本書は、雑誌「暮らしの手帖」編集長であり、文筆家、書店店主である松浦弥太郎氏が、日々の暮らしで愛用する100の品々と向き合ってつづった文章と、自らの手で撮り下ろした写真とで編んだ写真エッセイ集である。多忙な毎日を送りながらも、衣・食・住を楽しむ著者の健やかで爽やかな息づかいが伝わってくる一冊だ。 たとえモノであっても、家族や恋人、大切な友人と同じように、一つ一つに出会いの思い出、好きな理由が存在する。それはヒトとモノとの間に通い合う小さな物語ではないだろうか。 松浦氏は40代になり、若いころのように「買い物をしたい!」という欲がなくなった。モノを買うのは“出会った”ときだけ。そして背景に物語があるものを持ちたいと思うようになった。そんな彼は、出会いを大切にするために世の中にあふれる情報から距離を置くことに気を付けている。そうして自分の中をいつもからにしておくわけだ。 実際に見たり触ったりし