開幕前から心配だったし、悪い予感は確実にあった。今年の正月、地元の友だちとは「ま、今年1年も残留が目標だな」と、したり顔で言い合ったものだった。とはいえ、心のどこかに、いや表向きにも、「まさかそんなことはないだろ」という根拠のない余裕というか盲信めいたものがあったことも事実だ。こんなにも不甲斐なく、弱いというのに……それでも清水エスパルスがJ2に落ちるなんてことはあり得ない。なぜならそこは日本でも指折りのサッカーの街であり、他のどこの街よりも幅広い年齢層におよぶ熱心なサッカー・ファンがいる。ぼくは清水に隣接する静岡市で生まれ育ったけれど、小学校の校庭にあったのはゴールネット、ソフトボール大会はあっても野球はなし。生まれて初めて賞状をもらったのは、ゴール・シーンを描いた絵。実家の4軒先には名物サッカー専門ショップがある。そんな環境だった。 小さな港町の清水は、しかし、ぼくが住んでいた頃は、何