「アポなしの訪問だったので、とても驚いた」 児童相談所の窓口で応対した職員はそう振り返る。 その相手とは、官房長官や厚生労働大臣を歴任した元衆議院議員の塩崎恭久さん(71)だ。 塩崎さんは、里親になる研修を受けるためにはどうすればいいのか、松山市にある児童相談所に尋ねに来たのだった。 大臣時代には児童福祉法の改正を主導するなど、子ども政策にこだわってきた政治家だが、なぜいま里親になろうとしているのか。 (森 裕紀) 議員からなぜ里親に 塩崎さんは日本銀行に勤めたあと、父親の後を継ぎ、平成5年の衆議院選挙で旧愛媛1区から初当選。 その後、官房長官や厚生労働大臣を歴任した。 若手のときには、いわゆる「政策新人類」とも呼ばれ、経済や金融、社会保障など幅広い政策に明るいことで知られる。 去年6月、「新型コロナ対策など国民の健康と命を守るための政治活動に一定の区切りがついた」として、目の前に迫ってい