大分から特急で約40分、左手に豊後水道を眺めながらいくつものトンネルを抜け、狭い平野に出ると列車は津久見駅に到着します。 近くには石灰岩を産出する山があり、津久見湾の良港に面しているためセメント工業が盛んで、海沿いには大規模な工場のプラントが並んでいますが、津久見は静かで小さな町です。 かつて甲子園で津久見高校が活躍していたのを知る高校野球ファンはその名前を聞いたことがあるかもしれませんが、それ以外は全国的にあまり名前の知られた町ではありません。 特産のミカンを模したベンチが、ホームでのんびりと日向ぼっこをしているかのようなこの穏やかな駅が、名曲「なごり雪」のモチーフとなった駅である、ということを知る人も数少ないことでしょう。 「東京」で見る雪は最後、との歌われていた「なごり雪」の駅ですが、この曲を作った伊勢正三さんは後日、故郷のこの津久見駅があの歌の原点だった、と話しています。 駅の跨線