シェルブールでの抗議デモには、多くの若者が参加した=仏北西部シェルブールで2022年6月18日、ギ・ペシャール氏撮影 鈍く輝く煙突が、空に突き刺さる。コンクリートと鉄が織りなす建物のシルエットは、巨大戦艦のようだ。フランス北西部、コタンタン半島にあるオラノ社(旧アレバ)ラアーグ再処理工場。1966年の設立以来、フランス国内のほか、日本を含めた外国からの使用済み核燃料を再処理し、原発で再利用するウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の原料となるウラン、プルトニウムを抽出してきた。 仏国内有数の原子力関連施設が集中するこの地では、2011年3月の東京電力福島第1原発事故後も、住民の原子力への支持は揺らがなかった。そして今、ロシアによるウクライナ侵攻が引き起こした資源価格の高騰や気候変動対策への意識の高まりが、温室効果ガスの排出量が少ない原発の再評価を促している。 想定外の抗議運動 しかし