戦車が実戦投入されて100年あまり。その誕生の背景には、銃火器の発達などで大規模になった塹壕戦があります。防御側が有利すぎたこの「塹壕戦」とはどのようなものなのか、日露戦争「203高地の戦い」などを見ていきます。 戦車誕生の背景に塹壕戦あり 2016年7月、戦車はその誕生から100回目の誕生日を迎えました。「陸戦の王者」と呼ばれる戦車ですが、100年前、どのようにして生まれることになったのでしょうか。 それは100年前に主流であった戦い方、「塹壕戦」の発展が大きく関わっていました。 拡大画像 塹壕を乗り越えようとするMk.I戦車。イギリス ボービントン戦車博物館の展示より(柘植優介撮影)。 戦車誕生のきっかけとなった塹壕戦とは、古代より行われていた戦術のひとつではありましたが、19世紀の火薬や火器の発展と共に戦場で多用されるようになりました。その構造は想像以上に単純で、基本は戦場に人や兵器