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  • 実際の炎上プロジェクトを通して学ぶ。ITエンジニアが修羅場をシミュレートできる3冊+α

    ITエンジニアが修羅場をシミュレートできる3冊+α」 ……という記事を書いたのだが、長いのでまとめをここに記す。 火消しのセオリーと、初見殺しの見分け方 お客の反応(否定、怒り、懐疑)の傾向と対策 炎上プロジェクトで真っ先にすべきこと 「やらないこと」の決め方 みずほ勘定系基幹システムMINORIに見る修羅場 2021年2月のATMシステム障害の原因 実際の炎上プロジェクトを通して学ぶ、修羅場シミュレーターとしての3冊+αだ。 『問題プロジェクトの火消し術』はリカバリーするために何が必要で、どうやって話を持っていけばよいかが、具体的に書いてある。そのまま使える言葉がゴシック体で強調表示されているため、なんならメールにコピペして使えるくらい生々しい。 『プロジェクトのトラブル解決大全』は修羅場でどう動けばよいのかがまとめられている。いわゆる「正解」があるというより、上手く動けるPMは、たいて

      実際の炎上プロジェクトを通して学ぶ。ITエンジニアが修羅場をシミュレートできる3冊+α
    • いま本を書いている人、これから書く人の宝物となる一冊『本を書く』

      いま本を書いている人、これから書こうとする人、あらゆる「書く人」にとって、宝物となり、お守りとなる一冊。 作家が答えるべき2つの問い 巷に数多に散らばっている、量産型のハウツー本ではない。もっと根っこの、書く意志を焚きつけるメッセージが連なっている。「本を書きたい」人は、ぐっと背中を押されるだろうし、「いま書いている」人は、挫けそうな心を励まされるだろう。 どの本を書いているときでも、作家は二つの問いに答えなければならない。この本は完成するだろうか? そして、私にそれができるだろうか? もちろん、だれも保証してくれない。 書き始めの興奮がおさまってくると、この疑問が沸き上がってくる。どんなに書いても終わらない日々が続いたり、書くべきことが言葉にならずにぐるぐる廻っていると、この不安が沸き上がってくる。 そして、何かとんでもない間違いをしでかしているような気になってくる。部分的な修正では対処

        いま本を書いている人、これから書く人の宝物となる一冊『本を書く』
      • 数学的に美しいと、科学的に正しいのか?『数学に魅せられて、科学を見失う』

        科学実験から得られたデータというのは、ノイズだらけで、混沌としており、それらをきれいに説明する数式やモデルを作るのは簡単ではない。 そのため、データを説明する数式の候補をいくつか検討することになる。このとき、よりシンプルに実験を説明する、美しい数式の方が、正しいような気がする(オッカムの剃刀、という言葉があるくらい)。 しかし、数学的に美しいことは、科学的に正しいことを保証しない。ひょっとすると、数学的に美しくない数式やモデルの方が、科学的には正しいのかもしれないのだ。 にもかかわらず、数学的に美しい方が科学的に正しいとする誘惑に駆られ、それに合わせて実験データの取捨選択まで手を染める科学者がいる―――現役の物理学者である著者は、そう告発する。 『数学に魅せられて、科学を見失う』は、ザビーネ・ホッセンフェルダーの初の著書となる。フランクフルト高等研究所の理論物理学者だ。ちょっと変わったタイ

          数学的に美しいと、科学的に正しいのか?『数学に魅せられて、科学を見失う』
        • Amazon EFS を利用して AWS Fargate 上の Amazon EKS でステートフルなワークロードを実行する | Amazon Web Services

          Amazon Web Services ブログ Amazon EFS を利用して AWS Fargate 上の Amazon EKS でステートフルなワークロードを実行する この記事は、Running stateful workloads with Amazon EKS on AWS Fargate using Amazon EFS を翻訳したものです。 本投稿は、Container Specialist Solutions Architect の Re Alvarez-Parmar と Sr Technical Account Manager の Vikram Venkataraman により寄稿されました。 Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) では、EC2インスタンスまたは AWS Fargate で Kubernetes ポッドを実行するこ

            Amazon EFS を利用して AWS Fargate 上の Amazon EKS でステートフルなワークロードを実行する | Amazon Web Services
          • 採用側の事情から攻略する『採用の思考法』

            大型書店に行くと、就職活動のコーナーがある。 エントリーシートの書き方や、面接のイロハ、オンライン面接の作法といった対策本が並んでいる。 そこで物色している人を見るたびに思う「就活棚じゃなく、右斜め後ろの棚を探せばいいのに」とね。なぜなら、 就活コーナーの近くにある「人事・労務」の棚に並んでいる本 の方が、役に立つから。 そこでは、採用が上手くいかない人事担当の苦労話や、せっかく登用しても長くは続かず、止めていってしまうミスマッチが語られている。そうした状況で、どうすれば望んだ人材が集まってくるのか、あるいは集まった人たちから、自社に最も合った人をどうやって選べばよいのかが解説されている。 「こうすればいい人材を採用できる」というノウハウが書いてあるのだから、そのノウハウに合った形で自分をプレゼンできたら、「いい人材」として認められる。誰を採用し、誰を落とすかの評価基準のつくり方が書いてあ

              採用側の事情から攻略する『採用の思考法』
            • アマプラ最高のドラマの探し方から、1,000頁1kg超の鈍器本、人生を変えた詩集、自信喪失なときに効くセリフまで、声に出して読みたい/聞きたい/語りたい作品をお薦めしあうオフ会報告

              好きな本を持ち寄って、まったり熱く語り合う読書会、それがスゴ本オフ。本に限らず、映画や音楽、ゲームや動画、なんでもあり。 今回のテーマは「音読」、声に出して読みたい/聞きたい/語りたい作品が集まってきた。 まとめブログはこちら https://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2023/10/post-b3f1c7.html

                アマプラ最高のドラマの探し方から、1,000頁1kg超の鈍器本、人生を変えた詩集、自信喪失なときに効くセリフまで、声に出して読みたい/聞きたい/語りたい作品をお薦めしあうオフ会報告
              • 医学的に無益な治療が、なぜ行われているのか『間違った医療』

                「無脳症」を知っているだろうか? 文字通り脳が無い。そのため生命を維持することはできず、生まれてもすぐに死んでしまうことが多い。 手塚治虫の『ブラックジャック』を読んでいるなら、「その子を殺すな!」というエピソードを思い出すかもしれない。無脳症の赤ん坊が生まれるが、ブラックジャックは殺す方が慈悲だと言って殺す。 脳ミソのない子が どんな一生を送るというんだっ 殺せーーーっ そのほうが慈悲なんだ!! お前さんの超能力が神がかりだってことはよくわかったよ だが医者はな ときには 患者のためなら 悪魔にもなることがあるんだぜ! さあ 後始末は私がやる 出てってくれっ 「ベビーK」という赤ちゃん 無脳症は死亡率が高く、治療する術もないため、現実の世界でも、中絶が推奨されているという(Wikipedia:無脳症)。 だが、強い要望により、そのまま延命が行われることもある。 1992年10月、アメリカ

                  医学的に無益な治療が、なぜ行われているのか『間違った医療』
                • アガサ・クリスティ自選の傑作『終りなき夜に生れつく』

                  「知らないけど、間違いなく面白い本」を読むには、どうすればいい? 世間で評判のベストセラーなら、少しは期待してもよいだろうが、「私が」面白いかどうかは別だ。プロ書評家が「これを読め」なんて誉めても、”Not For  Me” (私には向いてなかった)なんてザラである。 そんなとき、どうするか? 面白い本を、「これ面白かった!」と叫べばいい。 すると、「それが良いならこれなんてどう?」なんてレスポンスがもらえるときがある。 ブログ記事に残されたメッセージだったり、twitter のリプライだったり、はてなブックマークでのコメントだったりする。そんな返事をくれる人は、鉦や太鼓で探すべきだし、オススメは果敢に手を出すべき。 なかでも、はてなブックマークのコメントは有難く、知らないけれど、面白い本に出会うきっかけを何度も貰った。どんなに感謝しても感謝しきれないくらいである。 今回は、d-ff さん

                    アガサ・クリスティ自選の傑作『終りなき夜に生れつく』
                  • 可憐でエロくて危うい百合 ✕ 吸血鬼『ヴァンピアーズ』

                    授業を抜けだした一花(いちか)が、体育館の裏でアリアに血を吸わせるところ。首は痕が目立つから、腕を差し出す。皮膚を破る鈍い痛みと、痛みが減衰してゆき、べつの感覚に変わる快に身をよじる。第4話「INTRUDER」の一幕で、狂おしいほど好き。 血を分け与えるというのは、どんな気分なんだろう。 自分の命が相手の一部になる。昔、授乳する嫁様の表情からオキシトシンを想像して、多幸感をシンクロさせたことがある。あんな感じだろうか。あるいは、成分献血マシンに抜かれる際の、幸せな眠気みたいなものだろうか。 あるいは、血を吸う感覚はどんなものだろう。 相手の精を飲み干す。うっすら汗ばむ白い肌にむしゃぶりついて、痛くならないギリギリ甘噛みして、むせるような生々しい匂いと共に、しょっぱさを覚えながら吸い・舐めとる際の、ケモノだったことを思い出すような感覚だろうか。 この妄想を、美少女 ✕ 美少女で実現したのが、

                      可憐でエロくて危うい百合 ✕ 吸血鬼『ヴァンピアーズ』
                    • 難民キャンプ、被災地、スラム街を「観光」する『不謹慎な旅』

                      不謹慎な観光ガイド。 風光明媚な観光スポットとは言い難い。戦争や天災、公害、差別、事故現場など、大きな悲劇を経験した「負の遺産」となっている場所になる。 さらに、遠い過去ではなく、まだ記憶に生々しい場所をわざわざ選んでいる。そのため、いまだ悲しみの傷が癒えない人が居たりする。そうした人たちの声を拾い上げ、カメラも向けている。 そういう、嫌な記憶となっている所を観光するなんて、失礼で悪趣味だという誹りを免れない。なので、タイトルから先回りして、「これは不謹慎な旅です」と言い切る。 普通の観光地は、旅行ガイドやTV番組等で紹介し尽くされている。GoogleMapを使えば、居ながらにしてそこの景色を見ることだってできる。そんな「普通の」観光地では飽き足らない人のための、不謹慎な観光ガイド。 エジプト・カイロ「豚の場所」 「世界で一番ゴミだらけの首都」とされている、エジプト・カイロを訪れる。 中で

                        難民キャンプ、被災地、スラム街を「観光」する『不謹慎な旅』
                      • ヨーロッパ偏重のローマ帝国から離れる『岩波講座 世界歴史 03』

                        皇帝ネロの時代、ローマは火の海となった。炎は6日と7晩かけて、首都の大半を焼き尽くした。 「都を新しくしたいネロの陰謀」という風評をもみ消そうとして、ネロ帝はキリスト教徒を放火犯に仕立て上げ、火刑に処したという。 しかし、本書よると、これはキリスト教徒のプロパガンダらしい。 ネロの時代において、ユダヤ教とキリスト教は、はっきりと分化しておらず、「キリスト教徒」という集団では認知されていなかった。あくまでユダヤ教内での対立として、暴動を引き起こしていたという。 暴動の首謀者としてクレストゥス(Chrestus)とユダヤ人たちが追放されたという記録があるが、写本を引き継ぐ中で、イエス・キリスト(Christus)に書き換えられたのではないか、という説だ。つまり、刑に処せられたのはユダヤ人集団であり、キリスト教徒だけを狙い撃ちしたわけではないというのだ(※)。 一方、キリスト教徒に対する「迫害」

                          ヨーロッパ偏重のローマ帝国から離れる『岩波講座 世界歴史 03』
                        • 本を読もう

                          父から貰った言葉で、今も大切にしているのは、「本は待っていてくれる」である。 本は、読まれることを待っている。無理強いせず、辛抱強く、わたしが戻ってくることを待ち続ける。これが、テレビやネットだと、目まぐるしく変化し、見ること・反応することを強要する。 本は、何もしない。わたしが集中することを、静かに待っていてくれる。 そして、これは読書猿さんに教わった、「同じ本を読む人は遠くにいる」を大切にしている。 ただ一人、ページと向き合うとしても、同じ本を読む人は遠くにいる。これは、物理的な距離という意味でも、時間的な隔たりという意味でも然り。本に取り組んでいる限り、けっして孤独ではない。 本は、わたしを繋げる。同じ本を読む人と、時空を超えて繋げてくれる。 最後に、わたしから伝えたいのは、「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」。 2どんな本を読めばいいのか。人生は短く、読む本は多い

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                          • 心と時間の不思議に迫る『心にとって時間とは何か』

                            時間は、過去→現在→未来の順に流れており、わたしが「いま」だと感じているものは、現在のことだと思っていた。だが、[この視覚実験]をやってみると、疑わしく見えてくる。 赤い丸と青い丸が交互に点滅しているのを見るだけ。パラメータを変えると、赤丸から青丸に向かって、丸が移動しているように感じられる(私は preamble = 1000, disk = 80, inter-disk = 100にしたが、人によって微妙な調整が必要かも)。 問題はここから。タイミングを変えることで、赤丸から青丸に移動する途中で、丸の色が赤から青に変わっているように見える。まだ青を見ていないにも関わらず、未来に見えるはずの青を感じているように思われる。 なお、直前に見た青から、色の変化を予想しているわけはないらしい(色変化をランダムにしても同様の結果になるという)。 つまり、途中での色変化(赤→青)を見ているとき、すで

                              心と時間の不思議に迫る『心にとって時間とは何か』
                            • ChatGPTをドラえもんに進化させる6ステップ

                              わかった風なオトナは、現代を「答えのない時代」と呼びたがる。 いわゆる、「正解が無い」という意味だろう。そして若者に向かって、「今までのやり方は通用しない」と脅す。正解を探すよりも、選んだ答えを正解にする努力が必要だとドヤる。 これは、知的怠惰だ。 正解の領域がハッキリしたものと、予測不能なものがあるだけだ。いつの時代でも同じことで、答えを求めて問い続けることが重要だ。「正解が無い」からといって問うのを切り捨てるのは、問うのを止めた言い訳に過ぎぬ。「今までのやり方は通用しない」のは当のオトナなのである。 では、予測不能なものを、どう正解に近づけるか? それは、問いの精度による。 漠然とした問いだと、漠然とした答えしか返ってこない(Garbage In, Garbage Out)。「未来はどうなる?」という問いからは、無数の答えに不安になる。だが、「未来をどうする?」という問いなら、答えは「

                                ChatGPTをドラえもんに進化させる6ステップ
                              • キング、ロメロ、アリ・アスターの王道ホラーを洋上で『ブラッド・クルーズ』

                                バルティック・カリスマ号は、定員2,000名の大型クルーズ船だ。 レストラン、バーラウンジ、ジャグジー、カジノがあり、24時間かけてスウェーデンとフィンランドを往復する。船そのものが巨大なリゾート施設といっていい。 11月の初めに、さまざまな事情を抱えた人たちが乗り合わせる。 落ち目になりつつある往年の大スター、サプライズでプロポーズをするつもりのゲイ、バラバラになりそうな家族の絆を取り戻そうとしている父、一晩のアバンチュールを求める老婦人、乱痴気婚活パーティーに参加する独身者など、1200名の乗客が船旅に出る。 そこで、集団感染が発生する。 初期症状は、激しい頭痛と悪寒、高熱になる。食欲が減退し、吐き気と共に食事を受け付けなくなる。 次の段階になると、歯が全て抜ける。口内に違和感があり、指を入れると砕けた歯が落ちてくる。歯があった箇所からは大量の出血が生じ、患者は自分の血をごくごくと飲み

                                  キング、ロメロ、アリ・アスターの王道ホラーを洋上で『ブラッド・クルーズ』
                                • SFの世界を一冊で一望する『サイエンス・フィクション大全』

                                  見てくれ! これがサイエンス・フィクションの家系図だ。 図の左上に、SFの祖先「Fear and Wonder(恐れと驚き)」がある。 アニミズムや神話・伝説・迷信の流れと、テクノロジーや実験・観察・啓蒙主義の流れが混交し、自然科学とユートピアとロマン主義を養分として、ゴシック小説の巨大な畑が出来上がっている。 ゴシック小説から、科学と技術と恐怖を組み合わせた最初のSF『フランケンシュタイン』が生み出され、ウェルズやハクスリー、ヴェルヌ、アシモフ、ブラッドベリ、ギヴソン、イーガンを始めとする大きな流れがある。これらを支えてきたのはダイムノヴェル(10セントで買える大衆小説)やペーパーバックによる文学と漫画のメディアだ。 映像メディアからは月世界旅行やメトロポリスを始めとして、トワイライトゾーン、スタートレック、スターウォーズ、エイリアン、マトリックス、E.T.を代表とした巨大な流れがある。

                                    SFの世界を一冊で一望する『サイエンス・フィクション大全』
                                  • 「加齢臭」はいつから臭い始めたか―――流行語は音もなく世界を変える

                                    あなたは「加齢臭」があるだろうか? 脂っぽく、傷んだチーズのような臭いだ。若いころにはなくても、齢をとるとしはじめる、おじさん臭、オヤジ臭と呼ばれることもあるが、男性に限らない。 面白いのは、加齢臭という言葉が生まれる前から、中年期の男女には独特のニオイがあった。この言葉が広まってから、急に臭うようになったわけではない。 「加齢臭」という言葉を遡ると、コラムニストの泉麻人氏に至る。朝日新聞1999.6.12夕刊でこう書いている。 飲み会の席に若い女性などが混じっていると、「通勤電車のオヤジの体臭がたまらない!」なんて話題がよくもち出される。三十代の頃は「わかる、わかる」と一緒になって笑いとばしていたものだが、自分も四十過ぎの年代に入ると、穏やかではない。オレもニオッているのではないだろうか。(中略)「加齢臭」を消す中高年向けのエチケット商品が、秋に発売されるという。熱心な研究開発意欲には脱

                                      「加齢臭」はいつから臭い始めたか―――流行語は音もなく世界を変える
                                    • 「30秒で描いた絵に100万ドルは高すぎる」と非難されたピカソは何と答えたか?

                                      「ピカソの30秒」という小話がある。 ピカソが市場を歩いていると、ある婦人が呼び止めた。彼女はピカソの大ファンで、絵を描いて欲しいという。 快諾したピカソは、さらさらと絵を描き上げた。婦人は喜び、いくらなら絵を譲ってもらえるか尋ねた。ピカソはこう言った。 「このスケッチは100万ドルです」 婦人は驚き、高すぎると言った。たった30秒で描いた絵が、どうして100万ドルもするのか尋ねた。するとピカソはこう答えた。 「いいえ、30秒ではありません。私は、これまでに30年もの研鑽を積んできました。だから、この絵を描くのにかかった時間は、30年と30秒なのです」 「30年」が「40年」だったり、「100万ドル」が「5,000フラン」だったり、様々なバージョンがあるが、出所が見当たらない。都市伝説みたいなものだと思っていたが、出典を見つけた。 ただしピカソではない。 ピカソの30秒の元ネタ 該当の絵は

                                        「30秒で描いた絵に100万ドルは高すぎる」と非難されたピカソは何と答えたか?
                                      • 歯を食いしばって読んだので血の味がする小説『アニマ』(この記事には残虐描写があります)

                                        冒頭で、妻が殺されているのを見つける。くり返し刺され、血だまりの中で絶命している。 妻は暴行されていた。普通ではなく、腹部を裂いた傷口を性器代わりにしてレイプされていた。最後に刺したナイフは性器に深々と潜り込んでいた。その刃先は、二人の初めての胎児の頭に打ち込まれていた。 奇妙なのは、「妻を殺された夫」が主人公なのに、それを語るのが飼い猫であること。あくまでも猫の視点で、凄惨なシーンが描写される。夫が受けている衝撃は相当なものだろうが、いかんせん猫経由なので隔靴搔痒の思いだ。 警察が来て、夫は入院し、精神的ケアを受ける。警察は犯人捜査を始めるのだが、描写は、スズメの視点になる。夫と警察の一連のやり取りは、病院の窓に集まるスズメの物語として表現される。 猫、スズメ、犬、金魚、ウマ、キツネ、クモなど、様々な生き物たちの目を通して、「妻を殺された男が犯人を探す旅」が語られる。生き物たちには生き物

                                          歯を食いしばって読んだので血の味がする小説『アニマ』(この記事には残虐描写があります)
                                        • 死にたい人に渡したい谷川俊太郎『ぼく』

                                          「死にたい」という言葉は、一種の忌み言葉になったように見える。 昔、といっても十年ほど前までは、もっと頻繁に見かけていた気がする。「辛い」「消えたい」という言葉と一緒に、もっと頻繁に目にしていた。 だが、いまではこの言葉を吐く人に、ネットは「慎重に」対応するようになっている。検索結果のトップは、心のケアをする相談窓口だし、ChatGPTやBingに尋ねても同様だ。即座に窓口へ誘導されるか、”This content may violate our content policy” (コンテンツポリシー違反のおそれ)の壁に阻まれる。 もちろんこの流れは、座間や練炭が加速しているのを知っている。さらに、今もこの言葉を縁として集う人がいることも知っている。だが、それでも、「昔のインターネット」は、死と寄り添っていたと記憶している。 「死にたい」という言葉は、ネットを経由すると、脱色された透明な存在

                                            死にたい人に渡したい谷川俊太郎『ぼく』
                                          • ヒストリエを20倍楽しく読む方法『アレクサンドロスとオリュンピアス』

                                            岩明均『ヒストリエ』は、噛めば噛むほど味がある。 ただ面白いだけでなく、予備知識をアップデートして読むと、伏線や演出が張り巡らされていることに気づき、もっと夢中になれる。あの瞬間の表情の理由、あの言葉の裏の意味……噛めば噛むほど楽しめる。 万が一、これを読んでいるあなたが、未読なら、羨ましい! ぜひ堪能してほしい。絶対に面白いと断言できる。 『ヒストリエ』を、もっと面白く読む方法がある。[『ヒストリエ』を10倍楽しく読む方法]では、アレクサンドロス大王の予備知識を仕込んだが、ここでは、オリュンピアスに迫る本を紹介する(この記事ではネタバレ回避して書くのでご安心を)。 アレクサンドロス大王の母であり、フィリッポス二世の妻であるオリュンピアス。蛇を崇める密儀の狂信者であり、暗殺を企んだ残虐きわまりない悪女という噂と、智勇を備え王家の血統を守らんと奮闘した王妃という悲話と、両方が伝わっている。

                                              ヒストリエを20倍楽しく読む方法『アレクサンドロスとオリュンピアス』
                                            • 見えるのに見えていない最大の臓器『皮膚、人間のすべてを語る』

                                              私たちの顔には、ニキビダニが寄生している。 0.2ミリぐらいのダニで、肉眼では見えない。ポケモンで言うなら、8本足のヤドランみたいな姿をしている。分類だと昆虫ではなく、節足動物になる(画像検索しないほうがいい)。 主な生息地は鼻や頬。眉毛やまつ毛、皮脂腺の奥深くに潜んでおり、にじみ出る脂質や微生物を食べて暮らしている。8本の太くて短い足で時速16ミリ移動し、つがいを求めてたまに出てくる。 名前からしてニキビの原因になりそうだが、むしろ逆。脂質や微生物を分解する酵素を持ち、皮膚の常在菌を一定に保ってくれる、共存共栄の関係とも言える。睡眠不足やストレスによるニキビが出そうな場所で、脂や細菌を食べに集まるので、ニキビダニと呼ばれているのかもしれない。 授乳や抱っこで人から人へ伝染し、家族に特有な系統は、何世代にも渡って受け継がれる。たとえ海を渡り、別の大陸に移住しても、そのダニの系統は代々受け継

                                                見えるのに見えていない最大の臓器『皮膚、人間のすべてを語る』
                                              • 読み方を学び、文学と出会いなおす『クリティカル・ワード 文学理論』

                                                「文学」に興味がある人に、強くお薦めする。 『クリティカル・ワード 文学理論』は2部構成となっており、どちらから読んでも得るもの大。 一つは、「基礎講義編」、現代文学の第一人者の小論を、腰据えて読む。テーマは「読む」「言葉」「欲望」「世界」とあり、文学を理論的に思索するとはどういうことか、という問いに対し、この小論そのものが実践的な解になる(この手法は身につけたい)。 もう一つは、「トピック編」、パラパラ眺め、目を引いたキーワードを拾い読む。すると、自分の興味のすぐ隣に、さらに面白い議論があることが分かる。「ジェンダー」や「ポストヒューマン」といった分野ごとに、見取り図が提示され、それぞれの主張を支える構造が確認できる。 どちらからでもいいが、基礎編で手法を学び、トピック編で応用されている議論を俯瞰すると入りやすいかも。この、基礎→応用で、最もわたしの興味を貫いたのは、エドワード・サイード

                                                  読み方を学び、文学と出会いなおす『クリティカル・ワード 文学理論』
                                                • なぜ鬱な映画を観るのか

                                                  「鬱な映画」と呼ばれる作品がある。 「鬱」と一言でいっても、その意味は幅広く、不安、違和感、自己欺瞞、悔しさ、自己嫌悪、敗北感などのネガティブな感情を指し示す、便利な言葉でもある。 そして「鬱な映画」というと、鬱病そのものを正面きって描こうとしている映画や、精神的な病をスパイスとして投影しているもの、あるいは、観終わるとダウナーな気分にさせるような作品など、これまた種々様々だ。 エンターテイメントなのだから、胸躍らせワクワクさせる展開や、観ててスカッとするシーン、あるいは感動で涙が止まらなくなるラストを求めるのではないだろうか。お金と時間と集中力を使って、わざわざ落ち込むような映画を観るのはなぜか。 一つは、怖いもの見たさというか、悲劇を味わいたいという動機が挙げられる。 不運な出来事に巻き込まれ、抜け出そうと足掻くものの、ことごとく失敗し、ラストは絶望の中で最悪の選択をしてしまう……極限

                                                    なぜ鬱な映画を観るのか
                                                  • 予定調和は裏切られ、予想のナナメ上を裏切る『寝煙草の危険』

                                                    都合が悪いのは現実だけで沢山だ。 せめて物語のなかだけは、予定調和に進んでほしい。ご都合主義と言われてもいい、悪いものが潰えて、弱き人、良き人が救われる、そんなストーリーになってほしい。 なぜなら、現実がそれだけで酷い世界だから。頭の弱い女は利用され、貧乏老人は虐げられ、居所のない子どもたちは食いものにされる。ポリティカル・インコレクトネスな世間だからこそ、物語だけでも救われてほしい。 そんな現実逃避を踏みにじってくるのが、ホラー短編集『寝煙草の危険』だ。 頭のイカレた老人が、通りでいきなり排便する(しかも下痢気味)。通り一帯に悪臭がたちこめ、近所の人が袋叩きにするのだが、どちらも救われない。ホームレスの老人も、正義感に満ちたその人も、その通りに住む全ての人が、救われない。 一応、老人の呪いという体(てい)で話は進むのだが、それを目撃した人たちは次々と不幸に遭う。強盗に遭って破産する、飼い

                                                      予定調和は裏切られ、予想のナナメ上を裏切る『寝煙草の危険』
                                                    • 【ブログカスタマイズ】「はてなブログ」のアイコンフォントの種類・使い方を解説|グローバルメニューにおすすめ - redoブログ

                                                      今回は「はてなブログ」でデフォルトで使えるとても便利な”アイコンフォント”の表示方法を紹介したいと思います。 アイコンフォントを使いこなすとはてなブログの見た目がオシャレになり、見栄えもよくなります。 毎年はてなブログで使えるアイコンフォントは増えており、昨年から「DAZN」など6種類増えて、"合計123種類”になっています。 私のTOPページのグローバルメニューに以下の様なアイコンフォントを追加しています。 今回は最もカンタンな”はてなブログのアイコンフォント”の使い方と種類を紹介します。 アイコンフォントの使い方 アイコンフォントのサイズを変えたい場合 はてなブログアイコンフォント一覧 まとめ アイコンフォントの使い方 このアイコンフォントを使う時は、タグを使って、”HTML”上で下記のように記入します。 <i class="クラス名"></i> すると上の様に”クラス名”にあわせて色

                                                        【ブログカスタマイズ】「はてなブログ」のアイコンフォントの種類・使い方を解説|グローバルメニューにおすすめ - redoブログ
                                                      • 神が創ったにしては杜撰すぎ、偶然にしては精緻すぎ『進化の技法』

                                                        生物は、神が創ったにしては杜撰すぎるし、偶然の進化にしては精緻にできすぎている。 進化と発生のメカニズムを解きほぐした本書を読むと、そう感じる。 本書によると、生物の進化は、転用と闘争の歴史らしい。それは、文字通りの食うか食われるかだけでなく、取り込むか取り込まれるかの歴史になる。 ヒトについて言えば、全体を構成するゲノムのうち、私たち自身の遺伝子が占める割合は、たったの2%に過ぎない。では残りの98%は何か? 太古のウイルスや、跳躍する遺伝子が暴走した配列になるという。 この太古のウィルスや跳躍遺伝子は、もとは「私」では無かったものになる。いや違うか、言い方がよろしくない。今は「私」とは不可分の要素だが、生命史を遡ると、「私」の外からやってきたものになる。 生命のM&A 例えばミトコンドリア。 生命は電動であり、そのエネルギーはミトコンドリアで生成されていることは、ニック・レーン『生命、

                                                          神が創ったにしては杜撰すぎ、偶然にしては精緻すぎ『進化の技法』
                                                        • 「おいしい」を伝える技術『おいしい味の表現術』

                                                          「おいしい」としか言えないのがくやしい。 食べたときの、その「おいしさ」をどう伝えるか? ふわとろ 肉汁がジューシー コクがあるのにキレがある 陳腐すぎて、何のコマーシャルだよ? とツッコミたくなる。 私のアタマが染まってしまっているのだろう。宣伝に洗脳されすぎて、自分が感じたことを言葉にする代わりに、グルメ番組の定番セリフをあてはめるだけのような気がしてくる(肉料理ならジューシー、麺類ならコクとか)。 それはクリシェ、常套句みたいなものなんだから、あまり考えず、手垢にまみれた言葉を使えばいいんだよ、という声も聞こえてきそうだ。あるいは、「筆舌に尽くしがたい」に逃げるとか。 だが、くやしいのだ。 「おいしい!」と感動したのなら、その感動をなんとかして伝えたい。具体的に想像できるような言葉で、同じ感覚を追体験できるような表現で伝えたい。 そんな人にとって、福音となる一冊が、『おいしい味の表現

                                                            「おいしい」を伝える技術『おいしい味の表現術』
                                                          • 『なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?』へのコメント

                                                            ブックマークしました ここにツイート内容が記載されます https://b.hatena.ne.jp/URLはspanで囲んでください Twitterで共有

                                                              『なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?』へのコメント
                                                            • 美味しいを哲学すると、もっとおいしい『「美味しい」とは何か』

                                                              天下一品の「こってり」が好きだ。 食べるたびに脳内で「おいしい」とリフレインが叫んでる。このご時世、わざわざ会社に行く唯一の理由は天一といっていい。 一方で、あの「こってり」の濃厚スープが合わない人がいることも知っている(妻である)。 ポタージュ状のあのスープを、私は「おいしい」と感じ、妻は「おいしくない」と言う。 このとき、私たちは何らかの評価をしているはずだ。その評価は、センスによる主観的なものなのか。あるいは、何かしらの客観的な基準があって、それに合うから「美味しい」と言うのか。 何かを美味しいと評価するとき、実際のところ、私は何をしているのか? その評価は、私個人のものであり、正しいとか誤っていると言えるのだろうか? こうした疑問について、美学の立場から追求したのが、『「美味しい」とは何か』だ。 美学(aesthetics)は、評価を下すときに用いる「センス」を考察対象とする哲学で

                                                                美味しいを哲学すると、もっとおいしい『「美味しい」とは何か』
                                                              • ユーモアは最強の武器である

                                                                普通なら面白く思わないし、アイデアを侵害されたと感じるだろう。だが、互いに権利を主張し、巨額の訴訟になりかねないとき、どう決着をつけるか? 1992年のサウスウエスト航空がまさにそうだった。「スマートに飛ぼう(Just Plane Smart)」という標語でキャンペーンを始めたのだが、この標語は既に別の会社で使われており、法的権利も主張されていた。どちらも譲らず、普通なら裁判沙汰になるところだった。 これを、普通でない方法で解消した。お互いのCEOが腕相撲で勝負して、勝ったほうが権利をモノにできるとしたのだ。試合に向けたトレーニング動画はバズり、本番のショータイムは大ウケしたという(今でもyoutubeで見ることができる ”Malice in Dallas” )。 このイベントのパブリシティ効果だけで、600万ドル以上の売上が向上し、収益が1億ドルに跳ね上がったという。さらに重要なのが、莫

                                                                  ユーモアは最強の武器である
                                                                • 「死にたい」とつぶやく

                                                                  ネットには「死にたい」「消えたい」「殺して」というつぶやきが流れている。 しかし、「死にたい」は一種の忌み語になっており、入力すると速やかに相談窓口へ誘導される。また、この言葉を掲げる記事は目立たないよう扱われる。切実な声は画一的に処理され、表立ってこない。 こうした声にどう向き合うべきなのか。また、こうした声と共に居ることは、いかにして可能なのか―――「死にたい」をめぐるコミュニケーションのありかたを考えたのが本書になる。 社会学者である著者は、「死にたい」という言葉の使われ方に着目する。 この言葉を発する人は、社会的な属性や貧富の状態、学歴、就業状況は様々だ。心療内科に通っている人もいれば、行かない人もいる。診断名もまちまちだし、自傷する人もいればしない人もいる。深刻に吐露している人もいれば、「死にたい」は「生きづらさ」の言い換えだという人もいる。 だが、この言葉を介してつながりあう人

                                                                    「死にたい」とつぶやく
                                                                  • この本がスゴい!2020

                                                                    今年の一年早くない? トシ取るほど時の流れを早く感じるのは知ってるけど、今年は特に、あっというま感がすごい。恒例のこの記事、もう書くの!? と思ってる。 毎年、「人生は短く、読む本は多い」と能書き垂れるが、今年は、「人生は加速的に短く、読む本は指数的に多い」と変えておこう。 そして、昨年と比べると、世界はずいぶん変わってしまった。 基本的に外に出ない、人と会わないが普通になり、マスク装備が日常になった。オフ会や読書会でお薦めしあった日々は過去になり、代わりにZoomやチャットでの交流が増えた。 ポジティブに考えると、そのおかげで、読み幅がさらに広がった。わたし一人のアンテナでは、絶対に探せない、でも素晴らしい小説やノンフィクションに出会うことができた。お薦めしていただいた方、つぶやいた方には、感謝しかない。 さらに、今年は本を出した。 ブログのタイトルと同じく、[わたしが知らないスゴ本は、

                                                                      この本がスゴい!2020
                                                                    • Next.js 入門 useRouter 基礎 ルート制御 - deve.K's Programming Primer - プログラミング初心者のための入門ブログ

                                                                      ルーティングとは useRouterとは? メソッド オプションのデコレータ useRouter使用例 最後に ルーティングとは ルーティングは、Webへのハイパーリンクと同様に、各Webアプリケーションの重要な側面となっております。 それは、リクエストを処理するコードにリクエストをルーティングするメカニズムとなっているのです。 ルーティングに関連してNext.jsページは一意のURLパスによって参照および識別できます。 簡単に言ってしまえば、ルーティングはユーザーがWebサイトのさまざまなページに移動する為のプロセスです。 pagesディレクトリからデフォルトでエクスポートされたReactコンポーネントとなります。 当ブログの記事では、Next.jsでのルーティングについて知っておく必要のあるルーティング方法を初学者様に解説していきます。 前回では静的および動的ページを作成するLink、

                                                                        Next.js 入門 useRouter 基礎 ルート制御 - deve.K's Programming Primer - プログラミング初心者のための入門ブログ
                                                                      • 嘘を嘘と見抜けない人に小説は難しい『詐欺師の楽園』

                                                                        プロチェゴヴィーナ公国のレンブラントと称せられる画家アヤクス・マズルカ―――美術史上最大の意義をになう人物のひとりとされているこの巨匠は、実はかつて実際にこの世に存在したことはない。彼の作品は後世の偽作であり、彼の評伝は虚構である。 ヴォルフガング・ヒルデスハイマー『詐欺師の楽園』は、こう始まっているが、一行目どころか、一言目からして嘘である。 欧州の地図を広げるまでもなく、「プロチェゴヴィーナ」なんて国は存在しない。もちろん、美術史のどこを探しても、アヤクス・マズルカという画家なんていない。 しかし、彼が描いた作品は確かに存在し、レンブラントに匹敵する傑作だという。あまりの素晴らしさに、贋作までが登場するくらいだという。 唯一の語り手「私」による手記の体裁をしたこの小説、さて、どこまで信用できるのか? 徹頭徹尾フィクションで塗り固めているのではなく、ところどころに史実や真実を折り込ませて

                                                                          嘘を嘘と見抜けない人に小説は難しい『詐欺師の楽園』
                                                                        • 東大の科学がスゴい『科学の技法』

                                                                          東大の理系は、一年生から「科学の技法」を叩き込まれる。 『知的複眼思考法』を読んだとき、批判的に読み・考えるトレーニングを徹底させる東大の文系が羨ましいと思った。『科学の技法』を読んだいま、科学の技法をゼミナール形式で学べる東大の理系が羨ましい。 東大で始まった新しい試み「初年次ゼミナール理科」が凄い。 理系の一年生は全員必修で、1クラス20名の少人数を、教師+TA(ティーチングアシスタント)できめ細やかに指導する。学術的な体験(アカデミック体験)を通じて、サイエンティフィック・スキル(科学の技法)を修得することを目的としている。 この科学の技法が羨ましい。前半が「基礎編」で、あらゆる研究をする上で基礎的となるだけでなく、仕事にも必須なスキルが紹介されている。後半が「実践編・発展編」で、研究チームを意識できるようなゼミを「ラボ」として開講し、そこで基礎的な演習を行う(垂涎だらけなり)。 ◆

                                                                            東大の科学がスゴい『科学の技法』
                                                                          • 受験英語【だけ】頑張った私に足りないのは語彙力『英語の読み方』

                                                                            単語の意味、分かるだろうか? (私はほぼ全滅)。 1. US China Trade Deal - BBC News より ceasefire reciprocal subsidize thorny truce 2. China warned to show Taiwan respect - BBC News より decent reckless predecessor infurate 3. Coronavirus whistleblower doctor is online hero in China - CNN より epidemiologist death toll detain quarantine whistleblower 受験英語よりは少しレベルが高いけれど、BBCやCNNのニュースによく出てくる単語ばかりだという。 ceasefire は映画かゲームで「撃ち方止め!」と知

                                                                              受験英語【だけ】頑張った私に足りないのは語彙力『英語の読み方』
                                                                            • 2019年を振り返る ブログ開始とその継続は一つの大きな出来事でした 今後ともよろしくお願いいたします - 「行動と見識」KOUSHIのブログ

                                                                              こんばんは。 本日も当ブログにお越しいただきありがとうございます。 いよいよ2019年、令和元年も終わりを迎えようとしています。 皆さんにとって、この一年はどのような年でしたでしょうか? この年末休みを利用して、私もこの一年を振り返りました。公私ともにいろいろなことがあったのですが、このブログを始めたことは2019年における大きなアクションの一つです。 3月17日に初めての記事を掲載した後、これまで休むことなく毎日記事をアップすることができました。内容はともかく毎日続けられたことについては、自分を誉めてあげたいと思います。ごほうびとして、今日はビールをいつもより多く飲むことを自分に許したいと思います(笑)。 私は「続ける」ということに対して苦手意識はなく、むしろ得意な方です。長い時間をかけて地道に取り組んでいる対象は多くあります。 ですが、毎日他者に向けて発信する文章を書くというのは簡単で

                                                                                2019年を振り返る ブログ開始とその継続は一つの大きな出来事でした 今後ともよろしくお願いいたします - 「行動と見識」KOUSHIのブログ
                                                                              • 適応としての笑い『ヒトはなぜ笑うのか』

                                                                                犬、売ります:なんでも食べます。子どもが好きです。 意味が分かったとき、めっちゃ笑った。誤りに気づいて愕然とする男と、その傍らでシッポ振ってる犬まで目に浮かんで、笑いが止まらなくなった。同時に、男が殺人鬼だったパターンも浮かんで、自分のブラックジョークに、息が止まるほど笑った。 ひとしきり笑ったあと、可笑しかった理由を考えても、出てこない。「子どもが好きです」のダブルミーニングは分かるが、それが、どうして狂おしいほどの可笑しみを招いたのか、説明するのは難しい。 絶妙なネタが飛び込んできたり、とんでもない大失敗を目の当たりにしたとき、胸の奥・腹の底に、抑えようのない情動が沸き起こってくる。 このユーモアの情動がどのように引き起こされるのか、さらに、それをどうして愉快だと感じ、笑いにつながるのか―――認知科学者(ハーレー)、哲学者(デネット)、心理学者(アダムズ)の3人の共同研究『ヒトはなぜ笑

                                                                                  適応としての笑い『ヒトはなぜ笑うのか』
                                                                                • 男子医大は憲法違反か

                                                                                  きっかけはこの記事「日本になぜ「男子医大」は存在しないのか?」*1 。 男子医大を作ろうとしたら、憲法違反にされたという。元ネタは厚生労働省の検討会。発言者は全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏で、医師不足の解消のためには総数を上げる前に偏在を解消するべきという流れでこの発言をしている。 女性医師が 4 割を超えるのに、東京女子医科大学はあると。東北に作るのだったら、東北男子医大にしてくださいと、私は申し上げました。これも、憲法違反だとか何とか言ってペケされました。 (2016.4.20 医療従事者の需給に関する検討会(第5回)議事録*2 より) 「男子医大は憲法違反」これ、本当だろうか? まず、ネットで検索してみた。すると、昔の大学は男子だけという歴史や、男子のみ募集している学部や大学は珍しいという話が出てくる*3。ネットだけで全てだと見るのは、わたしの悪い癖だ。だから図書館のレファレン

                                                                                    男子医大は憲法違反か