京都市左京区、東山に抱かれた閑静な住宅街の一角に、白壁にブルーグレーのスライドドアという、倉庫のような入口の一軒家がある。古道具店「bild(ビルド)」。ドアを開けると、色あせたスチール製のチェア、パステルカラーの積木、乳白色のプラスチックの箱などを配置した、インスタレーション的な展示が広がる。こうした明るい色の組合せは、ここの店の特徴のひとつだ。店主の酒井啓(さかい・けい)さんは1992年生れの29歳。平日は京都市内の古家具店に勤め、日曜の午後だけ店を開けている。店名はドイツ語で「絵画」の意。音が同じことから、英語の「build(構築する、造形する)」の意味も込めた。 ───── ──酒井さんが古いものに興味を持ったのはいつ頃? 酒井 広島、富山の中学高校を出て、愛知で一人暮らしを始めるタイミングです。限られた予算内で好きなものだけを部屋に並べたいと考えた結果、一定の相場が決まっていて手