失言問題によって静岡県の川勝平太知事が辞職し、リニア新幹線推進派からは静岡工区の着工に期待感が生まれている。当初目標の2027年は断念したものの、30年代早々にも東京―名古屋間が開通するのではないかというのだ。 リニア中央新幹線の改良型試験車。ノーズ先端部に凹凸を設けたことで空気抵抗を低減した=2020年3月、山口県下松市 しかし、危機管理の専門家の一員としては、深刻な課題が残っていることを指摘せざるを得ない。筆者はリニア反対の立場ではないが、以下の問題を解決しない限り、リニア新幹線に乗るつもりはない。 非常口から外へ出た後に… 緊急時に使う南アルプストンネル(25キロ)の非常口が人命軽視とも言える状態で放置され、JR東海側に問題意識がうかがえないためだ。 代表的な非常口は、静岡県内8.9キロの区間に設けられた千石非常口(標高1330メートル)と西俣非常口(標高1530メートル)で、以下