住宅というのは所得にかかわらず誰もが必要とする基本的な財であるから、誰でも住宅の質に見合った適正な家賃を払うことで、安心した暮らしを送ることができるべきだ。と書くと、確かにもっともだと思える。もし、賃貸住宅の家賃がその住宅に対する需要と供給で決まってしまうと、景気の変動にともなって、あまりに高い家賃が付けられ、所得の低い人は住めなくなってしまうこともあるかもしれない。だからといって、ここで「家賃は需給に関係なく、一定額に設定しましょう」と決めてしまうと、さてどうなるか・・・? スウェーデンの都市部で年を追うごとに深刻化している賃貸住宅不足の問題の根源は、この経済メカニズムを無視した家賃決定の仕方にある。そして、今では同様の問題が、地方の町でも顕在化している。 【 賃貸住宅の家賃の決まり方 】 スウェーデンでの賃貸住宅の家賃は、需給に関係なく、その住宅に住む人にとっての「利用価値」に基いて決