Ⅵ.「労働者と詩」イエス・キリスト編 私は、このヴェイユのパンというのをカトリックの聖体拝領、エウカリスティアのホスチアも指していると思っている。これは単なる直観に過ぎないが、ヴェイユは工場勤務によって、単調で過酷な仕事に対して、批判的な意見を持っていた。そしてそれは、ホスチアが、単なる「習慣」であり、 物質的になっていく世俗化された教会の問題も彼女は知っていただろう。それは彼女が労働者になった経験で、過酷な労働で、ただ飲み食いするだけのことをより物質的だと実感したことに繋がっている。 私が数多い哲学者や神学者を差し置いて、ヴェイユを選ぶ理由は彼女が「労働者」について着目しているからだった。そして、彼女が難解ともされる「転回」を繰り返す背景には、イエス・キリストという軸があることである。労働による貧困は現代にも通じ、そして普遍的な課題である。 イエス・キリストもヨセフが大工だったので、労働