[東京 3日] - ここ数カ月、筆者が強調しているのは、経済が完全雇用に近づいているため、極端に景気刺激的になっているマクロ安定化政策を早く方向転換せよ、という点である。 日本経済の成長ペースが鈍ってきたのは、消費増税の影響もあるが、それだけではない。経済のスラック(弛み)が解消された現在、ゼロ近傍まで低下した潜在成長率を大きく超える成長の継続自体が難しくなっている。総需要や総需要刺激策の不足ではなく、経済の実力である潜在成長率が低いことが低成長の主因である。 現に、実質ベースで超円安となり、海外経済が回復局面にあるにもかかわらず、実質輸出は全く増えていない。円安は輸入物価上昇をもたらし、家計の実質購買力を抑制し、個人消費の足を引っ張るだけとなっている。マネタリーベースの目標達成のため、日銀がマイナスの実効金利で短期国債を買わざるを得なくなっていることも、さらなる円安を助長しており、量的・