボカドは「悪魔の果実」か?――ブームがもたらす環境破壊と難民危機(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                          • ミャンマー騒乱を深刻化させた4つの理由――忍びよる内戦の危機(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                            ミャンマーで広がる抗議デモとそれに対する鎮圧は、民主化後の最悪レベルに達している。悪化する情勢は、ミャンマーが抱えるいくつもの問題が表面化した結果といえる。この状況を打開する公算が最も大きいのは、これまで抑圧されてきた少数民族の動向である。 なぜここまで状況が悪化したか ミャンマーでの抗議デモと治安部隊との衝突は、3月26日までに320人以上の死者を出すなど、泥沼の様相を呈している。 今回の騒乱のきっかけになった2月1日のクーデタで、国軍の最高責任者ミン・アウン・フライン将軍は、昨年11月に行われた総選挙が不正に満ちたものだったと主張し、スー・チーら政府要人の逮捕を正当化した。 なぜミャンマー国軍は、ほとんどイチャモンのような主張を掲げてまでクーデタに踏み切り、さらに反対を強硬に押さえ込もうとするのか。そして、クーデタに不満があったとしても、なぜ多くの犠牲者を出しながらも抗議デモがここまで

                              ミャンマー騒乱を深刻化させた4つの理由――忍びよる内戦の危機(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                            • ウィズコロナ時代のGo toキャンペーン――海外に成功事例はあるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                              コロナでダメージを受けた観光業を振興するため、日本以外でも国内観光キャンペーンが展開される国は少なくないしかし、それ以前にコロナの抑え込みに成功していた国以外では、観光の振興以前にロックダウンの再開といった弊害も生まれているそのなかでヒントになるのは、国全体では観光業を振興しながらも、一部地域を例外とするオーストラリアのやり方である 日本政府はGo to キャンペーンに前のめりだが、ウィズコロナのもとで観光業の再開に成功したといえる国は、これまでのところ多くない。 観光再開に向けた動き 東京都は7月15日、コロナ感染状況に関する警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。 この状況で政府、国土交通省が22日からの実施を目指すGo toトラベルキャンペーンに、疑問や批判が噴出することは不思議ではない。 実際、ウィズコロナの状況下での観光振興に関して海外の事

                                ウィズコロナ時代のGo toキャンペーン――海外に成功事例はあるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                              • 「中国に対抗できるのはトランプだけ」の勘違い――バイデンの戦略とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                トランプ外交には派手さと剛腕ぶりがあったが、そうであるがゆえに穴も大きかったとりわけ、アメリカが突出して中国と対決したことは、結果的に中国の行動範囲を広げることになったバイデンはこうした穴を埋める形で、国際的な中国包囲網を形成していくとみられる トランプ退場で世界がリセットされるわけではない。トランプ政権のもとで激化した米中対立は、形を変えてバイデンに引き継がれる。 トランプ外交の穴とは アメリカ大統領選挙でバイデン当選が確実になった。本稿執筆段階ではトランプ氏は敗北を認めておらず、法定闘争も始まっている。しかし、トランプ陣営には「選挙の不正」を立証する責任があるが、必要な証拠を揃えられるかは疑わしい。 トランプ退場は世界に大きなインパクトを与えるが、なかでも重大なのが米中対立だ。トランプ支持者からは「中国に対抗できるのはトランプだけ」という声が聞こえてきそうだが、「敵か味方か」を鮮明にす

                                  「中国に対抗できるのはトランプだけ」の勘違い――バイデンの戦略とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                • 欧米のアジア系ヘイトを外交に利用する中国――「人権」をめぐる宣伝戦(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                  アメリカとの対立を背景に、中国の英字メディアはアメリカの人権問題を盛んに報じている。中国メディアが強調するアメリカの「二枚舌」は、途上国で響きやすい内容を含んでいる。バイデン政権にとってアジア系ヘイトの取り締まりは、国内問題であると同時に外交問題でもある。 欧米で広がるアジア系へのヘイトクライムは、人権問題をめぐって欧米と対立する中国にとって格好の外交手段になっており、その宣伝戦の主戦場は欧米の二枚舌に直面してきた途上国である。 人権を語る中国メディア 中国の英字メディアはこのところ、欧米でのアジア系ヘイトのニュースにいそがしい。 【参考記事】日本人がヘイト被害にあうリスク--データにみる他のアジア系との比較 代表的な英字メディア、グローバル・タイムズは3月17日、その論説で「アジア系に対するヘイトにアメリカ社会はなぜ冷淡か」と問いかけ、アメリカに根深い白人至上主義の歴史を告発した。 中国

                                    欧米のアジア系ヘイトを外交に利用する中国――「人権」をめぐる宣伝戦(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                  • 「日本は“外国人嫌悪”の国」――バイデン発言は何が妥当で、何が問題だったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                    バイデン大統領は日本を「外国人嫌悪の国」と呼び、中国やロシアと同列に扱った。この発言そのものは支持者向けの内輪のもので、移民系市民へのリップサービスを多分に含んだものだった。ただし、日本政府が移民政策に熱心でないこと自体は否定できないが、バイデンがxenophobiaという語を用いたことは無視できない。 移民系市民へのリップサービス バイデン大統領は5月1日、ワシントンでの演説で日本を「外国人嫌悪(xenophobic)の国」と呼んだ。 それによると、「なぜ中国経済は失速しているか?なぜ日本はトラブルを抱えているか?ロシアは?インドは?それは彼らが外国人嫌悪の国だからだ。彼らは移民を望んでいない」。 この発言は大統領選挙に向けての資金集めのため開かれた、アジア・太平洋系のアメリカ市民向けの集会で飛び出した。 今年11月の大統領選挙に向け、バイデンは支持率が伸び切らない状態にある。 だから出

                                      「日本は“外国人嫌悪”の国」――バイデン発言は何が妥当で、何が問題だったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                    • ‘恋人’アメリカを繋ぎ止めようとするイスラエル――パレスチナでの暴走(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                      アメリカ政府は基本的にイスラエルに甘いが、その行動によって足を引っ張られることもある。そのため、アメリカはしばしばイスラエルにブレーキをかけようとしてきた。しかし、それはかえってイスラエルに「見放される」不安を呼び、アメリカに手を離させないためにあえて暴走することが一つの外交手段として定着している。 パレスチナで暴走するイスラエルは、危機的な状況をあえて作り出してアメリカを動かそうとする傾向があり、この点でアメリカの同盟国でありながらも北朝鮮と大差ない行動パターンが目立つ。 静かなるアメリカ パレスチナでの衝突は5月15日までに145人以上の犠牲者を出しており、近年で最悪のレベルに近づいている。イスラエル軍は空爆の他、ガザ地区に地上部隊まで派遣している。 衝突の発端はイスラエルの裁判所が4月、東エルサレム周辺に入植したユダヤ人の権利を認め、居住していたパレスチナ人たちに退去を命じる判決を下

                                        ‘恋人’アメリカを繋ぎ止めようとするイスラエル――パレスチナでの暴走(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                      • TVに映るウクライナ避難民はなぜ白人だけか――戦争の陰にある人種差別(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                        ウクライナから逃れているのは白人ばかりでなく、アフリカや中東からの留学生や移民労働者も多く含まれる。白人の避難民はほぼノーチェックで隣国に逃れているが、有色人種はウクライナ側でもEU側でも差別的待遇に直面している。シリア難民危機をきっかけに欧米でエスカレートした外国人嫌悪は、ウクライナ戦争で浮き彫りになっている。 ウクライナで人道危機に直面しているのは白人ばかりではなく、むしろ有色人種ほど危険にさらされやすい。 「黒人だから国際列車に乗れない」 民間人殺害や化学兵器使用疑惑など、日々報じられるウクライナをめぐる人道危機はエスカレートする兆候をみせている。 しかし、そのなかで危機にさらされているのは「白人のウクライナ人」ばかりではない。むしろ、ウクライナ在住の有色人種や外国人、とりわけアフリカ系やムスリムは、場合によっては白人より高いリスクにさらされている。 例えば、彼らはウクライナを離れる

                                          TVに映るウクライナ避難民はなぜ白人だけか――戦争の陰にある人種差別(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                        • ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                          対戦車砲を構えるウクライナ兵(2022.1.17)(提供:Ukrainian Defence Ministry/ロイター/アフロ) ウクライナでの欧米とロシアの対立の影には白人右翼のナワバリ争いがある。ロシアとウクライナのそれぞれの右翼団体は、欧米諸国から外国人戦闘員をリクルートしている。それぞれの陣営の白人右翼は欧米とロシアに使われる「手駒」だが、日陰者だった彼らにとってウクライナ危機はいわばヒノキ舞台ともいえる。 風雲急を告げるウクライナ情勢は欧米とロシアのナワバリ争いであると同時に、白人右翼同士のナワバリ争いでもある。自ら望んで戦地に集まってきた白人右翼にとって、ウクライナ危機は自らの存在を示す絶好の機会でもある。 ウクライナ危機のレッドライン 昨年10月以来、ウクライナでの緊張は一気にエスカレートしてきた。アメリカがウクライナにミサイルを配備したことに対して、ロシアは「レッドライン

                                            ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                          • なぜウクライナで欧米とロシアが対立? 経緯や今後は…知っておきたい基礎知識5選(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                            ウクライナをめぐる欧米とロシアの対立はエスカレートする一方で、収束の見込みは立ってない。なぜウクライナが発火点になるのか。以下ではいまさら聞けないウクライナ情勢の基礎知識を5点に絞ってまとめる。 (1)ウクライナはいつからロシアのナワバリか? 今でこそ欧米とロシアのナワバリ争いの場になっているウクライナだが、18世紀にロシア帝国が編入して以来、基本的にロシアのナワバリだった。 ロシア帝国は17世紀以来、いわゆる不凍港を求めて南下したが、そのなかで手に入れたウクライナには死活的な重要性があった。クリミア半島の港湾都市セバストポリが黒海から地中海に抜ける拠点になったからだ。 セバストポリは19世紀半ば、やはり黒海周辺への進出を目指していた英仏とロシア帝国の間で戦われたクリミア戦争(1853-56)で主戦場になるなど、大国間の争点にもなった。 ロシアでは1917年、ロシア革命で世界初の共産主義国

                                              なぜウクライナで欧米とロシアが対立? 経緯や今後は…知っておきたい基礎知識5選(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                            • アフリカの「成長モデル」はなぜ凋落したか――エチオピア内戦と中国の影(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

                                              アフリカにおける「成長モデル」とみなされてきたエチオピアでは、内戦の激化で経済に急ブレーキがかかっている。内戦の激化によって、政府側、反政府側のどちらにも民間人の虐殺といった行為がみられ、国連は「極度の野蛮行為」を警告している。この内戦の激化に神経を尖らせているのが中国で、そこには評判の悪化への懸念がある。 約20年間、「地球上最後のフロンティア」と呼ばれたアフリカの経済成長は曲がり角を迎えている。 成長のモデル国の惨状 北東アフリカのエチオピアで11月3日、アビー首相が全土に緊急事態宣言を発令した。これは北部ティグレ州での戦闘の激化を受けてのもので、アビー首相は市民に自衛を求めた。 ティグレ州では昨年11月からティグレ人の民兵組織ティグレ人民解放戦線(TPLF)と政府軍の衝突が続いてきた。その影響は市民生活にも大きな影響を及ぼしており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、すで

                                                アフリカの「成長モデル」はなぜ凋落したか――エチオピア内戦と中国の影(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース
                                              • タリバンと手を組む中国――戦火のアフガニスタンを目指す3つの目的(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                米軍がアフガニスタンから撤退を進めるのと入れ違いに、中国はタリバンとの協力を深めている。そこには「一帯一路」に基づく経済的利益、ウイグル締め付けの強化、そして大国イメージの強化という3つの目的が見出せる。ただし、「火中の栗」を拾おうとする中国には大きなリスクもある。 米国が撤退を進めるアフガニスタンに、入れ違いのように中国がアプローチを強めることには、「一帯一路」構想を進めるだけでなく、ウイグル問題への対応、さらに「米国を超える大国」のイメージ化という3つの目的があげられる。 タリバンを迎えた中国政府 コロナと五輪の報道で埋め尽くされた日本のメディアではほとんど報じられなかったが、中国政府の王毅外相は7月28日、アフガニスタンのイスラーム勢力タリバンの代表団を北京に迎えた。この代表団にはタリバン創設者の一人で、外交を統括するアブドゥル・ガニ・バラーダル氏も含まれ、タリバンにとってかなり重要

                                                  タリバンと手を組む中国――戦火のアフガニスタンを目指す3つの目的(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                • なぜ今サウジ油田が攻撃されたか――思惑の渦巻く対イラン制裁の緩和(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                  サウジアラムコへのドローン攻撃は、イエメンのフーシ派によるとみられているそうだとすると、このタイミングでの攻撃の背景には、アメリカがイラン制裁の緩和の兆しをみせていることがあるそれは「簡単に取引しない」というメッセージをアメリカに発する「ディールのための攻撃」といえる サウジアラビアの油田に対するドローン攻撃は、アメリカのイラン制裁の行方にも影響を及ぼすが、これによってトランプ大統領が難しい判断を迫られることは間違いない。 ドローン攻撃の衝撃 サウジ最大の石油企業サウジアラムコの設備2カ所を9月13日、ドローンがほぼ同時に攻撃。その直後、隣国イエメンの武装組織フーシ派が犯行声明を出した。 これに関して、アメリカのポンペオ国務長官はフーシ派の後ろ盾イランの関与を示唆しているが、イランはこれを否定している。 フーシ派はイエメン政府と対立する武装組織で、イランとはイスラームの宗派(シーア派)で一

                                                    なぜ今サウジ油田が攻撃されたか――思惑の渦巻く対イラン制裁の緩和(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                  • そもそもタリバンって何? 設立時期や思想、変革…知っておきたい基礎知識5選(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                    アフガニスタンの首都カブールを制圧したことで世界の注目を集めたタリバン。ニュースでの露出も増えたが、凶悪なイメージだけが先行して、そもそもどんな組織か、よく知らないという人も多いはず。以下では、今さら聞けないタリバンの基礎知識を5点にまとめて紹介する。 (1)戦乱を収める者として登場 2018年だけで5000人以上を殺害し、その人数の多さなどから「最も血塗られたテロリスト」とも呼ばれるタリバンは、少なくとも登場の時点では、それまで戦乱の続いていたアフガニスタンに平和と安定をもたらす者として現れた。 タリバンが国際的に知られるようになったのは1994年のことだ。当時、アフガンは混乱の最中にあった。 この国では1978年、社会主義政権に対してイスラーム勢力が蜂起した。これに対して、社会主義政権の後見役だったソ連が軍事介入したが、これは「イスラーム世界への侵入」と戦うために、世界中から数多くのム

                                                      そもそもタリバンって何? 設立時期や思想、変革…知っておきたい基礎知識5選(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                    • タリバン大攻勢を生んだ3つの理由――9.11以来の大転換を迎えるアフガン(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                      アフガニスタンは米軍撤退とタリバンの猛攻により、9.11以来の大転換を迎えている。タリバンの大攻勢は米軍撤退だけでなく、これを食い止めるべきアフガニスタン政府・軍の無気力・無力によっても加速してきた。さらに、タリバンが経済的に自立したことで、外部から影響を受けにくくなったことも、大攻勢につながっている。 アフガニスタン軍より兵力に劣るはずのタリバンは、なぜ各地の主要都市を次々と制圧できたのか。そこには大きく3つの理由があげられる。 カタストロフの淵へ タリバンは8月15日、ついに首都カブールを包囲し、アフガニスタン政府と権力の委譲について交渉を始めた。アフガニスタンは今、対テロ戦争が始まった2001年以来の大変動を迎えている。 イスラーム武装組織タリバンは各地の主要都市を次々と制圧し、今やアフガニスタンの3分の2はタリバンの支配下にあるといわれる。 戦闘が激化するなか、国外脱出を目指す人々

                                                        タリバン大攻勢を生んだ3つの理由――9.11以来の大転換を迎えるアフガン(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                      • ラグビーにはびこるフーリガン――なぜ「紳士のスポーツ」が暴力を招くか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                        レフェリーの判定をめぐる暴力事件などを引き起こす過激なファン、フーリガンはサッカーだけでなくラグビーでも増殖しているその背景には「社会的に自分の存在を誇示したい若者」が増え、しかもその一部がサッカーから締め出されてきたことがある「紳士のスポーツ」ラグビーの健全な発展のためには、紳士であることなど気にもしない人間をどう扱うかが新たな課題となる サモアも撃破して3連勝した日本チームの快進撃もあって、日本で初めて開催されたラグビーW杯への関心は高い。その影で、日本ではラグビーの暗い側面に触れられることはあまりない。 ラグビー・フーリガンの増殖 ラグビーの本場ヨーロッパでは近年、フィールドに花火などを投げ込む、フィールドに乱入する、相手チームのファンと乱闘を演じる、相手チームの選手やレフェリーに差別的なアピールをするといった過激なファン、フーリガンが問題視されている。 最近では、8月3日に開催され

                                                          ラグビーにはびこるフーリガン――なぜ「紳士のスポーツ」が暴力を招くか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                        • 闇堕ちしやすい独身男性とは――フェミサイドの生まれ方(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                          欧米では女性に憎悪を募らせた独身男性の暴力がヘイトクライムやテロと認定されている「結果としての」独身男性には特有の性格があることが調査で明らかになっている日本では統計上の処理により、この問題が「ない」ことにされている 結婚したくてもできない独身男性が女性への憎悪に染まりやすいことに、世界各国では警戒が高まっている。 英国で「過激化する恐れ」認定 イギリス内務省は2021年、インセルを「数年以内に過激化する恐れのあるカテゴリー」に認定した。 インセル(involuntarily celibate: incel)は日本語で非自発的単身者と訳せる。異性との交際が長期間なく、経済的理由などで結婚を諦めた、「結果としての独身」という意味だ。 本来この俗語は性別に関係ないが、最近の用法では男性にほぼ限定される。 プリマス銃乱射事件の犠牲者の追悼式(2021.8.18)(写真:代表撮影/ロイター/アフロ

                                                            闇堕ちしやすい独身男性とは――フェミサイドの生まれ方(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                          • アメリカ極右はなぜ黒人デモを支持するか――コロナがとりもつ意外な関係(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                            黒人男性の死亡をきっかけに広がった抗議デモには、「人種差別反対」のために暴力も辞さない極左だけでなく、これと対立する極右の一部も合流しているイデオロギー的に対立することの多い両者は、「権力による個人の抑圧」への反対で一致しているこれに加えて、デモの広がりには貧困などへの不満やコロナの影響もうかがえ、再選を目指すトランプ氏にとって最大の試練となり得る 各地で広がる黒人デモには、あらゆる差別に反対する過激な極左だけでなく、常日頃はこれと敵対することの多い極右の一部も合流している。一見、水と油の両者には、コロナをきっかけに接点が生まれたからだ。 「人種差別反対」に協力する極右 黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官に暴行され、その後死亡した事件をめぐり、人種差別に反対する抗議デモは、全米だけでなく世界各地に広がっている。 そのなかでアメリカでは暴行、掠奪、放火などもエスカレート。アメリカ全土で6

                                                              アメリカ極右はなぜ黒人デモを支持するか――コロナがとりもつ意外な関係(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                            • ロシアの反発は必至でもNATO加盟 メリットや狙いは…知っておきたい基礎知識5選(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                              北欧のスウェーデンとフィンランドは北大西洋条約機構(NATO)に加盟を正式に申請した。スウェーデンは1834年から、フィンランドは1948年から、それぞれ中立国だったが、ウクライナ侵攻でロシアの脅威が高まるなか、大きな方針転換に踏み切ったのである。以下ではスウェーデンとフィランドのNATO加盟にまつわる5つの疑問について考える。 1.なぜスウェーデンとフィンランド? 現状でヨーロッパには中立を国是とする国が、スウェーデンとフィンランドの他、アイルランド、オーストリア、スイスの5カ国ある。これらは国外で戦争に関わらない点で共通している一方、いずれも「武装中立国」で、自衛戦争まで否定している国はない。 ところで、これらのうち、なぜスウェーデンとフィンランドが他の3カ国よりいち早くNATO加盟を申請したのだろうか。 その最大の理由は、ロシアとの距離感にある。スウェーデンはバルト海上で、フィンラン

                                                                ロシアの反発は必至でもNATO加盟 メリットや狙いは…知っておきたい基礎知識5選(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                              • 長期化が懸念されるウクライナ侵攻の展望――停戦協議はなぜ進まないか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                ウクライナ侵攻が長期化するなか、停戦をめぐるウクライナとロシアの主張には変化がみられる。ただし、とりわけウクライナ側には現状での交渉が不利という判断が働きやすく、現状での停戦協議に難色を示している。ウクライナの警戒心は、停戦協議を働きかける西側先進国にも向かっている。 世界の政治・経済に大きなインパクトを与えたウクライナ侵攻が始まって3カ月以上が経過し、長期化も懸念されている。ロシアとウクライナはこれまでに停戦協議を断続的に行ったものの、大きな進展を見せていない。果たしてウクライナ侵攻は今後どうなるのか。停戦の可能性について考える。 停戦協議の動き まず、これまでの停戦協議について確認しておこう。停戦に向けたロシアとウクライナの間の協議は、侵攻が始まった翌3月に早くも始まった。この停戦協議には二つのルートがある。 一方には、2月28日からベラルーシで断続的に行われた会談があり、これはそれぞ

                                                                  長期化が懸念されるウクライナ侵攻の展望――停戦協議はなぜ進まないか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                • 極右がいまさら「ユダヤ人差別反対」を叫ぶ理由――ヘイトを隠した反ヘイト(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                  イスラエルとハマスの戦闘激化にともない、欧米ではムスリムとともにユダヤ人へのヘイトが増えている。この状況で、これまで移民反対を掲げてきた多くの極右政党は「ユダヤ人差別反対」を鮮明に打ち出している。その理由には「共通の敵はイスラーム」というイメージ化に加えて、イスラエルの占領政策が極右にとって一種の理想形であることがあげられる。 これまで人種差別的とみなされてきた欧米の極右は、今や熱心にユダヤ人差別反対を叫んでいる。もっとも、それは反ヘイトに舵を切ったというより、異人種・異教徒との共存を否定する論理の裏返しである。 デモ参加を断られていた極右 パリでは11月12日、10万人以上が参加してユダヤ人差別に抗議するデモが行われた。 イスラエルとハマスの衝突の激化にともない、欧米ではムスリムだけでなくユダヤ人に対するヘイトクライムが急増している。 このうちユダヤ系に関しては、例えばアメリカのユダヤ系

                                                                    極右がいまさら「ユダヤ人差別反対」を叫ぶ理由――ヘイトを隠した反ヘイト(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                  • フィンランドのNATO加盟――なぜスウェーデンの加盟承認は遅れるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                    NATOの会議に出席したフィンランド、スウェーデン国防相(2022.10.13)(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) 最後に残っていたトルコ議会がフィンランドのNATO加盟を承認したことで、すべての加盟国でフィンランド加盟が支持された。トルコはフィンランドにNATO加盟承認と引き換えに、「テロリスト」とみなすクルド人活動家の引き渡しを要求していた。スウェーデンもフィンランドと同じ立場に立ってきたが、こちらはまだ加盟承認されていない。 フィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に加盟できる見通しは立ったが、同時に申請していたスウェーデンはまだ加盟が認められていない。その一因はトルコとスウェーデンの関係悪化にある。 なぜフィンランドだけOK? トルコ議会は3月31日、フィンランドのNATO加盟を承認する決議を採択した。これによって北欧フィンランドのNATO加盟が決定した。 (写真:ロイター/ア

                                                                      フィンランドのNATO加盟――なぜスウェーデンの加盟承認は遅れるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                    • 「ウクライナ侵攻は台湾海峡へ飛び火する」の矛盾――中国の気まずさとは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                      「ウクライナ危機が台湾海峡に飛び火する」という説はよく聞くが、これには大きな矛盾がある。「現地の要請」に基づいて軍事侵攻するロシアの手法は中国の論理と一致しない。東西冷戦の教訓に照らせば、中ロの共通性にばかり着目するのは建設的ではない。 ロシアの侵攻が始まる前から「ウクライナ問題が台湾海峡に飛び火しかねない」という説はあちこちで聞いたが、中国とロシアをとにかくセットで扱う思考は状況認識をかえって誤らせかねない。 中国にとってのウクライナ危機 ロシア軍がウクライナ侵攻を開始した2月24日、中国の王毅外相はロシアのラブロフ外相との電話会談で「やむを得ず必要な措置をとった」というロシアの言い分に「安全保障上の懸念を理解する」と応じた。これが「西側に対抗する中ロ同盟」のイメージを強めたことは不思議でない。 ウクライナ侵攻の前から中ロは頻繁に接触していた。習近平国家主席は2月初旬、プーチン大統領との

                                                                        「ウクライナ侵攻は台湾海峡へ飛び火する」の矛盾――中国の気まずさとは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                      • なぜ特に若者に外出自粛を呼びかけたか――行政とメディアの顧客びいき(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                        外出自粛などに関して行政やメディアが「若者」に特にフォーカスするのは不公平であるこれまで問題行動をとった人には中高年が目立ったが、それらが「中高年」という属性で語られることはなかった行政やメディアが主な「顧客」である中高年に緩いことは、世代間の不毛な争いを煽るものである 「若者」にターゲットを絞って外出自粛を呼びかけるのはバランスを欠いているだけでなく、発言力の小さい者の属性を強調するという意味で不公平と言わざるを得ない。 「若者」に特化することへの違和感 コロナをめぐる外出自粛で「自主隔離をしない無神経な若者」のイメージが流布している。 小池都知事は週末の外出自粛を呼びかける記者会見で、特に体力のある若者が無自覚のまま感染を拡大させている懸念があると発言した。メディアでも28日、「外出自粛のはずの下北沢や渋谷を闊歩する若者」が報じられた。 早稲田大学の卒業式後に卒業生らが繁華街で盛り上が

                                                                          なぜ特に若者に外出自粛を呼びかけたか――行政とメディアの顧客びいき(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                        • 中国は「トランプ落選」を望んでいるか――混迷のアメリカ大統領選挙(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                          トランプ大統領は民主党の大統領候補バイデン氏が中国寄りで、「バイデンの勝利は中国の勝利」と主張するこれに対して、バイデンは「トランプこそ中国にあしらわれてきた」と批判し、トランプとは異なるアプローチでの中国包囲網を目指しているバイデンの国際主義的な戦略は、トランプとは別の意味で、中国に対する大きな圧力になるとみられる 中国への対応は11月に迫ったアメリカ大統領選挙の一つの主要テーマになっており、トランプ大統領は民主党の大統領候補バイデン氏を「中国寄り」と批判するが、当の中国は「バイデン当選」に警戒感を隠していない。 「中国語を勉強させられる」 デカップリング(中国との全面的な断絶)を強調するトランプ大統領は8月11日、支持者の前で「バイデンが当選したら、アメリカ人が中国語を学ばなければならなくなる」と発言。民主党の大統領候補となったバイデン氏が中国寄りで、中国に甘いと批判した。 実際、バイ

                                                                            中国は「トランプ落選」を望んでいるか――混迷のアメリカ大統領選挙(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                          • 大地震後トルコで広がる外国人ヘイトと暴力――標的にされるシリア難民(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                            大地震が発生した後、トルコでは略奪だけでなく「シリア人が犯人」と決めつける論調も広がっている。シリア難民を毛嫌いする極右勢力のヘイトメッセージは、シリア人への暴行やリンチをも増やした。この問題は以前からの政治対立を背景にしており、未曾有の災害に直面するトルコにとって大きな課題となっている。 大災害に見舞われたときにマイノリティが「魔女狩り」の標的にされることは珍しくない。2月6日に大地震が発生した後、トルコで広がるシリア難民への憎悪と襲撃は、国際的な救助活動の妨げにもなりかねない。 救助活動を妨げる暴力 トルコ南部ハタイに派遣されていたオーストリア軍とドイツの連邦技術支援隊は2月11日、被災地での救助活動を一時停止した。現地の治安悪化が理由だった。 ハタイに限らずトルコ各地では援助物資や商業施設、さらに一般住宅などを狙った略奪が横行しているだけでなく、「盗っ人」へのリンチや拷問も相次いで報

                                                                              大地震後トルコで広がる外国人ヘイトと暴力――標的にされるシリア難民(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                            • 「ガザの難民を先進国が受け入れるべき」――イスラエルで湧き上がる主張の意味(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                              イスラエルでは「ガザの難民を先進国が受け入れるべき」という声があがっている。それは主にガザ侵攻を進めるネタニヤフ政権の支持者である保守派からのものである。イスラエル保守派がガザ住民の「自発的移住」を推奨するのは、軍事占領が容易になるからで、「自発的移住」を提案するのはこれまでもイスラエルが行ってきた手法である。 ガザがほとんどの戦場と大きく異なる点の一つは、どの国も難民をほとんど受け入れていないことだ。これに関して、ガザを攻撃する当のイスラエルからは「難民を先進国が受け入れるべき」という声があがっている。その真意はどこにあるのか。 「先進国は受け入れるべき」の意味 イスラエルのダニー・ダノン議員とラム・ベン=バラク議員は11月13日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに連名で寄稿し、「欧米はガザの難民を率先して受け入れるべき」と主張した。 【参考記事】【わかりやすく解説】ハマス・イスラエ

                                                                                「ガザの難民を先進国が受け入れるべき」――イスラエルで湧き上がる主張の意味(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                              • 米シアトルで抗議デモ隊が「自治区」設立を宣言――軍の治安出動はあるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                                人種差別に反対するデモ隊の一部はワシントン州シアトル市の一角で「自治区」を発足したと宣言したこれは公権力を否定するもので、トランプ大統領は1992年のロス暴動以来となる州兵の派遣を示唆しているしかし、仮に治安出動があった場合、ロス暴動の時と比べても衝突が激化するリスクは高い 人種差別に抗議してきたデモ隊の一部が「自治区」の発足を宣言したことは、警察など公権力そのものを拒絶するという点で、これまでよりギアが一段上がったことを意味する。 「自治区」発足の衝撃 黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官に暴行された事件をきっかけに広がった抗議デモの一部は11日、ワシントン州シアトル市の一角に「キャピトル・ヒル自治区」を発足させたと宣言した。 これはシアトル市のイースト・パイン・ストリートを中心とする一帯で、周辺からこの区画に入る地点には、「これよりキャピトル・ヒル自治区」といった立て看板などが置かれ

                                                                                  米シアトルで抗議デモ隊が「自治区」設立を宣言――軍の治安出動はあるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                                • ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由──「自国民の安全」だけか? - 塗り替わる世界秩序|六辻彰二|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

                                                                                  ・ウクライナ政府は世界に向けて、ロシアと戦う「義勇兵」を募っているが、各国政府はこれに慎重な姿勢を崩さない。 ・ウクライナには2014年以降、すでに「義勇兵」が数多く集まっていたが、戦争犯罪や人種差別といった問題が指摘されてきた。 ・各国政府には、「義勇兵」として実戦経験を積んだ者が帰国した場合、自国にとって逆にリスクになるという懸念があるとみられる。 ウクライナ政府が「義勇兵」を呼びかけているのに対して、どの国の政府もうやむやの反応が目立つ。そこには「自国民の安全」という表向きの理由以外にも、「義勇兵」が逆に自国の安全を脅かしかねないことへの懸念がある。 「義勇兵」呼びかけへの警戒 ロシアによる侵攻に対抗して、ウクライナ政府は外国から「義勇兵」をリクルートしている。ゼレンスキー大統領は「これは...民主主義に対する、基本的人権に対する...戦争の始まりである...世界を守るために戦おうと

                                                                                    ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由──「自国民の安全」だけか? - 塗り替わる世界秩序|六辻彰二|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

                                                                                  新着記事