著者: 吉野舞 「どこでもいいから遠くへいきたい。遠くへいけるのは天才だけだ」 ある日偶然、街の数少ない古本屋で見つけた寺山修司の本に書かれていたこの一言を読んだとき、「これは私のためにある言葉だ」と確信した。それから、この一説を修行中の僧のように毎晩寝る前に唱え、海の向こう側へ渡る日をただひたすら待ち続けたのだった。 瀬戸内の娘 環境省「快水浴場百選」にも選ばれている洲本市の大浜公園。真っ白な砂浜には、松原が続いている。私が人生で一番眺めている海であり、地元の学生にとっては決まったデートスポットでもある 私の故郷は、神戸から車で約一時間半、明石海峡大橋から渡れる兵庫県の淡路島。そう、島だ。 「島からやってきました!」と言うと、「島」という単語で日本から遠く離れた南の島か、探検家が行くような島を思い浮かべてしまうのだろうか、「島って野球チームとかつくれるの?」「義務教育とか本当に受けていた