小林カツ代を「料理思想家」と呼びたくなる 料理研究家の小林カツ代さんの担当編集者になっておよそ5年、新刊を出したときにかならずといっていいほどいわれる言葉がある。 「えっ、亡くなっていたんですか」 はい、2014年1月に亡くなりました。わたしは亡くなってからのお付き合いなのです、とそのつど答えている。 そう、カツ代さんが亡くなって先日1月23日で5年になる。にもかかわらず、そうした言葉が返ってくるたび、「たしかに生きてるみたいだな」と思えるほどの活躍ぶりに驚く。カツ代さんが死去後に出した新刊・復刊は(担当外の本も含めて)およそ10冊、平均して年に2~3冊という現役なみのハイペースだからだ。 確かにその死が再評価のきっかけのひとつだったろう。しかしながらカツ代さんがくも膜下出血で倒れた2005年以降、ご本人のメディアへの登場がなくなってからも小林カツ代キッチンスタジオ名義を含め、本やムックの