約250年前に江戸幕府公認で設置され、借金に苦しむ女性たちを閉じ込めて性売買が行われてきた吉原遊郭。そうした歴史を「文化」として、絵画等で華々しく紹介する美術展「大吉原展」(主催 : 東京藝術大学、東京新聞、テレビ朝日)が開催前から大きな批判を浴びている。前編では、遊女らを人形のように扱い、男目線で描いた展示に著者が疑問と憤りをぶつけた。 「文化」を支える男たちによって維持され続ける性売買 この「大吉原展」の開催にあたり、学術顧問の田中優子氏(江戸文化研究者、法政大学名誉教授)は記者会見で「吉原はさまざまな芸能や出版を含めた日本文化の集積地、発信地としての性格と、それが売春を基盤としていたという事実の、その両方を同時に理解しなければならない」「そのどちらか一方の理由によって、もう一方の事実が覆い隠されてはならない」「本展覧会は、その両方を直視するための展覧会」などと考えを述べている。しかし