コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田 沙耶香 文藝春秋 Amazon 小さい頃の僕は他人に興味がなかった。なぜみんなは群れて、集まって自分の時間を他人に捧げているのか理解できなかった。友人と呼べるものがおらず、犬と遊んだり、自分の世界に閉じこもるのが好きだった。自分の世界を自由に探索し、粘土遊びに興じたり、絵を一日中書いていたりした。近所の土管を探検し、カマドウマを見つけてはきめぇって一人ではしゃいでいた。寂しさもなかったし、誰からの評価も必要とはしなかった。犬と一緒に遊び、自分がやりたいことをできていれば、それ以外は必要なかった。 友達というものが必要であると知ったのは、小学生の修学旅行だったと思う。僕は成績は良かったけども、友達付き合いというものをほとんどしてこなかったため、村八分の状態だった。その時僕は愕然としたんだ。クラスの好きな子でグループを作ってくださいって先生が指示して、誰