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山さ行がねがの検索結果41 - 80 件 / 874件

  • 【山さ行がねが】廃線レポート 飯田線旧線 中部天竜~大嵐間

    ※このレポートは、「道路レポ 静岡県道288号大嵐佐久間線 (序)」の続きです。 JR飯田線は愛知県の豊橋(東海道線)と長野県の辰野(中央線)を結ぶ、全長195kmに及ぶ全線電化のローカル線である。 沿線には赤石山脈などの急峻な山岳地帯にあることや不良地質が多かったため、建設には大変な苦労が払われたのであるが、当初は全線が私鉄として建設されていた事はご存じだろうか。 今回紹介する旧線は「私鉄時代」に建設されたものなので、少々長くなるがその歴史を説明したい。 現在の飯田線の母体となったのは、南から豊川鉄道、鳳来寺鉄道、三信鉄道、伊那電気鉄道の4つの私鉄である。 このうち一番古く全通したのは豊川鉄道(豊橋~大海)で、明治33年にまでさかのぼる。 次いで豊川鉄道の傍系会社である鳳来寺鉄道が、大正12年に三河川合までを延伸開業させた。 北側については伊那電気鉄道(当初は伊那電車軌道)が明治42年か

    • 【山さ行がねが】道路レポート 金沢区朝比奈の“脅迫的な”市道

      道路レポートは今回が記念すべき(?)150作目。 そこで今回は、普段あまり取り上げないジャンルとして、都会の市道を見てみようと思う。 おそらく日本に一番沢山あるのが「市道」カテゴリの道だと思うし(平成の大合併により、町道や村道を確実に上回ったはず)、ほとんど誰しもがお世話になっているはずだが、個々の路線名が分かりにくい事もあってか、道路趣味の対象としてはマイナーと言わねばならない。 そして、私が今回のレポートを発表した事によって、そうした傾向に風穴を穿つ… つもりなど毛頭なく、そもそもそれほどのインパクトを有さない道なのであるが、 し か し ! この道の入口にある“看板”だけは、オブローダーなら決して素通り出来ないはず! かく言う私も、何の予備知識も持たないまま、もちろん探索の対象とするつもりも全くないまま通りかかり、そしてこの市道に捕まった。 そんな舞台はどこかと言いますと… 2009

      • 廃道・旧道・酷道・険道・未成・不通道路の探険~山さ行がねが・道路レポート~

        かつて淡路島随一の秘境であった上灘地区を貫通する県道洲本灘賀集線。日本列島を軋ませ続ける巨大断層帯“中央構造線”に立ち向う幻の旧道の踏破を目指す! おそらくこの島で一番険しい廃道である。

        • 【山さ行がねが】ミニレポート第190回 都計道久里浜田浦線にある “すごい構造物”

          おいおい! いつの間にこんなスゲーのが作られてたんだ?! 横須賀はもう何度も行って、知らない道なんて無いんじゃないかと(←言い過ぎ)思っていた私だが、先日とんでもない、すごすぎる、あわあわする道路構造物に出会ってしまった! 事の次第はこうである。 2014年4月25日、私は横須賀市内で自転車を使って仕事をした。 そして夕方、久里浜で解散となったので、車を駐めてある田浦へと戻ることにした。 久里浜から田浦へ自転車で帰るコースは、まず国道134号と16号を使うのが一番シンプルであるが、さすがにそれでは面白みが薄い。 変化を求めて道路地図をくまなく眺めていると、内陸部を通る横浜横須賀道路の近くに、国道の色でも県道でも塗られていない、それでいて幅の広い立派な道が描かれていることに気付く。 その道は、自転車はおろか、車でも通った事が無かった。 私は帰路に、この内陸部を通る“無着色の道路”こと、都市計

            【山さ行がねが】ミニレポート第190回 都計道久里浜田浦線にある “すごい構造物”
          • 【山さ行がねが】道路レポート 神津島黒根の未成道

            <今の状態は…?> “ 封鎖された長いトンネルを抜けると、そこは大崩壊地だった。 ” 神津島最長の大黒根トンネルの先に待ち受けていたのは、先ほどまでの2車線舗装路とは余りに異質な風景であった。 果たしてここに道は作られていたのか、それとも工事は完全にトンネルでストップしていたのか。 今回は波濤逆巻く海岸線を歩いて、この足で道の有無を確かめる。 なお、地図を見る限り、ここから頑張って500m東へ行ければ、「返浜」という場所に辿り着けるはず。 そしてそこには何かしらの道が待っているようなので、未成道になった気持ちで、あそこを目指そう。 2013/4/2 7:45 500m先の返浜を新たな目的地として定めた私だが、今見えているのは、150mほど先にある無名の岬である。 その先の地形は全く窺い知れない。 そして凄く気になるのは、あの岬の基部に見える顕著に凹んだ部分のことである。 私はあれが、実はト

            • 【山さ行がねが】道路レポート 清川村道土山高畑線

              <周辺地図> 首都圏を代表する水瓶の一つ、宮ヶ瀬ダム。 神奈川県の中北部、丹沢山系の麓に県内最大級の貯水池「宮ヶ瀬湖」が湛水を開始したのは、平成10年のことである。 都心からわずか50kmという好立地に加え、豊富な自然が色濃く残っていることから、現在では「ダム湖百選」にも選ばれる一大レクリエーションゾーンになっているのだが、この巨大な人造湖の湖畔に通常では辿り着く術のない…“不思議な橋”がある。 そしてこの橋は、観光客や釣り人など湖を訪れる大勢の目に、大変奇異な光景として映っている。 私が“この橋”について興味を持ったのは、かれこれ5年以上も前のことだ。 当時の私は当然秋田に住んでいて、また、20年ほど前まで横浜に住んでいた時分には、この宮ヶ瀬のまだ沈んでいない道を走った事はあった筈だが、ともかく、見ず知らずの「宮ヶ瀬ダム」が興味の対象になる環境ではなかった。 それなのに私が“この橋”につ

              • 【山さ行がねが】道路レポート 神津島黒根の未成道

                ※ このレポートは、「廃線レポート 神津島の石材積出軌道」の続きの時系列となります。 先に向こうをお読みになる事をオススメします。 私はいま雨の中、帰りの船の出航の有り無しとその時刻を気にしながら、島北端部へのスピーディな遊撃作戦を展開している最中である。 そしてスタートから1時間30分が経過した現在、ふたつのターゲットのひとつめ「石材積出軌道」の探索を終え、つづいてもうひとつの… コードネーム: 都道終点 へのアプローチを開始するところだ。 だがその前に、皆さまにお伝えしておきたい。 私がなぜ、ここへ行きたかったのか。 見てくれよ!! → 変だぜー!! 黄色い都道の線が、結構長いトンネルを出た途端に突然 ブツッ! と切れている。 現場はまさに採石場が山頂にあった神戸山の北麓で、神津島の最北端である。 そして、この「終点?!」の600mくらい手前にももう1本トンネルが描かれていて、その入口

                • 【山さ行がねが】道路レポート 国道410号 松丘迷走区

                  松丘 迷走 国道 なんぞそれ? それは、 おそらく 関東一理不尽な国道の線形。 まずは次の地図を見て欲しい。 【所在地(外部リンク)】 ご、ごめん…  もったいぶって… でも、“めくる”前に…  ちょっとだけ想像してみて欲しい。 房総半島の内陸にあるこの「一般国道410号」に、どんな異常線形があるのかを。 上から来た道が左へ曲がっていく。 隠された部分には、そんな線形が潜んでいる。 それでは、めくってみよう。 なんじゃこりゃ。 いままで数多くの道路線形を見てきた私だが、こんなに変態的なのは、初めてだ。 まるで、& の “なり損ね” のような線形と言えばいいだろうか。 しかも、この“変態線形”は一時的なものではなく、 国道410号が昭和57年に誕生して以来、ずっとここにある。 一体現地では、どのような「案内」がされているのだろうか? まさか千葉方向から館山方向へ向かうドライバーは、こんな変態

                  • 【山さ行がねが】道路レポート 国道45号線 小本危険区間

                    私が最初にこの道と出会ったのは、細田氏の運転するブルーバードの車内でのことだった。 その日、北三陸の田野畑村で一つ目の探索目的を果たした我々は、次の目的地である宮古市へと、三陸を縦貫する唯一の幹線道路である国道45号線をハイピッチに南下していた。 本州最大の面積を誇る町、岩泉町の小本港はその通過点である。 国道45号線は小本港の前後では、リアス海岸特有の海岸線すれすれまで迫る険しい山なみを避けるように、やや内陸の山林を駆け抜けている。しかし、小本付近では一度海岸線のそばまで降りて、龍泉洞で有名な宇霊羅山などから流れ出す小本川の河口を跨がねばならない。狭い河口部の平野には小本の集落がこじんまりとまとまっている。 小本が近付くと、国道は下り坂になる。 そして、私はこのわずか2kmほどの下り坂で、天にも昇るような興奮を憶えた。 真性の道路好きならば、誰しもがその血潮を騒がせ、ともすれば放屁・吐血

                    • 廃隧道・旧隧道・変なトンネル・謎の穴~山さ行がねが・隧道レポート~

                      千島海流によって削られた高さ100m近い海食崖が連なる昆布森海岸。地図を見る限り、海岸線を人が行き交う状況は想定しづらい絶壁なのだが、そんな海食崖に穿たれた古隧道があるという情報を入手した。“割れ岩トンネル”というらしい。いくつかの条件をクリアしなければ到達出来ない隧道に挑む!

                      • 山さ行がねが

                        山本高広の「山さ行がねが」。自転車で山に行こう こんにちは、山本です。 休日はよく自転車を車に積み、山に出掛けています。 自転車も山も好きなので、これ以上ない趣味だと思ってます。 特に好きなのはやはり秋。 平日、あまり人がいない日に紅葉を独り占めできたら最高ですね。自転車に乗りながらビールを飲みたくなりますが、それはさすがに自粛しています…。 でもあの景色を見ていると、ずっと走っていたくなります。 夕方暗くなってくるとなんとなく切なくなってしまいます。 秋も良いですが、新緑の春もいいです。 なんだか緑の香りがしてくるようで、とても新鮮な気分になります。 冬にも行く事はありますが、暑いのが嫌いなので夏はほとんどいきません。熱中症の経験もありますので。 いつかは海外にも自転車に乗りにいきたいですね。 カナダあたりが良さそうです。 広大な景色を眺めながらサイクリングを楽しみ、夜

                        • 【山さ行がねが】道路レポート 国道291号 清水峠 新潟側

                          おそらく、日本でもっとも有名な廃道の一つである。 多くの廃道ファンや国道ファンが、畏敬を込めて、こう呼ぶ。 清水国道 と。 清水国道の歴史は古く、明治の初期にまでさかのぼるのであるが、これは後にしよう。 それよりも、先に現状から説明したい。 清水峠は、群馬県と新潟県の県境(上越国境)上にあり、列島の中央分水界をなす、海抜1,448mの峠である。 この道は国道291号に指定されているが、峠の前後あわせて約28kmが「自動車交通不能区間」となっており、俗に言う“酷道”のひとつである。 これはおそらく、全国でも最長クラスの国道における自動車交通不能区間であるが、それでも群馬県側の大半は登山道になっていて、多少健脚であれば誰でも歩くことが可能である。 そして、素晴らしい景観を誇る清水峠に立つことも出来る。 だが、新潟県側の大半の区間(約12km)は廃道になっていて、 ここ何年、或いは何十年の間、誰

                          • 県道生活@いわて

                            県道生活@いわて 岩手県道を記録したサイト (注)このサイトの情報は2002年~2004年が中心となっており、古い情報です。 (更新情報) 2010.2.21 しばらく更新をお休みします 2009.9.9 r198 志和石鳥谷線 2009.6.25 r265 中寺林犬淵線 2009.5.24 r238 佐比内彦部線 r111 日詰停車場線 r117 石鳥谷停車場線 2009.5.11 r239 白崖弥栄線 2009.5.6 r282 東山薄衣線 2009.4.26 r289 柴宿横沢線 2009.3.14 r50 北上金ヶ崎インター線 県道一覧を19年4月1日現在に 2009.2.23 r49 栗駒衣川線 2009.2.11 r31 平泉厳美渓線 2009.1.31 r119 仙北町停車場線 r128 厨川停車場線 2009.1.11 r219 網張温泉線 ○お知らせ○ 2010.2.21

                            • 【山さ行がねが】道路レポート 都道204号日原鍾乳洞線 旧道

                              後にも先にも、山行が史上最悪の路面崩壊といえば、松の木峠の旧道を置いて他にない。 そう信じてきた私だが、レポート公開以来、読者から「もっと凄い場所がある!」 そんな挑戦状のようなメールが、年に数回以上も届けられるようになった。 中でも、複数の人から繰り返し紹介された場所がある。 東京都奥多摩町の日原川流域に、おそらく松の木峠を越える絶望的な崩落地点が、存在するのだという。 促されるようにして、WEB上で見ることが出来た幾つかの現地レポートを見たが… 皆 撤退していた。 だが。 私は、この崩壊地をモニタ越しに何度か見るうち、 「突破できるのではないか」 「言うほど難しいのだろうか?」 そんな疑問を感じるようになっていた。 確かにその崩壊地の幅は、松の木の比ではないように見えた。 だが… 松の木の時のように、チャリ同伴を強制される訳ではないのだ。 極端な話し、山頂まで高巻することだって、谷底ま

                              • ネットとリアルの施策を連動させて特定のファン層にリーチ。ニッチなドキュメンタリーDVDが通常の1.5倍の売れ行きに - AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議

                                劇場公開もほとんどされないため、普段はあまり目に触れることがないドキュメンタリーDVD。通常、同ジャンルのAmazonDVDランキングでは人気アーティストのドキュメンタリーが上位に来ることが多い中、異色のDVDが売れ行きを伸ばしている。それが、3月2日にリリースされた、『廃墟賛歌 廃道クエスト Obroad Quest)』(販売元:Happinet)だ。 これは、「軍艦島」のDVD、書籍を手掛けたオープロジェクトと、人気サイト「山さ行がねが」の管理人である平沼義之氏がコラボレーションし、日本各地の有名無名な“廃道”を紹介するという内容。 このDVDの販売にあたっては、各種施策を連動させた。デジタル周りの施策では、発売直後に本作と連動したスマートフォンアプリ「廃道クエスト」をリリース。また、DVDに収録される、平沼義之氏のオーディオコメンタリー収録現場をUstreamで生中継した。さらに、Y

                                  ネットとリアルの施策を連動させて特定のファン層にリーチ。ニッチなドキュメンタリーDVDが通常の1.5倍の売れ行きに - AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
                                • 【山さ行がねが】廃線レポート 橋場線 および橋場駅

                                  ここに、数奇な運命を辿ったひとつの終着駅がある。 その駅は、橋場駅という。 国鉄橋場線の終着駅である。 だが、この駅が機能を停止して、既に60年以上の時間が過ぎている。 橋場駅は、鉄道省の橋場軽便線(軌間1067mm)の終着駅として、大正11年6月25日、地元の熱烈な歓迎の中に開業の日を迎えた。 県都盛岡から西へ約24km延びた鉄路がたどり着いた橋場地区は、当時人口1000人ほどであった岩手郡御明神村(現在の雫石町の西部)にあり、その沿線には小岩井農場などの牧畜で有名な雫石村があったが、いずれにしても、単独で採算性があるような路線ではなかった。 やがては橋場駅の西に奥羽山脈を貫通する大隧道を穿ち、隣県秋田の生保内(旧:田沢湖町・現:仙北市)から大曲(大仙市)へ至るという、壮大な「盛大横断鉄道」(または盛曲線)を構想した上での、その第1段階としての開通であった。 そのためか、開通翌年の大正1

                                  • 【山さ行がねが】隧道レポート 釜トンネル

                                    釜(かま)トンネルは、日本で最も良く知られたトンネルのひとつではないだろうか。 一度でも体験すると忘れがたいその姿から、“釜トン”の愛称で親しまれてきた。 釜トンは、長野県道24号上高地公園線上にあり、その起点である国道158号との中ノ湯交差点に面している。 この県道は、世界的山岳観光地である上高地へと至る唯一の自動車道であり、釜トンは開通以来、上高地への「門」として存在し続けてきた。 しかも、その門は大変に狭く、そして急勾配であり… 単純な門と言うより、上高地への進入を物理的に選別する「衛兵」といっても良いかも知れない…。それが、釜トンネルであった。 釜トンならではの狭隘と急勾配のために紡がれた逸話は、枚挙に暇がない。 それを語り始めれば、あっという間にスクロールバーが目一杯まで小さくなってしまうだろうが、敢えて皆様には多くの予備知識のない状態で、この釜トンネルを体験して貰いたいと思う。

                                    • 40歳「廃道」に鉱脈を見出した男の快活な人生

                                      変化に対して鷹揚な背景には、自らの価値を間断なく見つめる冷静さがある。自らを甘えた逃げる人間と評するのもそうだし、廃道レポートというコンテンツの評価分析にしてもそうだ。 「廃道探索には前述のような独特の魅力があって、私は今のところはすごく楽しい情報発信ができているという自負があるんですよ。代えが利かない魅力があれば、それをどうおカネに換えるかが変わってもどうにかなる。だから、将来稼げなくなるという心配もしてないです」 この代えが利かない魅力を維持するのは、自らが持つ廃道へのモチベーションしかない。 これまで廃道へのモチベーションが減衰したことはない。それは自然にそうなったわけではなく、周辺にまとわりついてくる「嫌」を意図的に取り除いてきたからだ。探索した順番ではなく気が向いた順にレポートを書くのものそうだし、プレッシャーや公開範囲の狭さを伴う同人誌をやめたのもそう。アフィリエイトという、記

                                        40歳「廃道」に鉱脈を見出した男の快活な人生
                                      • 【山さ行がねが】道路レポート 六厩川橋攻略作戦

                                        このレポートは、「道路レポート 岩瀬秋町線 (御母衣湖右岸道路)」の続編ですので、先に上記レポートをお読みになることをオススメします。 本編において単に「一昨日の探索」や「前回」という表現を使った場合も、上記レポートで紹介した探索を指します。 東経136度56分54秒 北緯36度7分52秒 今回も懲りずに この地点→ 「六厩川橋」 を目指す。 「前回」は、六厩川橋の約2km手前にあるこの「秋町隧道」で敗退した。 原因は身を以て体験した背丈を超える水没だったわけだが、それをレポートで伝えたところの皆様の感想は、私の健闘を讃えるものが少なくなかった。 だが、私は気付いてしまった。 多くの「がんばった!」の根底に流れているのは敗者への労りであり、慰めを装った“がっかり”感だった。 「おおゆうしゃよ! しんでしまうとはなさけない。」 ぞくぞくと寄せられる「がんばった!」を読みながら、そんな言葉がリ

                                        • 【山さ行がねが】道路レポート 青ヶ島大千代港攻略作戦

                                          あの青宝トンネル旧道の激闘も、この探索の前座に過ぎなかった。 (でも、前座で敗北してるんですが…) 私が青ヶ島で一番行きたかった場所、大千代おおちよ港。 これはその挑戦の記録。 しかし、最新の地理院地図に堂々と「地方港」の記号で描かれている港に、なぜ私が行きたいのか。 愚問。 もちろんそれは、廃道があるからだ。 私の探索の腕を試し、同時に好奇心を最大に満たす、厳しい廃道探索の舞台があると確信したからである。 しかも、事前に少しだけ歴史を知っただけで、その凄絶過ぎるストーリーに惚れ込んでしまった。 青ヶ島という、廃道趣味者にとっては聖地的な凄みを持つ小世界の中においても、大千代港こそが最強の存在だと思っている。 そんな大千代港は、青ヶ島全体を4地区に分けた場合の東側外輪山一帯を指す北山地区にある。(他の地区は、村落がある北部外輪山上の岡部、西側外輪山一帯の上手、島の南半分を締めるカルデラ及び

                                          • 【山さ行がねが】ミニレポート第160回 横須賀市の盛福寺隧道

                                            2007/3/23 16:30 国道16号を横須賀市中心部から横浜方面に北上してくると、本町山中有料道路との分岐を過ぎてから、5連続で一方通行のトンネルを通過する。 5本目は新田浦トンネルで、これを出るとまもなくJR横須賀線のガードをくぐる。 くぐって最初の信号のある交差点が田浦4丁目交差点で、ここを左に入るのが、今回の小さな寄り道のはじまりである。 右の写真はこの田浦4丁目交差点で、手前が4車線の国道16号、奥の昔ながらの商店街アーチへ進む。 特に国道や県道ということはなく、ただの横須賀市道である。 入口は狭いし、行き先の標識なども特にないので、信号が無ければ見過ごしそうな所である。 ここを曲がると何があるというのか。 地図を見ていただこう。 現在地は横須賀市田浦町4丁目の角。 ここから西へ入る道があり、その行く手にはトンネルが描かれている。 2本。 トンネルの向こうは逗子市沼間で、逗子

                                            • 【山さ行がねが】道路レポート 国道459号 和風月名隧道及び橋梁群 前編

                                              平成12年に国道指定を受けた459号は、400番台の路線としては唯一太平洋岸と日本海岸(浪江町~新潟市)とを繋いでいる全長260km余りの道だ。 列島横断国道の例に漏れずその道中は険しく、幾多の山を越え谷を跨ぐ道のりとなっているのだが、この路線を辿ることの難しさはそればかりではない。 既存の国道や県道を繋ぎ合わせ(全線合わせて10もの他国道と重複している)、国道を求める幾多の市町村の要望に応えながら路線指定を行った結果、太平洋と日本海沿岸を結んでいるという実感があまりにも湧きにくい、むしろ、「あれれ?なんで新潟と浜通りに同じ路線番号があるの?間違い?」などと思われそうな、迂遠屈曲を団子の如く列ねた継ぎ接ぎだらけの国道となってしまった。 故に、この道を辿る難しさは、未改良区間が多く残るという物理的側面のみならず、道なりに走っているといつの間にか国道から外れ、別の道へ誘導されているなどといった

                                              • 【山さ行がねが】橋梁レポート 無想吊橋

                                                2010/4/21 14:12 《現在地》 橋頭にはじめてたどり着いてから、5分後。 私は橋の上にいた。 しかも既に転落すれば絶対に助からないだろう高所に達していた。 この画像からも、「空中歩行」の雰囲気が十分に感じられると思うのだが、その理由は明確である。 それは、自然に正面を向いてカメラを構えているにもかかわらず、谷底が写っていないからだ。 そのせいで、底知れぬ高さが感じられるし、実際にそのとおりなのである。 改めて、この橋の長さを考えてみる。 目測100m以上は間違いなくあるだろうが、やはり距離感が今ひとつ掴めない。 見慣れない景色だからだ。 ただし、地形図読みだと140m前後と測定される。 wikipediaの夢想吊橋の記事では長さ144mとしてある。(原典不明) 14:13 《現在地》 明らかに腰がひけた摺り足の“臆病歩き”ではあったが、事前の構造チェックで得た信頼感を頼りに、逡

                                                  【山さ行がねが】橋梁レポート 無想吊橋 
                                                • 【山さ行がねが】廃線レポート 橋場線 および橋場駅

                                                  ここに、数奇な運命を辿ったひとつの終着駅がある。 その駅は、橋場駅という。 国鉄橋場線の終着駅である。 だが、この駅が機能を停止して、既に60年以上の時間が過ぎている。 橋場駅は、鉄道省の橋場軽便線(軌間1067mm)の終着駅として、大正11年6月25日、地元の熱烈な歓迎の中に開業の日を迎えた。 県都盛岡から西へ約24km延びた鉄路がたどり着いた橋場地区は、当時人口1000人ほどであった岩手郡御明神村(現在の雫石町の西部)にあり、その沿線には小岩井農場などの牧畜で有名な雫石村があったが、いずれにしても、単独で採算性があるような路線ではなかった。 やがては橋場駅の西に奥羽山脈を貫通する大隧道を穿ち、隣県秋田の生保内(旧:田沢湖町・現:仙北市)から大曲(大仙市)へ至るという、壮大な「盛大横断鉄道」(または盛曲線)を構想した上での、その第1段階としての開通であった。 そのためか、開通翌年の大正1

                                                  • 【山さ行がねが】道路レポート 都道201号 十里木御嶽停車場線

                                                    【位置】 一般都道201号十里木御嶽停車場線(じゅうりぎみたけていしゃばせん)は、あきる野市十里木から養沢(ようざわ)へ入り、日の出山山頂付近、御岳山山頂付近を経て青梅市滝本へ下り、さらにJR御嶽駅前に達する全長15kmあまりの都道である。 この道には都道としては珍しい自動車交通不能区間が約3kmという長距離(あきる野市養沢~青梅市御岳山)にわたって存在するばかりでなく、一部で2路線の都道が交通不能区間のまま重複するという、日本唯一の区間がある。(これは県道でも珍しい) 正直、3kmという交通不能区間をチャリで踏破する事への不安は小さくなかったが、都内ということでそれなりに踏まれているだろうと考えてチャレンジしてみることにした。 またこの道には、私にとって前述の交通不能都道同士の重複区間ということ以上に興味深い“エリア”があった。 それはあきる野側(図中右下)から行って自動車交通不能区間の

                                                    • 【謎】Googleマップで発見!海中に沈む謎の構造物に迫る(後編)ヤマグチ探検隊 北海道小樽市

                                                      Googleマップで旧道の下調べをしていると海岸から程近い海中に、四角い構造物を発見。付近には旧日本陸軍の特攻艇基地もあった事から、この四角い構造物も基地に関連した物では?との仮説を立て現地に向かった。ゴムボートに乗って陸地から到達困難な入江に上陸。ついに謎の解明に向けて動き出すのであった。 【注意】動画での見解は間違っていた事が判明しています。 本当の真実はこちらで解説しております↓ 【訂正編】Googleマップで発見!海中に沈む謎の構造物に迫る!真実は他にあった... 北海道小樽市 https://youtu.be/5dSIfzs_wLk 前編をまだ見ていない方は是非↓ 【謎】Googleマップで発見!海中に沈む謎の構造物に迫る 北海道小樽市 https://youtu.be/Lwffm8wWz7I https://youtu.be/5dSIfzs_wLk 今回の動画に出てく

                                                        【謎】Googleマップで発見!海中に沈む謎の構造物に迫る(後編)ヤマグチ探検隊 北海道小樽市
                                                      • 【千葉県】【隧道】半分以上蓋をされているが通行可能な「私有地」トンネル

                                                        【千葉県】【隧道】半分以上蓋をされているが通行可能な「私有地」トンネル 2018.07.20 秘境 千葉県, 関東, ドライブレコーダー, 隧道, 秘境 千葉県には、謎がいっぱいである。 何を藪から棒に、と思われてしまうかもしれないが、僕が常々感じている千葉県に対する率直な思いだ。 標高500m以上の山が無い日本で唯一の都道府県にも関わらず、蓋を開けてみると奇々怪々な物件や楽しさが一箇所に詰め込まれたスポットなど、枚挙に暇が無い。何の興味も無い人が見れば「ふーん」で終わり素通りしてしまうような種類が主ではあるが、僕のように秘境探索が趣味な人間からしてみれば、まさに垂涎と言うべき場所ばかりに思えて仕方が無い。 さて、今回紹介する物件だが、あなたは半分以上コンクリートで蓋をされているが通行可能な隧道を目にしたことがおありだろうか? きっと多くの方がそんな意味不明な光景を見たことが無いはずだ。そ

                                                          【千葉県】【隧道】半分以上蓋をされているが通行可能な「私有地」トンネル
                                                        • 【山さ行がねが】道路レポート 東京都道211号若郷新島港線

                                                          現在地は、「 東京都 新島村 若郷 」。 この短い地名にも、この地が歩んできた本土とは少しだけ違った“日本史”が、しっかりと刻み込まれているという話をしたい。 少し探索の本編からは脱線するが、お時間を下さいな。 まずは、「新島村」なのに、その前に「○○郡」がないことに気付く。 これは伊豆諸島や小笠原諸島の島々に共通する特徴だが、近世以前より今日まで郡に所属したことがない。 例えば近世には伊豆国や駿河国に所属していたが、その際も「伊豆国新島」などと呼ばれていた。 そして明治11年に全国の郡名を改めた郡区町村編成法が成立した際も、新島を含む一部島嶼地域への適用が見送られたことで、郡名を得る機会を失った。 このような政治的な“仲間はずれ”が公然となされた理由はなんだったのか。 それは、伊豆諸島は人口の多さから考えて一郡にまとめざるを得ないが、それぞれの島が海で隔てられていて交流(交通)もほとんど

                                                          • 「廃道家」石井あつこ 廃道求めて恋人と破局 人生迷走しても廃道は迷わない (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

                                                            ◇イマドキの仕事人 「廃道」と呼ばれ、人の往来が途絶えた道がある。主に山奥にあり、地図から消えているケースも多いが、見つけて歩いてみる人たちが現れるなど静かに注目を集めている。大半は趣味の域で楽しむ愛好家だが、書籍を出版したり、探索ツアーを主催して「廃道家」を名乗る女性がいる。「人生は迷走しても、廃道だけは迷わない」と歩き続ける姿を追った。 東京・新宿の喫茶店で、伊豆半島の古地図を広げる女性。廃道家の石井あつこだ。郷土史の史料などと照合し“失われた道”を探しているのだという。 「最近歩いた」という伊豆の廃道の写真を見せてくれた。「40年前には車が通っていたんですよ」。伸び放題の木と、転がる岩。一見、ただの山道に見えるが、ボコボコのガードレールが車道だったことを表していた。 探索に出掛けるのは「年50~60日」という。廃道の多くは山にあり夏はやぶ、冬は雪で路盤が覆われ一年中歩けるものではない

                                                              「廃道家」石井あつこ 廃道求めて恋人と破局 人生迷走しても廃道は迷わない (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
                                                            • 【山さ行がねが】道路レポート 神奈川県道701号 大山秦野線

                                                              【所在地(外部リンク)】 また、オカシゲな県道に行ってきまつた。 神奈川県の一般県道701号、大山秦野(おおやま-はだの)線だ。 その異様な様子は右の地図の通り。 県の資料によれば、「起点」が伊勢原市大山の一般県道611号大山板戸線(通称:大山街道)上にあることになっているが、地図上に県道色で塗られた道が現れ始めるのは、その県道611号から400mほど山に入った地点からである。しかも点線として。(縮尺の小さな地図では、伊勢原市側の道は全く描かれていないこともある) 海抜450mの「峠」付近は林道と重なっているのか、とにかく地図上では林道が県道色で塗られている。 そして秦野市側だが、麓へ下っていく林道を尻目に、県道は忽然と消失。 …したかと思えば、またヒョロヒョロと現れては県道70号秦野清川線にぶつかって「終点」である。 山腹に突如現れたり、峠で消えたり、まるで幽霊か蜃気楼。 「おお、山肌の

                                                              • 【謎】Googleマップで発見!海中に沈む謎の構造物に迫る(前編) 北海道小樽市

                                                                Googleマップで旧道の下調べをしていると海岸から程近い海中に、四角い構造物を発見しました。現地で空撮も行い、本当に存在する事を確認。興味本位から調査を進めて行くと、やがて歴史的な出来事と密接に関係している可能性が出てきた。更にはすぐ目の前に人工的な洞窟らしきものまで... 解明に向けて大掛かりな調査に発展するのであった。 後編はこちら↓ 【謎】Googleマップで発見!海中に沈む謎の構造物に迫る(後編)ヤマグチ探検隊 北海道小樽市 https://youtu.be/GNgmiR4kUyM (後編では間違った答えでお伝えしております事、予めご了承ください) 本当の真実はこちらで解説しております↓ 【訂正編】Googleマップで発見!海中に沈む謎の構造物に迫る!真実は他にあった... 北海道小樽市 https://youtu.be/5dSIfzs_wLk ヤマグチ探検隊の活動記録↓

                                                                  【謎】Googleマップで発見!海中に沈む謎の構造物に迫る(前編) 北海道小樽市
                                                                • 【山さ行がねが】廃線レポート JR上越線 旧湯檜曽駅跡

                                                                  ↓ いかがだろう。 駅の移転という大筋については、上図のうち赤く着色した部分だけを追っていけば良い。 つまり、昭和6年に湯檜曽駅は旧位置に開業し、昭和42年の複線化開業に合わせて、新位置に移転したということである。 ただ、上の図が少し複雑になっているのは、旧新位置ともに、それぞれ湯檜曽駅として使われる前後史があるせいだ。 例えば、昭和24年12月から昭和38年3月までの期間、大穴仮乗降場と呼ばれる仮駅が現在の湯檜曽駅の位置に存在していたこと。 そしてもうひとつ、旧駅が廃止された昭和42年9月以降も、昭和59年11月までそこに北湯檜曽信号場が置かれていた事だ。 大穴仮乗降場については、それの現役当時に書かれた『町誌みなかみ』に、右の1枚の写真と共に僅かながら記録されていた。 p.359より引用しよう。(ちなみに当駅絡みの記述はこれで全てだ) 大穴仮停車場 昭和24年12月より、冬季スキー客乗

                                                                  • 道路レポート

                                                                    2004年5月中旬、山行が宛てに一通のメールが寄せられた。 そこには、私を即座に夢中にさせるネタがしたためられていた。 差出人は、青森県にお住まいのぴょんぴょん氏。 その彼が以前登山で利用した道が、戦前の車道の跡であるというのだ。 その道の場所は、右の地図の通りである。 地図の最も下に水色がかっている部分があるが、これは十和田湖である。 その十和田湖の北岸の突端である御鼻部山付近から北上し、海抜900m前後の山上を縦走。 いよいよ南八甲田山の峰峰に対峙し、これをヘアピンカーブで上り詰める。 最高所は、標高1200mを超える稜線上にあり、この名が、地獄峠。 ここから猿倉温泉へ向け、数度のヘアピンカーブを経つつ緩やかに下りるというコースである。 すなわち、北東北有数の観光地である「十和田湖」と「八甲田山」とを短絡する稜線ルートといえば分かりやすい。 このルートは、確かに一般の道路地図にも示され

                                                                    • 廃線・旧線・森林鉄道・未成線~山さ行がねが・廃線レポート~

                                                                      令和に入って存在が明るみになったマイナーな森林鉄道に着目し、様々な資料からその場所を探し当て、探索した。全く先が読めない探索を刮目して注目せよ!

                                                                      • マニアパレル|maniapparel:ジュンク堂書店池袋店7階【マニアパレル】新入荷情報

                                                                        2018年11月06日 ジュンク堂書店池袋店7階【マニアパレル】新入荷情報 ジュンク堂書店池袋店7階|ショップインショップ【マニアパレル】池袋店7F 入荷情報です。 在庫状況は以下な感じですがsold outの場合も御座いますので 【池袋店03-5956-6111】にお問い合わせの上ご来店くださるといいかと思います。 【2018/11/05】「重量超過Tシャツ」&「給水塔づくしてぬぐい」新入荷 【2018/10/20】#チャーハニングアパレル新入荷 【2018/09/15】カール自走臼砲アパレル新入荷 【2018/08/30】2018てぬぐいコレクション新入荷(一部再入荷も) ・団地と給水塔|優しい曇りの団地色&緑深き団地色(2018新色) ・湘南モノレール|シアゾ式青写真:紺色&シアゾ式青写真:青色(2018完全新作/初登場) ・ガントリークレーン|青空キリン色&森のキリン色(2018新

                                                                          マニアパレル|maniapparel:ジュンク堂書店池袋店7階【マニアパレル】新入荷情報
                                                                        • 【山さ行がねが】道路レポート

                                                                          大崩海岸。 なんと直感的な名だろう。 誰しもがその名から容易に想像する険しい断崖絶壁は、“東海の親不知”とも呼ばれ、絶海を隔てて富士を眺める風流景勝の地であると同時に、交通の難所として日本の交通史に存在感を示し続けてきた。 大崩海岸とよばれる約5kmの海岸線は、静岡県静岡市と焼津市の境にある。 南アルプスの南端が太平洋駿河灘に落ち込む、陸と海の鬩(せめ)ぎ合いの合戦場だ。 険しい場所ではあるが、内陸へ入ればそこには数千メートル級の山脈が連なっているため、沿岸地域は古くから東西日本を繋ぐ交通の要衝であり続けた。 日本武尊の時代から戦国、平安、そして江戸時代、明治・大正・昭和・平成まで、国の要となる大路がこの一帯を通過してきた。 徒道、そして鉄道、さらに自動車道へと形を変えながら。 近世以降、日本最大の道であった「東海道」。 現在の国道1号は東海道をほぼ忠実になぞっており、海岸線から10kmほ

                                                                          • 【山さ行がねが】道路レポート 多々石林道

                                                                            南会津に一部の林道ライダーに知られた大荒れの林道があるという情報は、「国道?酷道!?日本の道路120万キロ大研究」(←7月16日発売です。皆さまよろしくお願いします!)の打ち合わせの際に、実業之日本社の磯部祥行氏に教わった。 その林道の名は多々石林道。 標高1320mの戸板峠を越えて旧田島町の針生と旧伊南村の古町(現在はいずれも南会津町)を結ぶ道で、右図のように最近の道路地図にも林道名とともに描かれているため、そこまで荒れているようには思えないが、実際は相当にひどいらしい。 旧版「会津の峠 下」(歴史春秋社発行/昭和51(1976)年)によると、戸板峠は江戸幕府が定期的に派遣していた巡検使の通路であり、天明8(1788)年の巡検使に随行した紀行家古川古松軒も、「東遊雑記」に戸板峠のことを次のように書いている。 「針生を出て針生峠(戸板峠のこと)という大難所の坂ありて、この山中に見馴れざる草

                                                                              【山さ行がねが】道路レポート 多々石林道
                                                                            • 【山さ行がねが】道路レポート 国道158号旧道 沢渡~中ノ湯

                                                                              廃道の中の廃道。 皆様にとっての廃道とは、どんなイメージだろう。 草むした砂利道、苔の生えたアスファルト、ひび割れたコンクリート、消えかけた白線、色あせた道路標識、忘れられた路傍の石碑、照明の消えた真っ暗な隧道、落石に埋もれたガードレール、路面を奔る沢水、崩れ落ちた橋や路肩、草いきれのする藪、弱音、諦め、安堵とガッツポーズ… ここには、それら考えられる要素のほとんど全てのものがある! 廃道の中の廃道とは、決して険しいだけの廃道だとは思わない。 ここには、演出過剰なほどに分かりやすい、“廃道の真景”がある。 それゆえ、以前執筆させていただいた『廃道をゆく (イカロス・ムック) 』にも、巻頭企画としてこの道を紹介した。 この道を辿ることは、廃道の酸いも甘いも同時に体験することに他ならない。 同書にて一度紹介済みではあるが、本とネットでは表現方法も異なることであるし、今回はより詳細なレポートを作

                                                                              • 【山さ行がねが】廃線レポート 奥羽本線旧線 赤岩地区

                                                                                これから紹介するのは、奥羽本線の旧線である。 場所は、福島県福島市赤岩。 最寄り駅は、同線赤岩駅である。 奥羽本線については、名前くらいは全国区だと思うし、今さら多くを紹介する必要はないだろう。 福島と山形と秋田と青森を結ぶ、全長485kmの幹線鉄道で、全通は明治38年である。 赤岩という地名はかなりローカルではあるものの、鉄道ファンにはよく知られたる4駅連続スイッチバックの一つ赤岩駅は、まさに 赤岩地区の中心駅である。 最も、この書き方は二つのアヤを含んでおり、まず一つ、4駅連続スイッチバックは既に過去のものであると言うこと。 そして、「中心駅」と言うには相応しくない、秘境閑散駅であるということ。 いわば、奥羽本線きっての、ローカル駅なのである、赤岩は。 普通なら、駅などありよう筈もないような山中。 失礼だが、そんな場所だ。 そして、この赤岩に、豊富な旧線遺構が眠っている。 その古さ、残

                                                                                • 【山さ行がねが】道路レポート 国道17号旧道 二居峡谷

                                                                                  俺はまたしても、トンデモナイ廃道に遭遇してしまった! 上越国境とは上州(関東圏・群馬県域)と越後(北陸圏・新潟県域)とを隔てる線であり、すなわち県境である。 このエリアでは古くから「三国峠越え」と「清水峠越え」の二本の道が、国家の幹道としての主導権を争って来たのであるが、現在では決着済みである。 近代において両者の優劣を決定づけたのは、上越国境を結ぶ初めての自動車道が三国峠に拓かれたことによる。 昭和34年、戦前から計画されてきた三国トンネルおよび前後13km余りの山岳道路が一級国道17号として開通し、馬さえ通れなかった三国峠が近代的自動車道へと変貌を遂げたのである。 しかし、この段階ではまだ新しい国道も十分な機能を発揮できなかった。 なぜなら、この新潟側に連なる火打、二居、芝原などの峠が未改良で、自動車による通行に大きな危険を強制したためである。 続いて上記各峠も改良が進められ、昭和40