Vol.139-3 本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは新たに登場したiPad Pro。最新のプロセッサー「M4」が搭載された理由を探る。 今月の注目アイテム アップル iPad Pro 16万8800円~(11インチ) 21万8800円~(13インチ)(※) ※ いずれもWi-Fiモデル ↑13インチモデルは最薄部で5.1mmの驚異的な薄さを実現。次世代プロセッサーとなるM4プロセッサーと強力なGPUでM2プロセッサーよりも4倍の高性能なレンダリング性能、同様にCPUは約1.5倍高速化している 5月に発売されたiPad Proには、アップルの最新プロセッサーである「M4」が搭載されている。 アップルは自社設計のプロセッサーとして、主にiPhoneに使われる「Aシリーズ」と、主にMac・iPadに使われる「Mシリーズ」を持っている。
前回はLunar LakeのPコアであるLion Coveを解説したので、今週はEコアのSkymontを解説しよう。 TremontとGracemontの違いはキャッシュ容量だけ Skymontの前身であるCrestmontではそれなりに強化された Pコア同様、Eコアの方もAlder LakeからRaptor Lakeまではあまり変わっていない。もっと正確に言えば、Alder LakeのGracemontの元になったのはLakefield/Elkhart Lakeで採用されたTremontコアである。これがAlder Lake/Raptor LakeではGracemontになったが、違いは1次命令キャッシュが32KB→64KBに増量されただけである。 このGracemontはSierra Forestでも採用されたが、2次キャッシュの容量が4MB決め打ちになった以外に外から見える違いはない
レポート 「Lunar Lake」Deep Diveレポート - 【Part 2】Memory、GPU、NPUについて 前回はP-CoreとE-Coreの話に終始してしまったので、今回はもう少し広範な話をしたい。 謎のMemory Side Cache Photo01は基調講演のスライドから切り出して、ついでに複数のスライドの情報を重ね合わせたものである。上側がCompute Tileであるが、向かって右端にP-Core×4+12MB L3 Cache、その下にIPU(Image Processing Unit:通常ならISPと呼ばれるが、要するにカメラ入力に対応した画像処理エンジン)、右にNoCが入り、そのNoCの上にMedia EngineとMemory Side Cache、NOCの下にE-Core×4+4MB L2 CacheとDisplay Engine、その左がNPUとなり、一
前回はLunar Lakeのプロセスとタイル構造で話が終わってしまったので、今回はもう少し内部の話をしよう。 Lunar LakeはPコア4つとEコア4つの珍しい組み合わせ まずは一番の要であるプロセッサーの構造である。Lunar LakeもPコアとEコアの組み合わせであり、その意味ではAlder Lake(Lakefield)以降で採用されているハイブリッド・テクノロジーを継承した構成である。ただそれが4+4という構成なのはやや珍しい。 もちろん技術的には可能であるのだが、Eコアが4つというのは、これまでの同社のプロセッサーからするとかなり少ないように感じる。おそらくはであるのだが、1つには次回説明するようにEコアの性能が大幅に上がり、性能的にバランスが取れると判断されたのかもしれないし、Eコアを8つにすると面積的に厳しかったのかもしれない。 だったらPコアの数を2つに減らせば良かったよ
レポート 2024年はN3Eの立ち上げ年、TSMCが2024 Japan Technology Symposiumを開催 TSMCは6月28日、横浜で「TSMC 2024 Japan Technology Symposium」を開催した。これは今年4月からスタートした「TSMC 2024 Technology Symposium」の一環であり、Symposiumは北米とヨーロッパ、台湾、中国ときて最後が日本。他にAustin/Boston/Israel(Virtual Only)のTechnology Workshopが開催された。この日本での開催に合わせ、報道関係者向けの説明会も行われたので、その内容をご紹介したい。 まずは小野寺誠氏(Photo01)より日本におけるビジネスの現状が簡単に説明された。 Photo01:TSMCジャパン 代表取締役社長の小野寺誠氏。日本でのSymposiu
レポート 「Lunar Lake」Deep Diveレポート - 【Part 1】P-Core&E-CoreとPackageについて 既報の通り、IntelはLunar Lakeこと次世代Core Ultraの詳細をCOMPUTEXのタイミングで公開した。こちらについて、Intelの資料を基にもう少し掘り下げてご紹介したいと思う。 Package 先の記事にも、ASUSのZenBookの基板に搭載されたLunar Lakeの写真があったが、これの別スナップ(撮影は同じく笠原光氏)をもう少し拡大したのがこちら(Photo01)。パッケージ全体はかなり正方形に近いが、微妙に縦長である(幅27mm×高27.5mm)。Lunar LakeもMeteor Lake同様にFoverosを利用したChiplet構成であるが、Meteor Lakeと異なりLPDDR5Xもパッケージに積層する関係で高さが合
2024年5月16日、Esperanto TechnologyがRapidusの2nmプロセスを利用して同社の第3世代チップであるET-SoC-3を製造する事に関するMOU(協力覚書)を締結した事が発表されたのだが、この発表会に参加して感じた違和感というか、昨今のChipletの傾倒ぶりに関してちょっと思ったことを書いてみたいと思う。 「チップレット」とは何か そもそもChipletとは何か?に関して明確な定義がいまだになされていない。というのは、どうみてもMCM(Multi-Chip Module)でしかないのにChiplet扱いされるケースがあるためだ。取りあえず本稿では「単体では動作し得ないダイ同士を複数組み合わせて、システムとして稼働するもの」をChipletと呼びたい。具体的に言えば、かつてのIntel Core 2 Quad(Core 2 Duoのダイが2つ、1パッケージに載っ
6月4日から開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2024は、こういうと失礼かもしれないが、予想外の盛り上がりを見せた。特集ページに記事一覧があるが、昨年のCOMPUTEX TAIPEI 2023と比較して記事の数が多いというのがその傍証ともいえる。 ちなみに主催者であるTAITRA(台湾貿易センター)の発表によれば、2024年の参加者は8万5179人。2023年が4万7594人なのでらほぼ倍増である。ちなみにコロナにより休止する前の2019年は4万2495人であり、今年がいかに盛況だったかがわかろうというもの。 筆者の個人的な感想で言えば、昨年は久しぶりの再会ということで出展者・参加者ともに様子見というか、恐る恐るという感じだったのが、今年は一気に弾けた感がある。昨年は「この調子だとCOMPUTEXは遠からずなくなるのではないか」という気がしたのだが、今年は見事に復調した。 そんな雰
COMPUTEX TAIPEI 2024の初日にQualcommも基調講演を行った。もっともここで新発表が行われた、という訳ではなく昨年10月に発表されたSnapdragon X Eliteや今年4月に発表されたSnapdragon X Plusと、これを搭載したCopilot+ AI PCの紹介が行われた「だけ」である。このCopilot+ AI PCの発売は6月18日からということで、国内でも発表会が行われた他、各社から新製品の発表が相次いでおり、その意味では目新しいものではない。にも拘わらずこれをご紹介するのは、色々と内部事情が透けて見える部分もあるからだ。この辺りを交えつつ、基調講演の内容をご紹介したい。 まず冒頭でから、"今回の(Copilot+ AI PCの)発表は、QualcommがCommunication CompanyからConnected Computing Comp
[インタビュー]ゲーミングハンドヘルドの先駆け「AYANEO」のCEOが語る,今までとこれから――「過去の製品の作り直しじゃ,何も挑戦がないから」 編集長:Kazuhisa カメラマン:佐々木秀二 国内で正規販売されている製品だけで見ても,Steam DeckやROG Ally,ONEXPLAYER,MSI Claw,Legion Go,Razer Edgeなど,ゲーム用途に特化されたPC/Androidはいまやいくつも登場しているが,その端緒を開いたのがAYANEOというブランドであることは,おそらく異論のないところだろう。 2020年に設立された同社は,その1年後に最初のデバイスを発売してゲーミングモバイルPCの先駆けとなり,以後3年にわたってトップの座を走り続けている。 今回はAndroidゲーミングマシンの発表会を日本で開催するとのことで,そのときにCEOのArthur Zhang
最新のアプリやサービスのニュースを書くのが仕事の筆者にとって情報の整理は永遠の課題だ。 もちろん書くことを仕事にしている人に限らず、氾濫する大量の情報を必要な時に取り出して利用したいという欲求は多くの人が持っているはずだ。 以前は手書きノートやファイルのような紙媒体に保存していた情報も、時代とともに完全にデジタルに移行し、Evernote、Microsoft OneNote、Notionといったメモを作成することに特化したクラウドアプリを利用している人も多いだろう。 筆者はおそらく普通の人よりは多くのサービスに触れているはずだが、どれも帯に短したすきに長しに感じてしまい、複数のメモアプリに情報が散乱してしまっているのが実情だ。 そこで6月6日に日本でも提供が開始されたグーグルの「NotebookLM」だ。 「AI駆動型のリサーチ、執筆アシスタント」と説明されているように、参照文献(ソース)
The curtains are drawn and it’s almost showtime for Qualcomm and its Snapdragon X SoC team. After first detailing the SoC nearly 8 months ago at the company’s most recent Snapdragon Summit, and making numerous performance disclosures in the intervening months, the Snapdragon X Elite and Snapdragon X Plus launch is nearly upon us. The chips have already shipped to Qualcomm’s laptop partners, and th
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