かつて重電や家電のライバルだった日立製作所と東芝の歴史と現在をひもとく本連載。前回(「総合電機」の看板、下ろした日立と傾いた東芝)まとめたように、日立製作所はリーマン・ショック後の過去最大の赤字を乗り越え、社会イノベーション事業をグローバルで展開する企業へとひた走ってきた。非中核事業の売却も終盤に差し掛かる中、日立はどんな将来像を描いているのか。東原敏昭社長兼CEO(最高経営責任者)に聞いた。 日立製作所が改革を進める転機となったリーマン・ショックのときのことをどう捉えていますか。 日立製作所・東原敏昭社長兼CEO(以下、東原氏):2009年3月期の決算で7873億円の最終赤字となって、どん底を見ました。もう1回このような赤字が出れば、日立は潰れるとみんな本気で思ったんです。 それまで、いい製品をつくれば売れるという時代があったので、「そんなに変化しなくてもやがて景気は戻ってくるだろう」と