陸上男子100メートルの前世界記録保持者、アサファ・パウエルをはじめとするトップ選手が、ドーピング検査で陽性反応を示したという。大リーグでもスター選手に筋肉増強剤などの禁止薬物を供給していたと報じられたアンチエージング専門医院「バイオジェネシス」が、スキャンダルの渦中にある。 ドーピングが禁止されているのは、もちろん競技が公正に行われるようにするためだが、禁止薬物の危険な副作用を防ぐためでもある。よく用いられる筋肉増強剤はステロイドであり、高血圧や肝障害などの副作用が出やすいからである。 身体だけでなく、精神にも重篤な副作用が出現することがある。ステロイドが怒りや抑鬱などを誘発するせいだ。たとえば、日本でも1990年代に「ペガサス・キッド」のリングネームで活躍していたプロレスラー、クリス・ベノワは、2007年に自宅で妻と息子を殺害して自殺したのだが、「ロイドレイジ(ステロイド性激怒)」によ